【イマ旬!ハリ・レポ】米国よ、アベンジャーズたちから学べ! LGBTとアメリカのダークサイド

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『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』 - (C) 2016 Marvel.
『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』 - (C) 2016 Marvel. 全 9 枚 拡大写真
アメリカには非常にダークな側面がある。

『キャプテン・アメリカ』にあった“古き良き正義の味方アメリカ”というイメージの一方で、『それでも夜は明ける』にあったような人種差別が合法だったという醜い過去も持つ。そして恐ろしいことに、現在のアメリカでは人種差別の矛先がLGBTの人々に向いてきており大変な懸念材料となっている。

アメリカでは自分の性に正直に生きようとした人々を扱ったさまざまな映画が公開され、多数の映画賞候補となったりアカデミー賞を受賞した作品もある。例えば、女性ふたりの切ない同性愛を描き今年のアカデミー賞6部門にノミネートされたケイト・ブランチェット主演作『キャロル』。そして1930年に世界初の性別適合手術を受けた人物リリー・エルベを題材としたエディ・レッドメイン主演作『リリーのすべて』では、アリシア・ヴィキャンデルが助演女優賞を受賞して話題を呼んだ。これを見た限りでは、「米国というところはさぞやLGBTの人たちに寛大で思いやりの心があるに違いない」と思う方々も多いだろう。ところがこれは大きな勘違いである。

アメリカという国はとにかく広い。ハワイも入れると4つのタイムゾーンからなる巨大な国である。日本の人々が描くアメリカの印象は、殆どがロサンゼルスとニューヨークのイメージであり、実のところこの2つの都市は、むしろ別の国といってもよいほど他のアメリカの地域とは暮らし方や考え方が大きく異なる。また、法律にしても連邦レベルで決められた国の法律と州レベルで決められた州法があり、州法は各州によって大きく異なる。

良い例は、去年に国レベルの米最高裁で可決された「同性婚は合法である」という法律である。これも各州によって受け止め方が異なり、超保守派ならびにキリスト教信者が多い南部の州は、米国憲法第1条にある宗教の自由を振りかざし「ゲイやトランスジェンダーはキリスト教で認められず、そのような人間に関わることすら神への冒涜である」という考え方がまかり通っている。

それだけではない。保守派が非常に多い南部の州ジョージア、ノースカロライナ、ミシシッピー、テネシー、テキサス、フロリダでは「信仰の自由」という憲法を逆手にとり、「ゲイやトランスジェンダーとのビジネスは、信仰上の理由であれば拒否してもよい」というあり得ないような反LGBT法案が提案され、物議を醸した。

ジョージア州に関していえば、新作『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』や、人気TVドラマ「ウォーキング・デッド」など、映画やTV番組のロケ場所を提供することで財を潤しているため、この法案に対するセレブや映画スタジオの猛反発が財政に悪影響を及ぼすと見た州議会が、この法案を否決した。

だが、隣州のノースカロライナ、ミシシッピー、テネシー州では、この法案が可決されてしまったのである。なかでもテネシー州では、「信仰上の理由であれば心理カウンセラーは、 ゲイやトランスジェンダーへのサービスを拒否してもよい」という恐るべき法律が付け足され、こうなると南部にある病院では医師や看護婦によってはLGBTの患者を拒否する可能性が生じ、あるまじき生死の問題となる。

話しが少々逸れるが、『アベンジャーズ』では、アベンジャーズに拘束された悪者ロキが、スーパーヒーローたちの傲慢さを利用して内部分裂を生むことで、内側からアベンジャーズを崩していった。アメリカもみんなが力を会わせれば世界一の良い国になれるだろうに、政界でも人種間でもいつも仲間割れをしている。アベンジャーズは仲間同士のいがみ合いが地球を半壊滅状態にまで追い込んだ。お互いにいたわり合い尊重することを学ばなければアメリカも自滅の道を歩むことになり、周囲に居る者をも巻き込むことになりかねない。

《text:Akemi Tosto》

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