【MOVIEブログ】2017ベルリン映画祭 Day5

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"Mr. Long" 全 1 枚 拡大写真
13日、月曜日。本日も晴天なり! 少し寝過ごしてしまい7時起床、バタバタとシャワー、朝食、マーケット会場で翌日の一般上映のチケット確保、というルーティンをこなして、メイン会場へ。

本日も9時からコンペ部門のプレス試写からスタートで、見たのはドイツの『Bright Night』という作品。監督のトーマス・アルスランは、昨年の6月に日本でもアテネフランセにて特集上映が行われている重要な存在で、ドイツ映画研究者の渋谷哲也さんによる解説文から引用すると「門切型の予想を裏切っていく作家」だ。大上段から社会問題を描いたり、単純な二項対立や「アイデンティティを探す感傷」に陥ったりすることなく、冷静な美学を重視する作家であると僕も感じる。

本作は、問題を抱える中年の男が、縁遠くなってしまった前妻との息子とともに、北欧の山に旅に出るという設定で、お互いの間の深い溝を少し埋めようとする極めてシンプルな物語が静謐な自然の中で進行する。ここでも大げさな展開はあまりなく、というか全くなく、淡々とした世界観が深く印象に残る。

上映が終わって感想を頭の中でまとめながら、次のコンペのプレス上映の列に並ぶこと1時間。プレス上映は当然ながらプレス(マスコミ関係者)の入場が優先で、彼らは列に並ぶ必要はなくて1分前に来てもフリーパス。マスコミの入場がひと段落した頃に(僕のような)マーケット登録者が入場できるのだけど、今回の上映はプレスの波が途切れず、これはもうダメかもしれないと諦めかけていたら、最後の数人に滑り込むことができて、ヒヤヒヤの一安心。

6階層くらいある大会場の最上段の最後列の席に潜り込み、見たのはサリー・ポッター監督新作の『The Party』。主演はクリステン・スコット・トーマス、ティモシー・スポール、ブルーノ・ガンツ、パトリシア・クラークソン、などなどのベテラン俳優たち。内閣入りが決定した女性を祝うべく集まった友人たちの間で繰り広げられる愛憎劇をユーモラスに描くコメディー・ドラマで、芸達者の役者陣と気の利いたセリフを楽しむ作品。なるほどこれは混むわけだな。

それなりに楽しんだのだけど、ちょっと自分の体に異変が起きていて、数日前から違和感を覚えていた奥歯が、とんでもなく痛くなってきてしまった! 実を言うと映画にもあまり集中できなかった…。歯痛など経験したことがないので(というか出張中に体調が悪くなった経験がほとんどないので)、少し焦ってしまう。ホテルに戻って、万一の場合に持参していた鎮痛剤を飲んでみる。

いやあ、鎮痛剤の効果ってすごい。あっという間に痛みは引いて、鈍い違和感は残るものの、これなら大丈夫。あとはごまかしながら乗り切って、帰国したら覚悟を決めて歯医者さんに行こう。

気合を入れなおして、14時にマーケット会場に行き、本日はミーティング・デー。19時まで10件ミーティング。話に出てくるどれもこれもトーキョーに招待したくなってしまって困る。まだ2月なのに、早くも戦闘モードだ…。

すっかり回復したので、モールの簡易スタンドで大好物のソーセージにザワークラウトの一皿を美味しく頂く。

19時半に上映に戻り、「フォーラム部門」の『Mama Colonelle』というコンゴの監督によるドキュメンタリー作品。コンゴ映画を見る機会は多くないので、とてもありがたい。20年前の戦争でレイプ被害を受けた女性たちの支援に奔走する「ママ大佐」と呼ばれる女性警察官を追う内容で、極めて貴重な記録だ。ただ現状を伝えるだけでなく(それだけでも当然貴重なのだけど)、過剰性を抑制する監督の作家性も伺えて映画としても優れた1本。

そして22時からコンペの一般上映で、サブ監督新作『Mr. long/ミスター・ロン』(写真)のワールド・プレミア上映へ。内容の事前知識を全く入れないまま臨んだので、サプライズな展開に驚きつつとても楽しんだ! 血なまぐさい殺し屋の物語と思いきや…。いや、書くのは自重しよう。会場の反応もとてもよく、終映後には大きな拍手。

様々な映画のトーンを自在に出し入れするサブ監督のセンスの良さもさることながら、主演のチャン・チェンの魅力が全開で、惚れ惚れとするばかり。一番いいところをサブ監督が引き出してくれて、(僕を含めた)チャン・チェンのファンは大満足ではないかな。上映後(0時半)にサブ監督、チャン・チェン、共演の青柳翔さんらが登壇し、またもや大喝采。サブ監督も嬉しそうで、こちらも嬉しくなる。

1時にホテルに戻り、このブログ書いて2時。日本への重要な仕事メールをあと回しにしていたので、これから取り掛かります(業務連絡:ごめんなさい!)。

《矢田部吉彦》

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