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レオン・ライ&チャン・ツィイー、京劇という最高の舞台での“運命”の競演を語る

20世紀初頭、颯爽と舞台の上に登場し、戦後の文化大革命の時代にかけて活躍し、京劇の全盛期を築いた伝説の女形・梅蘭芳(メイランファン)。彼の激動の半生を綴った『花の生涯〜梅蘭芳〜』が公開を迎える。梅蘭芳を演じたのはレオン・ライ。そして、チャン・ツィイーが、当時の京劇界きっての男形女優で、梅蘭芳との共演をきっかけに彼と愛を深めていく孟小冬(モンシャオトン)を演じている。映画の公開を前に、レオンとツィイーの2人が揃って作品について語ってくれた。

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『花の生涯〜梅蘭芳〜』 レオン・ライ&チャン・ツィイー photo:Yoshio Kumagai
『花の生涯〜梅蘭芳〜』 レオン・ライ&チャン・ツィイー photo:Yoshio Kumagai 全 12 枚
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20世紀初頭、颯爽と舞台の上に登場し、戦後の文化大革命の時代にかけて活躍し、京劇の全盛期を築いた伝説の女形・梅蘭芳(メイランファン)。彼の激動の半生を綴った『花の生涯〜梅蘭芳〜』が公開を迎える。梅蘭芳を演じたのはレオン・ライ。そして、チャン・ツィイーが、当時の京劇界きっての男形女優で、梅蘭芳との共演をきっかけに彼と愛を深めていく孟小冬(モンシャオトン)を演じている。映画の公開を前に、レオンとツィイーの2人が揃って作品について語ってくれた。

「梅蘭芳が持っている魅力は世界にひとつだけのもの」(ツィイー)

梅蘭芳という俳優の偉大さについて、ツィイーは一言「梅蘭芳という存在は世界にたった一人、つまり彼が持っている魅力は世界でたった一つだけのものなのです」。レオンもこれにうなずきこう語る。
「我々のようにいま現在、芸能の世界に身を置く者にとっては基礎を築いてくださった方です。京劇というものは、中国の伝統芸能の中でも国宝とも言うべきものです。残念ながら彼の舞台をこの目で見ることは出来ませんが、たとえ見ることが出来たとしても、その魅力を言葉で描写することは出来ないのではないかと思います」。

梅蘭芳の人生の中で、彼と共有した時間はごく短いものに過ぎないにもかかわらず、彼の人生に強烈な影響を与えた孟小冬。ハリウッド作品を含む数々の大作に出演してきたツィイーだが、この作品および役柄のどこに惹かれて出演を決めたのだろうか?
「実は、このお話をいただく少し前に孟小冬の自伝を読んでいたんです。もっとお時間があれば、いまここで彼女の生涯についてもかなり詳しくお話が出来るんですが(笑)。彼女が梅蘭芳に対して抱いていた気持ち、感情は、まさに映画の中で描かれている通りだったと思います。彼女の人物像に魅力を感じ、強く惹かれました。それに加え、チェン・カイコー監督とは以前からずっとご一緒したいと思ってたんです」。

続けてツィイーは、梅蘭芳と孟小冬の関係性をこう表現する。
「この2人は、何よりまず互いに理解し合える仲間なのだと思います。2人が置かれている特殊な立場やバックグラウンドもあって、言葉に出さずとも相手が何を求めているのかも分かるし、互いに相手に対してより大きな空間を与えようとするんです。当時の2人と私たちを比べるわけではありませんが、私たち現代の俳優も、時折そういう感覚を抱くことはあります」。

「レスリー・チャンの『覇王別姫』とは全く別の作品」(レオン)

京劇をテーマにした作品と言えば、同じくチェン・カイコー監督が故レスリー・チャンを主演に迎えて製作し、カンヌ国際映画祭のパルムドールに輝いた『さらば、わが愛/覇王別姫』('93)が名高い。人々の関心は2作品の比較に向けられがちだが、レオンにプレッシャーはなかったのだろうか? レオンは「私自身、いまでもレスリーを偲んでいます」と優しい笑みを浮かべ、さらにこう続けた。
「20年近く俳優をやってきて、マスメディアや世間がどういう角度でどんな話を聞きたがっているのかは分かっているつもりです。まず、私から言えるのはこの2つの作品は全く違う映画だということです。そもそも『覇王別姫』というのは、梅蘭芳先生が創作された100以上の演目のうちのひとつであり、それに対してこの映画は、先生の舞台のみならず、私生活をも描いています。そうは言ってもみなさんは比較されたいでしょうし(笑)、僕の言葉でみなさんの考えを変えることは出来ないことも理解しています。そういう意味でプレッシャーはありませんでした。自分なりの理解で役を演じていこうという気持ちでした」。

京劇のシーンについては共にかなりの練習を重ねた様子。ましてや今回はそれぞれ女形、男形の俳優を演じるとあってかなり難易度の高い役だったようだが…。
「『ジャンルが違えば、山を隔てたように中身が違う』とよく言われますが、まさにその通り。実際に歌ったり、衣裳を着て動いてみるとかなり難しかったです。扇子をどう持つのか? ヒゲをどう撫でればいいのか? 赤ん坊が歩き方を覚えるかのようにひとつひとつ学んでいきました。スクリーンに現れるのはほんの短い時間ですが、見ていただければきっと、我々がどれだけ努力したかを分かっていただけると思います」。ツィイーのこの言葉にレオンは「全くもって彼女の言う通り。以上!」と笑顔を見せた。

10年という歳月が2人に与えたものは…

2人はつい先ごろ、本作を携えてベルリン国際映画祭を訪れたばかり。実は10年前にもツィイーは『初恋のきた道』、レオンは『ラヴソング』でそれぞれベルリンに足を運んでいる。この10年における自身、そして周囲の変化をどのように受け止めているのだろうか?
「周囲の環境という点に関して言えば、変わってないはずがないですね(笑)。昔は映画祭から帰ってからその間の報道を読んで、反応を確かめていましたが、いまではそうはいきません。あの頃は『ところで銀熊賞って何なの?』って…(笑)。環境だけでなく、もちろん私自身が変化した部分も多くあります。以前と違って“誰と”、“どんな”仕事をするか、そしてしないかということに関して、自分自身で考えなくてはならない部分が大きくなりました。ただ、性格的なところはあまり変わってないと思います。自分の気持ちに素直に生きるところや“自由”に対する憧れは変わっていませんし、これからも大切にしていきたいです」(ツィイー)。

「難しい質問です…。ぴったり10年というところには運命を感じますね。そういえば、10年前の監督は(ピーター・)チャンでチェン・カイコーと同じ“陳”という漢字です。(『ラヴソング』で共演した)マギー・チャンも、ツィイーと同じチャンです。でも漢字は張と章で違いますね…(としばし考え込む)。いろんな出会いがありますが、運命によって定められているのでしょうか。それは、船が海を航行するのと同じなのかもしれません。何もしないでいたら、嵐が来たときに沈没してしまいます。目指すべき方向、大好きなアートを極めるという気持ちを持ってこれからもやっていきたいと思います」(レオン)。

2人の口から発せられる“運命”という言葉を聞いていると、この先の10年、2人にどのような運命が待ち受けているのか想像せずにはいられないが、まずは今回の奇跡の競演をとくと目に焼き付けてほしい。

《photo:Yoshio Kumagai》

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