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【TIFFレポート41】監督が自家用車を売って製作された『モーツァルトの街』

一介の旅行者としてソウルを訪れ、幸せな旅を満喫する女性と、労働者として長くそこに暮らす人々という2つの視点から、この街が抱える哀しみ、孤独を描き出した『モーツァルトの街』。映画祭も残すところ2日となった10月25日(土)、「アジアの風」部門に出品された本作が上映され、チョン・ギュファン監督とプロデューサーのチェ・ミエが出席してのティーチインが行われた。

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『モーツァルトの街』ティーチインに出席した(左から)チョン・ギュファン監督とプロデューサーのチェ・ミエ
『モーツァルトの街』ティーチインに出席した(左から)チョン・ギュファン監督とプロデューサーのチェ・ミエ 全 1 枚
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一介の旅行者としてソウルを訪れ、幸せな旅を満喫する女性と、労働者として長くそこに暮らす人々という2つの視点から、この街が抱える哀しみ、孤独を描き出した『モーツァルトの街』。映画祭も残すところ2日となった10月25日(土)、「アジアの風」部門に出品された本作が上映され、チョン・ギュファン監督とプロデューサーのチェ・ミエが出席してのティーチインが行われた。

観客からはまず、タイトルの持つ優雅な響きと、実際に劇中で描かれている物語とのギャップについての質問が出たが、監督は「都会に暮らす人々の哀しみをソナタで表現したいと考えました。誰のソナタが良いか、それこそベートーヴェンからメンデルスゾーンまでいろいろと探しましたが、なかなか見つからなかったんです。ある日、運転中にラジオを聴いていたら、モーツァルトのソナタが流れたんですが、そのもの哀しい響きに『これだ!』と思って決めました」と説明した。

ソウルの街の最下層とも言える人々に焦点を当てた意図については「私が何より描きたかったのは、人々が持つ“心の傷”です。本来、それは上流階級であれ、労働者であれ等しく抱えているものです。ただ今回、旅を楽しんでいるピアニストのサラと対比させる形で、彼女の目には映らない人々を描きたかったので、あえて違法労働者や移民にスポットを当てました」と語った。

プロデューサーのチェ・ミエさんによると本作の予算は日本円で300万円ほど。監督曰く「僕は自家用車を売って資金に充てました(苦笑)」とのこと。だが、監督はそんな苦労も何のその「人々が抱える“心の傷”をテーマにした作品をシリーズ化したいと考えています。まあ、次回作も今回同様、資金集めに苦労しそうですが…(笑)」とやる気を見せる。「少なくとも3本は撮ります!」という監督の宣言に、客席からは大きな拍手が贈られた。

第21回東京国際映画祭特集
http://www.cinemacafe.net/fes/tiff2008/

《シネマカフェ編集部》

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