ファッション小噺vol.64 マイティ・ハートなアンジー
今、世界で一番注目を集めているセレブリティのひとり、アンジーことアンジェリーナ・ジョリー。ブラッド・ピットとのパートナーシップでも話題を集めていますが、『マイティ・ハート/愛と絆』のような社会派作品に出たかと思えば、『ベオウルフ/呪われし勇者』のような娯楽大作にCG出演してしまうという、ふれ幅の大きさも意外性があって魅力的。莫大なギャランティーの3分の1を恵まれない人々に寄付するなど、慈善活動に熱心なことでも知られる彼女。チャリティに目覚めてからは、ハリウッドの虚栄を嫌い、「俳優をやっているのはお金のため」というような誤解を恐れぬ大胆発言もしています。
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今、世界で一番注目を集めているセレブリティのひとり、アンジーことアンジェリーナ・ジョリー。ブラッド・ピットとのパートナーシップでも話題を集めていますが、『マイティ・ハート/愛と絆』のような社会派作品に出たかと思えば、『ベオウルフ/呪われし勇者』のような娯楽大作にCG出演してしまうという、ふれ幅の大きさも意外性があって魅力的。莫大なギャランティーの3分の1を恵まれない人々に寄付するなど、慈善活動に熱心なことでも知られる彼女。チャリティに目覚めてからは、ハリウッドの虚栄を嫌い、「俳優をやっているのはお金のため」というような誤解を恐れぬ大胆発言もしています。
どうやらそれは本当のことのよう。名実共にハリウッドのトップスターであるにもかかわらず、華やかな場所に出てくることは少なく、ほかのセレブに比べて服装も地味。本人の存在自体が派手だから、着飾る必要がないとも考えられますが。
エキセントリックな言動と共に、ちょっと悪趣味なファッションに身を包んでいた時代もあるけれど、それは若気の至り。いまでは、品の良いシンプルファッションに身を包む姿がメディアにキャッチされることが増えました。シンプルとはいえ、テイストはヨーロッパ名家のマダム風で、いかにも質が良さそうです。
彼女のシンプル志向はいまに始まったことではありません。2001年に『トゥームレイダー』で来日したときにはすでに、「私のクローゼットは、白、黒、紺の服ばかり。同じようなシャツやTシャツが並んでいるのよ」と話し、決してファッショニスタではないことを名言していました。『トゥームレイダー』といえば、訪れたロケ先でアジアの貧困の現状を知り、チャリティに目覚めるきっかけとなった作品。その頃から、実を取る価値観とライフスタイルがすでに定着していたのでしょう。やはり、服装は多くを物語りますからね。
そんな彼女だからこそ、本当に大切なものを見極めることのできる、『マイティ・ハート/愛と絆』の主人公・マリアンヌを説得力たっぷりに演じられたのかもしれません。ジャーナリストの夫がテロリストに誘拐されるという危機に直面する、妊娠5か月のマリアンヌは、その勇気と気丈さが、どこか演じるアンジー本人と似ています。
実生活と役柄がいくらかけ離れていようとも、役柄に信憑性をもたらすことができるのがプロの俳優というもの。それでも、ゴシップ記事が飛び交い、パパラッチが世界各地で活躍する現代では、セレブたちのプライベートなイメージがあまりにはっきり見えすぎることもあり、暴力事件を起こした俳優が品行方正なヒーローを演じたり、恋多き女優が奥手な乙女を演じたりすると、違和感を覚えることもしばしば。
その点、アンジーの場合は、本人の幅の広さから、ジャーナリストからファムファタールまで、どんと来い。マリアンヌが見せるエキゾティックなファッションも、彼女がアフリカやアジアで難民キャンプを訪れる際に見せるファッションを彷彿させ、“いかにも”で嫌味な役作りは一切感じさせませんでした。アカデミー賞有力と言われている作品ですが、本作のアンジーの演技は確かにアカデミー級。でも、すでにオスカー女優であることと、虚栄に無関心であることを考え合わせれば、アカデミー賞を獲るかどうかはどうでもいい、この作品に出演したことに対する誇りだけで私は十分よ、と彼女なら言いそうではありますが。
どうやらそれは本当のことのよう。名実共にハリウッドのトップスターであるにもかかわらず、華やかな場所に出てくることは少なく、ほかのセレブに比べて服装も地味。本人の存在自体が派手だから、着飾る必要がないとも考えられますが。
エキセントリックな言動と共に、ちょっと悪趣味なファッションに身を包んでいた時代もあるけれど、それは若気の至り。いまでは、品の良いシンプルファッションに身を包む姿がメディアにキャッチされることが増えました。シンプルとはいえ、テイストはヨーロッパ名家のマダム風で、いかにも質が良さそうです。
彼女のシンプル志向はいまに始まったことではありません。2001年に『トゥームレイダー』で来日したときにはすでに、「私のクローゼットは、白、黒、紺の服ばかり。同じようなシャツやTシャツが並んでいるのよ」と話し、決してファッショニスタではないことを名言していました。『トゥームレイダー』といえば、訪れたロケ先でアジアの貧困の現状を知り、チャリティに目覚めるきっかけとなった作品。その頃から、実を取る価値観とライフスタイルがすでに定着していたのでしょう。やはり、服装は多くを物語りますからね。
そんな彼女だからこそ、本当に大切なものを見極めることのできる、『マイティ・ハート/愛と絆』の主人公・マリアンヌを説得力たっぷりに演じられたのかもしれません。ジャーナリストの夫がテロリストに誘拐されるという危機に直面する、妊娠5か月のマリアンヌは、その勇気と気丈さが、どこか演じるアンジー本人と似ています。
実生活と役柄がいくらかけ離れていようとも、役柄に信憑性をもたらすことができるのがプロの俳優というもの。それでも、ゴシップ記事が飛び交い、パパラッチが世界各地で活躍する現代では、セレブたちのプライベートなイメージがあまりにはっきり見えすぎることもあり、暴力事件を起こした俳優が品行方正なヒーローを演じたり、恋多き女優が奥手な乙女を演じたりすると、違和感を覚えることもしばしば。
その点、アンジーの場合は、本人の幅の広さから、ジャーナリストからファムファタールまで、どんと来い。マリアンヌが見せるエキゾティックなファッションも、彼女がアフリカやアジアで難民キャンプを訪れる際に見せるファッションを彷彿させ、“いかにも”で嫌味な役作りは一切感じさせませんでした。アカデミー賞有力と言われている作品ですが、本作のアンジーの演技は確かにアカデミー級。でも、すでにオスカー女優であることと、虚栄に無関心であることを考え合わせれば、アカデミー賞を獲るかどうかはどうでもいい、この作品に出演したことに対する誇りだけで私は十分よ、と彼女なら言いそうではありますが。
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