【モアナを知ろう第3弾】製作陣に訊く!愛すべきキャラクターたちの内に秘めたつながり

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ジャレド・ブッシュ/ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオ
ジャレド・ブッシュ/ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオ 全 13 枚 拡大写真
モアナの海の冒険を描いた『モアナと伝説の海』。モアナ以外にもたくさんの愛すべきキャラクターたちが生まれた本作。今回は、ディズニー・アニメーション・スタジオでの製作スタッフのインタビューを通して、それぞれのキャラクターの背景、内なる想いを制作秘話とともにお届けし、様々な視点でとらえたキャラクターのつながりを掘り下げる。

■ミニ・マウイは何者? CG×手書きアニメーションという試み



ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオ
自信満々でエゴイスト、そしてテ・フィティの心を恐れる半神半人の伝説的キャラクター・マウイ。そのマウイの体に施された、オセアニアの伝統的なマウイのタトゥーの1つに、マウイの分身で彼の“良心”を表したミニ・マウイがいる。そのミニ・マウイや本作の手描きアニメーションのスーパーバイザーを務めたのが、映画『アラジン』でジーニーのアニメーターも務めたエリック・ゴールドバーグ。世界中のアニメーターから多く支持される伝説的な人物に、今回の取材で直接インタビューできる貴重な機会が設けられ、本作での新たな試みについて取材した。

エリック・ゴールドバーグ/ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオ
本作ではCGアニメーションと手書きアニメーションが映像上でコラボするという、ディズニー・アニメーションの新たな試みがされた。このことをエリック氏は「自分の能力を試してみるようで、とても楽しい」とコメントしている。

手描きアニメーションの場合、できるだけ具象的に、立体感を持たせようとすることが多いが、ミニ・マウイは図式的なデザインであり、カラーも白黒であるため、いままでとは違ったアクションが必要になったという。例えばミニ・マウイの感情を表すためには、全て彼の身体やポーズ、顔の表情で読み取ることが出来なければいけなかった。

そこでエリック氏はミニ・マウイをチャーミングで愛嬌のあるキャラクターへと肉付けするために、手書きアニメーションやアイディアとともに、それを映像化するコンピューター・アニメーターの協力して製作する必要があった。例えば、マウイがモアナを島の洞窟に閉じ込めて彼女の船を盗もうとするところでは、マウイを引き止めるためにミニ・マウイはタトゥーの一部をゴムのように弾いてマウイの注意を惹こうとする。それにマウイが「痛っ!」と反応するシーンは、高度なCG技術が必要とされた。

ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオ
さらに今回の取材では、エリック氏直伝の「ミニ・マウイの描き方」も教授してくれた。やはり特徴としては、三角形や直線を組み合わせて作られる図式的なデザイン。

最後に、エリック氏はこれからの若いクリエーターやアーティストに自身の技術やデザインを伝えていくことは「義務である」と語る。エリック氏はディズニー・アニメーション・スタジオのほかにも、南カリフォルニア大学でアニメーションを教えており、またスタジオ内でも、アーティスト同士講演をしているのだとか。「私たちも、私たちの前に活躍していた名匠アニメーターたちから学んだのですから。私たちが若い世代に伝えていくのは、絶対に必要なことだと思っています」とエリック氏はアニメーターとしての使命を明かした。


ジャレド・ブッシュ/ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオ
続いて、本作でスクリプトリーダー(脚本)を担当したジャレド・ブッシュにストーリーの背景やキャラクターの関係性についてをインタビュー。

■「海」がひとつのキャラクター



作品を生み出すたびに、革新的な部分を同時に創り出し、常に進化し続けているディズニー・アニメーション。本作では「海」がヒューマニティを持ち、ひとつのキャラクターとして存在しているのも、その「新たな試み」の部分と言えるだろう。

本作では、その「海」に選ばれたモアナが半神半人のマウイとともにテ・フィティの心を返しに海の冒険へと出る。その旅の途中で、海は船から投げ出されたモアナを助けてあげたり、モアナが言う通りに海が動いたりする。しかしその一方で、モアナが助けを求めていても、海はそれに応じない場合がある。それはなぜか?

『モアナと伝説の海』(C) 2017 Disney
これについてジャレド氏は、海とモアナの関係性は「親子の関係に近い」と指摘する。実際に3児の父親でもあるジャレド氏は、海がモアナに特別なものを見出したのは、それは「親が自分の子どもに特別なものを見出すのに似ている」からだと考える。確かに、もしこれらが“友だち”だとしたら、互いに協力し合うようになるだろう。それよりも、海はモアナに時間を与え、モアナが彼女なりに試行錯誤するのを“見守って”あげている、親と子のような力関係にあると言える。

■モアナとお父さんは立場は違えど気持ちは同じ?



『モアナと伝説の海』(C) 2017 Disney
本作の見どころのひとつに、モアナの父でありモトゥヌイの村長であるトゥイの心情の変化がある。ジャレド氏はトゥイのキャラクター作りに関して、90分という限られた時間の中でトゥイがどういった人物であるかを知ってもらうために、何年もかけて彼を理解して脚本を書いたそう。そしてジャレド氏は「トゥイは、かつてモアナと同年齢だったときにはモアナとそっくりな人間で、彼の父親もおそらく保守的だったが彼も外に飛び出したがってました」と考えた。しかし本編の描写にもあるように、トゥイは悲劇に見舞われて、それ以来トゥイはその責任は自分にあると罪悪感を感じるようになった。モアナに対しても、その反省から自身の支配力を行使してモアナを島に留めるようにしたのだ。それでも、トゥイの心の深くでは、モアナが考える以上に彼女のことを良く理解していた。

そしてモアナが冒険を終えてから、島に“戻ってきた”ことに大きな意味を持つとジャレド氏は考える。「モアナは父親を感心させるためだけに戻ってきたのではなく、父親の中にずっと眠っていたけれど本人はそれに従って行動を起こすことができなかった何かを解き放つためにも戻ってきた」と語る。つまり、モアナは島の人々を救っただけでなく、父親が本来なるべき人間になれるよう感情的な面でも救ったのだ。

ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオ
本作のキャラクターの個々の発見を通して筆者は、周りの人やものが自分にとっての新たな扉を開く「鍵」のような存在であるように感じた。テ・フィティの心がモアナの本当の声の役割になったり、ミニ・マウイがマウイにとっての“良心”役であったり、ラストシーンではモアナ自身がお父さんや島の人々にとっての新たな希望となった。言い換えると、本作では自分の「本当の声」は他者を通じて聞こえる“内なるつながり”があると言えるのかもしれない。

『モアナと伝説の海』は6月28日(水)より先行デジタル配信開始、7月5日(水)よりMovieNEX発売。

協力:ウォルト・ディズニー・ジャパン


《text:cinemacafe.net》

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