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【インタビュー】<後篇>真野恵里菜 「夢にも思ってなかった」女優業にハマったワケ

『みんな!エスパーだよ!』では果敢にパンチラを披露し世の男子を熱狂させ、一方、同じ園子温監督による『新宿スワン』では闇を抱えた風俗嬢をシリアスに演じ切るなど個性的で振り幅の激しい役柄を次々とこなす真野恵里菜。

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『映画 みんな!エスパーだよ!』真野恵里菜 /photo:Naoki Kurozu
『映画 みんな!エスパーだよ!』真野恵里菜 /photo:Naoki Kurozu 全 5 枚
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『みんな!エスパーだよ!』では果敢にパンチラを披露し世の男子を熱狂させ、一方、同じ園子温監督による『新宿スワン』では闇を抱えた風俗嬢をシリアスに演じ切るなど個性的で振り幅の激しい役柄を次々とこなす真野恵里菜。

インタビュー後篇では、ドラマ版「みんな!エスパーだよ!」から今回の劇場版『映画 みんな!エスパーだよ!』に至るまでの約2年半――ハロプロのアイドル・真野ちゃんが女優・真野恵里菜に変貌するまでを解き明かす!

この2年半「ハロプロにいたらできなかった」という個性的で激しい役が次々と彼女の元に舞い込んだが、躊躇することなく、文字通り体当たりでそれぞれの役に挑んできた。

「自分ではあんまり自覚はないんですが…。でも、ネットで自分の名前を検索したり、Wikipediaで自分のページの出演作品を見ると、変わった役やってるなぁって思いますね(笑)。最近になっていまさら、ピュアなラブストーリーをやってみたいって思ったり…(笑)。でも、こういう濃い役ができる、そういう作品になじむというのはひとつの武器なのかな? とも思ってます。そこに溶け込めるのは嬉しいです」。

ニュースなどではいまでも「元アイドルでありながら」とアイドル時代とのギャップが強調されやすいのは事実。いま、真野さんは「アイドル」という自身の芸能歴の決して少なくない割合を占める部分をどのように受け止めているのだろうか?

「以前は現場で『アイドルだね』と言われるのはネガティブに捉えてました。アイドルだから多少ヘタでも、できなくても許されるというか…。アイドルというのは発展途上の存在で、成長していく姿を見守るものだから、そう言われるのは自分ができてないからなんだと。でも、いまは活かせる部分は活かしたいと思ってます。今回の映画でも嘉郎の妄想シーンが多いですが、そこはハロプロ時代のイメージカットやPVの時の経験が活きたと思います。過去の自分を否定する気持ちは全くないし、ハロプロ時代があったからこそいまの自分があって、この役をもらえてるんだ、と最近になって思うようになりましたね」。

実際、アイドル時代も自らの立場を巧みに役柄に反映させていた。ハロプロ在籍時に出演した人気ドラマ「SPEC」では、アイドルチックなロリータ系の占い師・サトリを演じたが、劇中で流れる音楽に対して放った「AKBかよ? ハロプロにしとけよ!」というセリフはアイドル界隈で“激震”を起こした。一方で、園監督に対しての彼女の「もっと厳しく言ってほしい」(インタビュー前篇)という発言や、極限まで自分を追い込むような激しい役柄を躊躇なくこなしていく姿勢には、やはり、“元アイドル”という枠組み、色眼鏡を飛び越えようとする気概を強く感じる。

「私、自分を客観視した時に個性がないなと思ったんです。面白いことを言えるわけでもないし、突出して得意なこともない。普段の私生活も地味でノーマルですし…。でも、その時、気づいたんですが、役に出合うと普段はできないことが不思議なくらいできたり、ハイテンションになったり、役を演じることで“もらえる”んですよね。明るい役なら明るくなるし、暗い役なら暗くなるし、『エスパー!』に出ると下ネタに免疫ができたり(笑)、生きていく中で、役に出合い、自分がいろんな色に塗られて成長していくのがとにかく楽しいんです。だから、いろんな役をやって常に変わっていきたいです」。

そもそも、芸能界に入ったのは「ハロプロが好きで、松浦亜弥さんの大ファンだったから」。とにかくその一員になりたくてオーディションを受けたが、その時には自分が芝居をやることになるとは夢にも思っていなかった。

「ソロデビューに際して、いろんな活動をした方がいいということでお芝居をやってみて、外の世界を知ってしまったという感じですね(笑)。もちろん、ステージやショーもスタッフさんの協力があってこそできるんですが、とはいえ私はソロだったので、いざショーが始まると『自分 対 お客さん』の空間になって、自分で好きなことができて、好きな空間を作れるんですよ。でもお芝居はそうはいかない。いろんな方がいて、いろんな空気を作っていき、自分がこうだと思って読んでいった台本を相手は全く違った読み方をしていて、相手と合わせることで意味が変わったり、相手が予想外の言い方をしてきて、ガラリと空気が変わったりする。それが衝撃的で楽しかったんです。みんなで思いも寄らないものを作っている感じが。撮影が終われば『はい、終わりです』とバラバラになる儚さもあり、でも何年後かに、違う現場でまた再会できる喜びもあったり…。役者って、旅をしているみたいだなと思いました。ひとつの集落に行って、またバラバラになってどこかでまた別の人と出合って、というのが楽しいです」。

最初に事務所に入った時は研究生。「高校卒業までにデビューできなかったら、スッパリやめて、大学に行って、普通に就職しようと思っていた」という少女は、決断と努力を積み重ね、多くの作り手に求められる女優になった。

「この世界を選んで本当に良かったと思うし、向いてるんだなとも感じます。『満足するまでやろう』と思ってたんですが、作品を終わるごとに満足感は得ても『もっともっと!』『さらに上を』という気持ちでまたやりたくなっちゃう。過酷な現場ほど楽しいし、ワクワクしちゃう(笑)。ハマっちゃったんですね」。

この世界に入る決断、続ける決断、アイドルをやめて、女優一本で生きていこうという決断。24歳にして、彼女の人生は決断であふれている。

「あんまり他人の意見を聞かないタイプなのかもしれません(笑)。ハロプロ卒業の時も、いろんな人と話をしたけど、結局は自分で『いまだな』と思ったんです。『(当時)22歳になるいま決めないと、同世代の他の女優さんと同じ場所には行けなくなる! いま、自分でひとつ、抜け出さないとこれから先、続かなくなる』と思って決めました。『他人の意見、聞かないね』と言われることも多いですが、自分の人生なので、話はうかがいつつも、どう決めるかは自分の選択。後悔しないように…最終的には楽しめればいいか! って思ってます(笑)」。

彼女を巡る喧騒は間違いなく、もっと大きくなる。単なるブームやブレイクなどでは終わらずに。過酷な振り幅の中で重力に身をよじらせながら、きっと真野恵里菜は笑っている。

《photo / text:Naoki Kurozu》

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