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【インタビュー】“美しき闘う女”チャン・ツィイー、運命を切り拓く真の女性の強さとは?

先日行われた第66回カンヌ国際映画祭で「ある視点」部門の審査員を務めたチャン・ツィイー。審査を務めるのは3度目とあって、すっかりなじみの場所となったカンヌでは「エリ・サーブ」の優美なドレス姿で我々を魅了してくれたが…

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チャン・ツィイー(ルオメイ役)/『グランド・マスター』
チャン・ツィイー(ルオメイ役)/『グランド・マスター』 全 8 枚
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先日行われた第66回カンヌ国際映画祭で「ある視点」部門の審査員を務めたチャン・ツィイー。審査を務めるのは3度目とあって、すっかりなじみの場所となったカンヌでは「エリ・サーブ」の優美なドレス姿で我々を魅了してくれたが、『LOVERS』('04)以来、久々のアクションに挑んだウォン・カーウァイ監督作『グランド・マスター』についてもその思いを語ってくれた。

本作は激動の20世紀初頭、時代に抗い、運命を切り開こうとした武術流派の“グランド・マスター(宗師)”たちの愛と宿命の闘いを、想像を超えた映像美と壮絶なアクションで描いたエンターテインメント超大作。本作でツィイーは、グランド・マスターである父の復讐心に燃えながらも、トニー・レオン扮するイップ・マンに想いを寄せる女性武術家・ルオメイを演じている。

チャン・イーモウ監督の『初恋のきた道』('00)でベルリン映画祭「銀熊賞」を受賞して以降、アカデミー外国語映画賞受賞の『グリーン・デスティニー』('00)でアン・リー監督、ゴールデングローブ賞主演女優賞ノミネートの『SAYURI』('05)でロブ・マーシャル監督と、これまで名だたる巨匠と組み、アジアから世界のスターとなったツィイー。彼女にとって、『2046』('04)でもタッグを組んだカーウァイ監督作品には特別な思い入れがあるようだ。

カーウァイ監督といえば、脚本らしい脚本がない撮影スタイルで知られているが、本作で演じたルオメイについても「どんなキャラクターになるか、どんな性格をしているのか、最初は全然分からないところが面白いの。ルオメイのこともちょっとずつ知っていくという作業だった」とツィイーは語る。

「完成した映画を観て、あぁ3年掛けてこういうキャラクターを演じたんだな、って分かるの」と笑顔を見せながらも、「だから、カーウァイ監督の作品ではどの俳優の演技も特別なのよね。準備ができないからこそ、すべてが私たちのハートから来ているから」と、演じる者としての“心”が何より試されると話す。

今回も監督から、武術家のまねごとではなく、ひとりの女性として武術がどういうものか、その心を体現するという高い要求を突きつけられたが、ツィイーは見事に演じきった。「私が思うに、すばらしい演技とは“演技しない”ことなんじゃないかな。演じるのではなく、“ただ在る”ということね。そうすればキャラクターとして自然な感情が湧いてきて、観客もそれを捉えてくれると思うの」と、厳しいトレーニングの末に至った境地から生まれた感情も含めて、スクリーンに映し出されていくというのだ。

では、トニー・レオン扮するイップ・マンへの想いを封印してまで“武”の道を究めていくルオメイの、女性としての“心”は一体どんなものだったのだろうか。

「ルオメイは強い意志も持っているけれど、社会や文化、過去、そして父との関係にも影響されているから、どうしてそうなったか、一つの理由があるわけじゃない。もっと複雑なの」と、ツィイーは役柄への思いを巡らせる。「ルオメイは勇気があるし、時代の先を行っていた女性だと思うわ。まるで現代女性のようだもの。いまなら女性ができるかもしれない決断も、あの時代には普通にできなかったわけだし」と彼女の勇気を賞賛し、さらに「でも、その強さが観客の心に響いているんだなと感じるわ」と言葉を続けた。

「中国では特に女性の観客がルオメイに感情移入したという声をたくさん聞いた」というツィイー。だからこそ、ほかの国の女性たちが彼女のことをどう感じるか、とても興味があるのだという。
「女性はこの役に対して憧れがあると思います。どの女性にもルオメイと同じ部分があるから。女性は強いです」と、自らの意志で運命を切り拓こうとするルオメイに、真の女性の強さを見たようだ。

「一生に一度めぐり会えるかどうかの大切な役をいただいた」と、監督に感謝しているというツィイー。「私もルオメイが大好きです」と話す彼女自身の姿が、強い意志を持ち、目標のためには努力を惜しまない、自立した女性であることを物語っている。

《シネマカフェ編集部》

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