【インタビュー】「ゲーム・オブ・スローンズ」M・ウィリアムズ、キャラクターと共に成長してきた6年間

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「ゲーム・オブ・スローンズ」メイジー・ウィリアムズ/photo:Nahoko Suzuki
「ゲーム・オブ・スローンズ」メイジー・ウィリアムズ/photo:Nahoko Suzuki 全 7 枚 拡大写真
「聡明」という言葉がぴったりの19歳。だからと言って背伸びしている様子は微塵もなく、至って等身大。前日に行われた来日記者会見で「フクロウカフェに行きたい!」と目を輝かせていた姿からも、一夜明けて希望を叶えたいま、「ネットで見たイメージとはちょっと違って…。フクロウたちが紐につながれていてちょっと哀しかったかも」と率直に語る姿からも、ありのままの彼女が感じられる。

そんなメイジー・ウィリアムズの出演する「ゲーム・オブ・スローンズ」が、いよいよ第六章に突入する。覇権争いの一角を担うスターク家の次女にして、過酷な運命に晒されるアリア・スタークを演じ始めて6年目を迎えるわけだ。
「アリアはシーズンごとに成長するキャラクターだから、12歳でオーディションを受けたときのアリアといまのアリアは違う。私にとっても、彼女の変化を演じるのが何よりも楽しいの。子役が大人の俳優に脱皮するのは難しいと言われがちだけど、その点、私はアリアと共に成長してきた。可愛いだけじゃ終わらない役に出会えて、私は恵まれているわ」。

しかも、「成長する」と容易に言うのが躊躇われるほどアリアを取り巻く状況は厳しく、その中で「成長せざるを得ない」と言った方が正しい。「守ってあげたくなるって、みんながそう言ってくれるわ(笑)」と照れた笑顔を見せるのも納得。王家の勝ち気な少女がいまや父と母を亡くし、残された家族とも離れ離れになりながら孤独な旅を続けている。
「アリアが大変な出来事に直面するときほど、“私ならどうするかな?”“どんな気持ちになるかな?”と考える。自分の中の感情を引き出しながら、アリアの状況に身を置くの。私の役作りは、とにかく脚本に集中するところから始まる。何せドラマに関わり始めたのが12歳だったから、そのときは原作を読むには早過ぎる年齢だったのよね。両親に止められたの。描写も生々しいし、分厚いし(笑)。でも、ドラマと原作はちょっと違うから、それでよかったと思ってる。原作はいつかドラマが終わったときに読もうかな」。

父や母の敵討ちを志す中、第五章のラストで視力を失ってしまったアリア。彼女にとって、第六章はさらに過酷なシーズンとなるそうだ。
「これからのアリアがどう戦い、どう生きていくのか? 彼女は初めて誰かに頼らないと生きていけなくなるの。次第に視力を失ったのであれば、ある程度の心構えはできると思うけど、急に見えなくなったものだから、どうしたらいいか分からなくなってしまう。アリアは独立心が強いし、人を信じていないから、誰かに頼るのは屈辱的でしょうね。心身共にボロボロになった彼女が、強さを取り戻せるのかが大きな課題になると思うわ」。

いまや、シリーズは“続きが最も気になるドラマ”へと成長。制作側は関係者に厳しい緘口令を敷いており、もちろんメイジーも先々の展開を口外することはできない。
「言いたいけど言えないから、フラストレーションはすごくたまるわね。でも、それ以外にもちょっと不満があるの。1年前のこの時期は、誰もが第五章のことを知りたがったわ。でも、いまはみんな観終わっているから、第五章について誰も聞いてくれない。私は第五章の話もみんなとしたいのに(笑)!」。

なるほど。では、第五章の中で最も誰かに教えたかった展開は? こう尋ねてみると、「間違いなく、ジョン・スノウのことね!」という返事がすぐさま返ってきた。アリアの腹違いの兄にあたるジョン・スノウにも、第五章のラストで悲劇が訪れる。
「あのエピソードのときは、ママが先に脚本を読んだの。それで、“もう最後まで読んだ?”と聞いてきたから、すぐに私も読んで…ショックを受けたわ。誰かにすごく言いたくなった。でも、私の友達の中には番組を全然観ていない子もいるから、その子たちに話して聞かせたりはしている。話された方は何のことだかよく分からないから、それでいいの。私の気も楽になるしね。さすがにジョンのことは言ってないけど(笑)」。

ジョン・スノウに限らず、シリーズを通して数々の悲劇に見舞われてきたスターク家の面々。受難の日々が続く中、メイジーはどんな気持ちで本編を観ているのだろうか。
「キャトリン(母)とロブ(兄)の最期は、分かってはいたけどショックだった。観ていてとても哀しかったし、心が張り裂けるかと思ったわ。その点、自分も撮影に参加したシーンの場合はショックが和らぐの。ネッド・スターク(父)の処刑シーンは血糊や偽物の生首を用意する準備段階も知っていたから、“ああ、うまい編集だな”くらいの気持ちだった。実際のオンエアを観るときは、撮影が終わってから随分経っているし」。

そんなスターク家の運命は、シビアな現実を描いた「ゲーム・オブ・スローンズ」のテーマにも直結している。善人だからと言って幸せになれるとは限らず、悪人だからと言って天罰が下るわけでもない。ファンタジーでありながらも、厳しい手触りがリアルだ。
「これはずっと言い続けてきたことなのだけど、番組の人気の理由は、別世界に行った気分にさせながらも、実は現実を描いているからだと思う。要するに、視聴者の知性の上に成り立っているドラマなの。現実に起きる問題や社会に即したテーマを扱っているからこそ、視聴者を惹きつけるのよね。だからこそ、私自身もよく考えるわ。“もし、この世界に自分がいたら?”とね。たぶん、私もアリアと同じ生き方を選ぶんじゃないかな。旅に出るの。権力争いに関わることなく、自分の冒険をしたい。自分のリストを持ってね」。

アリアはいつか家族と再会し、幸せになれるだろうか? 「それが理想よね」と最後の問いに頷きつつも、作品テーマとの真摯な向き合い方を改めて垣間見せる。
「彼女なりの幸せを達成することができれば、私はそれでいいと思う。すべきことのリストをすべて成し遂げたとき、アリアは幸せを感じられるんじゃないかな」。

《text:Hikaru Watanabe/photo:Nahoko Suzuki》

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