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【シネマモード】恋に愛に悩む女性へ…男女の違いを理解する『ラブストーリーズ』

男と女って、どうしてこうも分かり合えないものなのか。恋愛経験のある方なら、誰もが一度はこう思った経験があるのではないでしょうか…

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ジェシカ・チャステイン&ジェームズ・マカヴォイ『ラブストーリーズ コナーの涙 | エリナーの愛情』-(C) 2013 Disappearance of Eleanor Rigby, LLC. All Rights Reserved 
ジェシカ・チャステイン&ジェームズ・マカヴォイ『ラブストーリーズ コナーの涙 | エリナーの愛情』-(C) 2013 Disappearance of Eleanor Rigby, LLC. All Rights Reserved  全 11 枚
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男と女って、どうしてこうも分かり合えないものなのか。恋愛経験のある方なら、誰もが一度はこう思った経験があるのではないでしょうか。そんな思いの源となる男女の違い。それを極めて現実的に、でも極めてロマンティックに映し出したのが、映画『ラブストーリーズ』です。コナーとエリナーという一組のカップルが経験したある愛の物語を、二人の視点から別々に映し出した『コナーの涙』『エリナーの愛情』という独立した2本の作品で構成されている本作。

1本だけ観るのも面白いですが、両方観ることで、事実は見る角度によって違ったものとなることを実感できるのです。また、ユニークなのは、どちらの作品を先に観るかで、コナーとエリナーそれぞれの印象だけでなく、物語の感じ方も変わるところ。いずれにしても、1本観れば、もう一人の物語も観たくなるのが人間の性。いわば、これまでの恋愛映画では、描かれることのなかった裏の裏まで、愛を覗けるという訳です。

愛し合って結ばれたエリナーとコナーでしたが、結婚して数年後に訪れた悲劇から、心に傷を負い、別れることになります。本作では、その過程と二人の再生までを同時進行的にそれぞれの視線で追っていくのです。

『コナーの涙』『エリナーの愛情』では、それぞれに独自のシーンが追加されていたり、同じシーンであっても視点の角度や、言葉のニュアンス、衣装までもが違っていたりすること。人間の記憶の曖昧さを、男と女の感じ方の違いを、こんな風に映し出すのはとても実験的。そして、妙に切ない。ぜひ2作を見比べて、エリナーとコナーの意識の中へ深く入り込んでみてください。女と男、あまりにも違う二つの視点から、ひとつの物語を観たとき、解釈の幅、感じ方の自由が広がるのを感じるはずです。

そして、観察ポイントがもうひとつ。男と女の違いが顕著になるのが、経年による外見の変化です。エリナー側の心境の変化は、恋愛関係にあるときと、結婚後にきっぱりと物事に整理をつけたいと感じたとき、とても明らかになります。最初、柔らかいベージュのワンピースに、ふんわりとしたナチュラルなウェーブのロングヘアで登場するエリナーは、“恋する乙女”然としていて、実にロマンティック。ところが、二人が離れてしばらくした後、コナーがしばらくぶりに目にした彼女は、ストレートのショートヘアに、黒や紺といった強く濃い色の、シンプルなデザインの服を身につけた現代的な女。アイメイクもばっちり施し、すっかり都会的に洗練されているのです。

心境に変化があったとき、強制的に気分を変えたいときに、女性がよく用いるのがヘアスタイルやメイク、ファッションを劇的に変えるという方法。自ら、変化を起こすのです。一方、コナーは登場してからというもの、ほぼ外見のトーンが同じ。男性が髪形を変えたきっかけとしてよく聞くのは、反省して頭を丸める…という感じでしょうか。むしろ、外圧でもなければ、一般的にはあまり男性が気分を変えるために髪形やファッションを変えたという話はあまり聞きません。つまり、外見を変えることで気分を変えることができる(傾向にある)のが女、それができにくいのが男ということでしょうか。

ここでご紹介した違いだけでなく、あなたなりに男女の違いを、きっと発見できるのが本作。2本を見比べることで、「ああ、この言葉を、こういう意味にとっちゃうわけね」と感じる場面もあるでしょう。思いはあるのに、違いが障壁になってしまう。でも、その障壁を乗り越えるためには、そこに障壁があることを知るべき。目の前に壁があるのにつき進んでも、決して壁は乗り越えられませんが、存在していると分かれば、跳んでみたり、はしごを持って来たり、回り道をしてみたり、方法を探ることだってできるのですから。

どちらがいいと言うことではなく、すべては男と女の違い。そこに気づかせてくれる『ラブストーリーズ コナーの涙/エリナーの愛情』恋に愛に悩んでいる方にこそ、観ていただきたい愛の物語です。

《牧口じゅん》

映画、だけではありません。 牧口じゅん

通信社勤務、映画祭事務局スタッフを経て、映画ライターに。映画専門サイト、女性誌男性誌などでコラムやインタビュー記事を執筆。旅、グルメなどカルチャー系取材多数。ドッグマッサージセラピストの資格を持ち、動物をこよなく愛する。趣味はクラシック音楽鑑賞。

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