【美的アジア】時間をかけて紡ぐ大人の恋…『スイートハート・チョコレート』

韓流・華流 コラム

『スイートハート・チョコレート』 (C)2012 MZ Pictures
『スイートハート・チョコレート』 (C)2012 MZ Pictures 全 8 枚 拡大写真
リン・チーリン主演×篠原哲雄監督の日中合作映画『スイートハート・チョコレート』が公開中。実はこの作品、2012年の東京国際映画祭に出品されていたのですが、当時、プレス試写予約もあっという間に満席、一般チケットも入手できずで泣く泣く観ることができずにいたのです。日中間の諸問題によって公開が延びてしまっていた本作。「時間」「待つ」という1つのキーワードは、作品の中のテーマにも繋がっています。

絵の勉強のために夕張に留学していたリンユエ(リン・チーリン)が出会う2人の男性。彼女が恋心を抱くレスキュー隊の星野守(福地祐介)と守の兄貴分の総一郎(池内博之)。この3人のトライアングルな恋模様が10年という時をかけて静かに丁寧に描かれています。

毎年大晦日に手作りチョコレートを近所に配っていた守に惹かれ、またそのチョコレートの味が忘れられず、守亡き後もその味を再現しようと1人チョコレート作りに没頭するリンユエ。そしてそんな姿を見守り続ける総一郎。リンユエの守への思いを一番近くでずっと見ていた総一郎だからこそ、自分の気持ちをなかなか伝えられない、そんな2人の微妙な距離感が、観る者を、そわそわさせます。

「忘れられない人」という存在は、人生の「時」までも止めてしまう位の偉大な存在…リンユエと総一郎を見ているとそのことがひしひしと伝わってきます。そんな繊細は心情をリン・チーリンさんと池内博之さんが好演。互いにリンさんは日本語を、池内さんは中国語を流暢に扱いながらのお芝居も見ごたえがあります。

自分の思いだけで突っ走ってしまいがちだった「若い恋愛」とは違う、大人だからこそ、相手の立場を思いやり、時間をかけて築きあげていく恋の関係というのも素敵なものだな、とこの作品は教えてくでます。

主な舞台となった夕張の変わりゆく「四季」の移ろいも、「時間」をより鮮やかに美しく表現しています。

「時間」をかけて答えを出した2人の結末は、スイートなのかビターなのか。その答えを是非劇場で「ゆっくり」とご堪能ください。

《text:Tomomi Kimura》

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