【MOVIEブログ】2016東京国際映画祭 Day8

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1日、火曜日。9時起床。寝たのが5時半だったので少しきついけど、まだ気合いが残っているのでガバっと起きて外へ出ると、あー、雨か! まったく、今年は天候が不安定だ。しかしこればかりはしょうがないので、元気出していこう。

10時半から、『かぞくへ』の2度目の上映。平日の午前、雨模様にもかかわらず、客席が埋まっている。本当にありがたい。監督とキャストのみなさんを迎えて、上映前の舞台挨拶の司会。前回に続き、また僕は上映後のQ&Aの司会が出来ず、本当に無念の極み。主演の松浦さんと梅田さんが並んでいるのを見るだけで、僕は胸が熱くなる。遠藤祐美さんは毎回とても美しく、森本のぶさんは壇上で表情が力強く変わるのが印象的。もう、本当にみなさんとじっくり話したいのだけど、次の機会を待とう!

事務局に戻り、少しパソコン仕事をして、お弁当を頂き(チキン・コチジャン?美味!)、12時半からコンペの『私に構わないで』の2回目の上映へ。Q&Aで、テンポよく質問がたくさんあがって気持ちいい。監督のハナさんと主演のミアさんは、並んでいると姉妹みたいだ。独特のキャラクターであるヒロインをいかに生み出したか、お2人に答えてもらう。クローズアップの多用については、やはり感情に寄り添うため。海やプールの使い方の意図も印象的で、やはりこの監督のセンスは並々ならぬものがあると、改めて確信。

客席を見渡すと、日本人監督の姿もちらほら見える。こうやって映画祭でほかの監督の作品を積極的に見ている方々を目にすると、とても嬉しい気分になる。刺激になるといいなあ。ロビー出ると、『プールサイドマン』の渡辺紘文監督が現れて、「いまの監督のセンスはすごいですね」と感心していた。9本目のコンペ鑑賞だとのこと。さすが! というか、ありがとうございます!「音楽の使い方も独特なので、質問しようかと思ったのですが…」と苦笑いされており、どんどん手を挙げて下さいよ! と促す僕。次回は期待しております。

外に出ると、雨が上がっているどころか、爽やかな青空が広がっている。素晴らしく気持ちいい!

爽やかな空気をたくさん吸い込んで事務局に戻り、席に座ったら、ゲリラ的に突発的で暴力的な睡魔に襲われてしまった。これは抵抗しても無駄だろうと、席で仮眠。15分くらい熟睡し、起きたら完璧に回復。昼寝効果はすごい。

そのままパソコン叩いて、打ち合わせ2件。

15時45分から、『アズミハルコは行方不明』の2度目のQ&A。松居大悟監督と、プロデューサーの枝見洋子さんが登壇。いい質問がポンポンと出て、充実のQ&Aになった! 2人の外国人観客から質問が投げられ、最初の方は女子高生集団の存在の意味について、次の方は松居監督の世代論について。いきなり盛り上がる。やはり海外からの視点で作品を見てもらえるのは、作り手にとってとても刺激的なはず。さらには、松居監督が原作ものを映画化すると、ほかの監督の原作ものとは違ったテイストが感じられるという方の意見も興味深い。

松居監督は、ストーリーをかっちり追うより、感情に寄り添う演出を重視すると語り、確かに僕が好きな松居作品からは、あらゆる種類の感情がほとばしっている。感情に疾走感が伴うことが多く、それは前作のハァハァもそうだし、今作ではさらに加速している。さらに、女性のお客さんによるラストシーンに対する感想がとても感動的(最後の質問としても理想的な内容)だったのだけど、本作は公開も近いのでラストの話は書かないでおこう。

いいQ&Aでしたね! と作品スタッフの方々と喜びつつ、事務局に戻って一瞬ボケっと休む。

17時にシネマズに戻り、『退屈な日々にさようならを』の2回目の上映の、舞台挨拶司会へ。今回も今泉組は15名の登壇で、壮観! みなさんに一言挨拶を頂き、そのまま上映へ。

事務局に戻り、お弁当。焼肉弁当! ナイス。元気100倍。

続いて、19時16分から『パリ、ピガール広場』の2回目のQ&A。アメ監督とエクエ監督のコンビは迫力があって、緊迫感のある空気が漂う。パリの現状を巡るシビアな内容なので、会話の内容もシリアスになりがちなのだけど、途中で絶妙に笑いも入り、会場はとても独特な雰囲気に包まれた。なかなかこういう雰囲気は味わえるものではない。

ラップ・ミュージシャン出身の監督として映画音楽にどうこだわったか、という質問に乗っかる形で、僕が「ラップ・ミュージックを使うことは最初から考えなかったのですね?」と聞くと、「それが目的ではないからね。ヒップホップの映画を作ったのではなくて、ヒップホップの手法で映画を作ったのさ」。ああ、カッコいい。

つまり、ストリート発の映画だということ。パリのストリートを地元にした、移民系フランス人による、移民系フランス人の物語。自分たちの存在や、やっていることはフランス映画には前例が無いと監督たちは語る。なるほど、それはそのとおりだと思う。現在の生々しいパリの真の姿を描く作品として、『パリ、ピガール広場』は記念碑的作品かもしれない。そんな作品がトーキョーに出品されたことは、今後とても大きな意味を持つはずだ。改めて、心から感謝。

Q&Aが45分間に及んだので、次の登壇までギリギリになってしまった。シネマズの9番スクリーンから、3番スクリーンに猛ダッシュすると、『退屈な日々にさようならを』の上映がちょうど終わり、Q&A司会に滑り込みセーフ。実は今年の映画祭で最も危なかった「司会はしご」だった!

今泉監督、市橋プロデューサー、内堀太郎さん、そして松本まりかさんが登壇。まりかさん演じるキャラクターの複雑な行動について、まりかさんはいかに取り組んだか、相手役を演じた内堀さんのリアクションについて、コメディーとドラマのバランスについて。客席から質問がたくさん出るので、僕の出る幕はあまりない。それはもちろん素晴らしいことで、僕の聞きたいことは次の機会にとっておこう。近々、限定公開されるようなので、それも見に行かなくては。

質問を25分くらいで切り上げて、今泉監督が歌手の(出演もしている)カネコアヤノさんを壇上に呼び込み、一曲演奏してもらうサプライズ。『退屈な日々にさようならを』は、カネコアヤノさんの曲名から取られていて、劇中でも使用されている。色々な意味で今泉監督が今回作った世界観と一致しているという。映画祭中に生演奏を聴くと、いつも感動してしまうのだけど、一心不乱に走り回っていると疲れた精神に音楽がダイレクトに響いてくる気がする。とても良い歌と演奏に、しばし聞き惚れる。

Q&Aが終わると、予期せぬ事態が発生し、しばし電話で対応した後、日本映画監督協会との合同パーティーへ、予定より20分ほど遅れて駆けつける。日本の監督たちと、海外からの来日ゲストとの交流会。近年、監督協会の新人賞を受賞した面々も集まり、とても盛り上がった場になっている! しかし、僕は上記の事態によって、全く一瞬しか滞在できず。本当に申し訳のないことに、30分ほどで場を辞す。

21時45分に事務局に戻って善後策を検討していると、完全に時間がやばいことになり、EXシアターまでダッシュ。22時22分から、コンペのブラジル作品『空の沈黙』のQ&Aへ。これでコンペの全16作品の紹介が済んだことになる(明日2回目の上映が残っている作品はまだあるけど)。EXシアターでの司会も最後。少し慌てた気分を落ち着かせながら、登壇へ。

ゲストは、脚本のカエタノ・ゴタルドさん。監督のマルコ・ドゥトラさんがどうしても来日がかなわず、ビデオメッセージを送ってくれた。それを見たあと、カエタノさんとのQ&A。カエタノさんはマルコさんと映画学校時代からの友人兼脚本家であり、ドゥトラ監督のことなら何でも代弁できるとビデオの中の監督は発言しているけれど、果たしてその通りだった!

このQ&Aで交わされた内容に、僕はなんだか猛烈に興奮してしまった。実に面白かった! 原作をいかに翻案したか、映画の意図に合わせてどのように原作を解釈し直したか、極限状態に置かれた夫婦の心理を描き分けるためにいかなる工夫が凝らされたか、オープン・エンディングが多い昨今において、きっちりと物語を収束させる脚本術はいかなる意識によるものか、劇中にひんぱんに登場する植物は何を意味するか、そして一貫してサスペンスを持続させるためには何が必要か、などなど、映画好きを刺激してやまない内容に溢れていた。予定の30分の少しオーバーしてもなお、僕は客席に質問を促してしまったけれども、観客の方々もウンウンと頷き、集中している人が多い。

マルコ監督がホラー映画好きで、(ホラーでは全くないものの)『空の沈黙』も広い意味で恐怖映画であるので、演出の話がやたらと面白いのかもしれない。そこに超シリアスな心理ドラマの要素が絡むので、脚本術の話もさらに面白くなる。夫婦の話に集中するために、原作には書かれていたサブエピソードやサブキャラを全て捨てたこととか、映画の途中で夫の視点から妻の視点へと転換した意図についてなど、楽しい話が尽きない。これほどQ&Aをやめたくないと思ったのは久しぶりだ。明日、もう1回上映があるので、その場もひたすら楽しみにすることにしよう。

いや、どうしてあんなに楽しかったのか、ちょっと自分でも説明がつかないのだけど、つくづく骨の髄までQ&Aが好きなのだなあと自分に呆れながら、事務局に戻る。

0時から1時半までミーティング。事態の処理をして(無事に収束)、ブログ書いて(今日は少し手抜きだ)、またまた4時半。どうして連日4時半になってしまうのだろう? まあいいや。もう少しだ。いよいよ終盤、がんばろう!

(写真は、『空の沈黙』のカエタノ・ゴタルドさん!)

《矢田部》

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