【インタビュー】神木隆之介 “剣心”佐藤健を追いかけて…創り上げた“宗次郎”

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神木隆之介『るろうに剣心 京都大火編/伝説の最期編』/Photo:Nahoko Suzuki
神木隆之介『るろうに剣心 京都大火編/伝説の最期編』/Photo:Nahoko Suzuki 全 14 枚 拡大写真
「僕はすごく分かりやすい人間だと思います。考えていることがすぐ顔に出てしまうし、家族にも『分かりやすい!』って言われます(笑)」。

そんな神木隆之介が『るろうに剣心 京都大火編/伝説の最期編』で演じた瀬田宗次郎は、感情の欠落した人間だ。幼くして心に深い傷を負い、喜怒哀楽の“楽”以外を失ってしまった男。

だが、神木さんは宗次郎を「ニコニコしているのに、大きな哀しみを背負っている。一見すると無機質っぽいキャラクターですけど、しっかりした人間なんです」と愛情たっぷりに表現する。そこには、「原作のいちファンとして、宗次郎はどうあってほしいかというものが僕の中にもある」という極めて純粋な思いがあった。

コミックを実写化するにあたり、いち早く話題になるのがキャスティング。原作の人気キャラクターであり、剣の腕は主人公の剣心(佐藤健)に勝るとも劣らない宗次郎に関しても、神木さんの起用が発表されるや否や原作ファンの間で大きな話題となった。

「プレッシャーはもちろんありました。でも、役に向き合う際のプレッシャーには強い方なんです。逆に、舞台挨拶とか、人前に立つときのプレッシャーには弱いです。絶対に噛む(笑)! 人に見られながら話すのが苦手だし、緊張するし…」。

頼もしさ半分、可愛らしさ半分。親しい友人からは「『縮地ってどうやるの?』って言われていました」と笑う。“縮地”とは、宗次郎が原作コミックで披露する高速移動術だ。

「原作の宗次郎は消えますが、生身の人間が同じことをしても消えない(笑)。でも、実写化する以上、人間味のある作品にしないといけないわけで、となると消えることはない。殺陣はもちろん、走るシーン1つを取っても、人間の限界よりも少し上を目指す意識でやっていました。あまりにも現実離れしていると“ありえないよ”となってしまう。そうではなく、“うわっ、速いね!”と思われるリアリティが必要だったんです」。

「うわっ、速いね!」と感嘆させられる場面は、『京都大火編』の序盤からしばしば訪れる。剣心の宿敵となる志々雄真実(藤原竜也)の部下として、剣心の前に立ちはだかる宗次郎。剣心役の佐藤さんとは普段も仲良しだが、「そこはもう、“倒す!”という気持ち。なので、バシバシ当たっています。お互いを斬りにいっているから、避けそこねてしまうと当たってしまうんです。その緊張感はありましたね」と壮絶な撮影だったことを明かす。

とは言え、撮影後は「健くんと一緒に納豆ごはんを食べに行きました。山形で剣心と宗次郎の対決シーンを撮影していた時に。『お腹すいたね~。何食べたい』『納豆!』『いいね! 納豆』『やっぱ納豆は最強だよね。安定だよ』って(笑)」というほっこりした思い出も。互いを斬り合い、納豆をかき混ぜ合った佐藤さんからは、「毎日毎日、隆は部活のように殺陣に取り組んでいた」との証言も届いている。

「考えるだけじゃ駄目で、実際に体に叩き込まないといけない。やった分だけ絶対に成長できているはずだし、そうしないと相当な努力を重ねてきた健くんに追いつかないなって。なので、とにかく必死でしたね。でも、いつも不安でした。昨日できなかったことが今日はできるようになり、技術的な手応えを感じることはありましたけど、確実な自信はなかったです。けれど、健くんが“ヤバイ!”と思うくらいの存在にはなりたい。宗次郎という役が、剣心にとってそうであるように」。

役との真摯な向き合い方は、本作に限らず、過去の出演作からも分かること。「何だろう? 負けず嫌いなところですかね」と、随分あっさりした口調で自己分析する。

「隠しているつもりはないし、負けず嫌いっぽくない雰囲気にとられがちですけど、実はそうなんです。ゲームをやるにしても、スポーツをやるにしても、負けるのは絶対に嫌なんです。どんなことでも勝算って0(ゼロ)ではないから、それに懸けている。そういった思いが、自分の中で“絶対にいける!”に変わっていく瞬間があるんです。要は、思い込みなんですよね(笑)。なので、お芝居に関しても、この作品で言えば殺陣だったり、技術面を問われるものに取り組む時は負けず嫌いの顔が出るかもしれないです」。

また、役者として、人としての信念は「常に感謝すること」だとも。
「“実るほど頭を垂れる稲穂かな”でありたい。経験を積んでなお謙虚な人に憧れますし、僕もそうありたいです。藤原竜也さんってまさにそんな方で、志々雄の時はぐわ~っとすごんでいてものすごい迫力なのに、カットがかかるとちょこんと座っていらっしゃるんです。志々雄なのに(笑)。しかも、あんなにすごいのに『オレ、大丈夫だったかなあ』とか言っているんです。大丈夫に決まってるじゃないですか! って感じですよね(笑)。もう、本当に素敵でした」。

モットーとして掲げているのだから当然かもしれないが、カメラの前では大胆不敵なのに、素顔は驚くほど謙虚なのは神木隆之介も一緒ではないか。こう指摘すると、「でも、藤原さんはカメラが回っている時の迫力が本当にすごくて! 僕だったら剣心みたいに対峙できない。志々雄一派でよかったと心から思いました」。

そう話しながら見せる笑顔は、もちろん劇中で宗次郎が見せる冷えた笑顔とは異なる。穏やかな素顔を封印して狂気の役と化すこともあれば、持ち前のキラキラを消してサエない男子を演じることも。役者・神木隆之介は変幻自在だ。

「いや、キラキラはしてないです(笑)。地味です。どちらかと言うと、(『桐島、部活やめるってよ』で演じた)前田。なので、できたんだと思います。でも、その一方で、自分とは違う狂気的な役を演じるのも楽しいです。宗次郎も、(『SPEC』の)ニノマエも、何で演じられたんだろう? と思いつつも楽しい。たぶん、自分に何ができるのか、自分がどんな人間なのか、いまだに分かっていないのが面白いんでしょうね。そういう意味では、自分自身に興味を持ち続けていますし、自分に対して暇になりたくない。自分で自分のことが分かり過ぎてしまうと、ちょっと飽きてくると思うんです。そうではなく、陰の部分も、陽の部分も、もっと自分に何かがあってほしい。そこを探りながら、いろいろな役を演じていくのが楽しいんです」。

《Text:Hikaru Watanabe/Photo:Nahoko Suzuki》

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