『IT/イット』“最恐”なのになぜウケる?公開2週目も異例の大ヒット持続

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『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』(C)2017 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC. ALL RIGHTS RESERVED.
『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』(C)2017 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC. ALL RIGHTS RESERVED. 全 8 枚 拡大写真
スティーヴン・キングの同名小説を映画化した『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』。先週11月11日&12日の土日2日間の興行収入は2億2500万円を突破し、累計は7億円超えに。通常、映画が公開されれば、その週をピークに興行収入は下降していくものだが、本作は前週比122%と、公開2週目ながらその勢いはさらに増しており、興行収入10億円達成は確実とみられている。

しかも、“最恐”のピエロ、ペニー・ワイズに「怖かった」「トラウマになりそう」といった声も上がる中、なぜ、人は『IT/イット』に惹かれるのか、その秘密に迫った。

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全米では9月8日(金)に公開された本作は、9月公開作品の興行記録を塗りかえ、ホラー映画史上最高となる126億円超のオープニング記録をつくり、あの『エクソシスト』も超えてホラー映画史上No.1のヒット作品に。さらにイギリス、ブラジル、ロシア、オーストラリア、オランダなどでもホラー映画の新記録を打ち立てている。そして日本でも、社会現象ともいえる盛り上がりぶり。公開劇場数が増え、その恐怖を文字どおり体感するアトラクション型4D上映(4DX・MX4D)も始まっている。


■“IT/それ”に立ち向かうのは、“はみ出し者”の子どもたち



そんな本作の魅力の1つは、主人公が子どもたちであること。アメリカの小さな田舎町デリーで、“それ”が子どもをさらっていることに気づき、団結して勇敢に立ち向かっていこうとするのは、自らを「ルーザーズ(負け犬)・クラブ」と称する地元の子どもたち。“最恐”のピエロが引っかき回す単なるホラー映画ではなく、同じくキング原作の「スタンド・バイ・ミー」を彷彿とさせる点が何と言っても大きな魅力だ。

『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』(C)2017 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC. ALL RIGHTS RESERVED.「ルーザーズ・クラブ」の子どもたちが魅力的すぎる
弟ジョージーをさらわれた吃音のビル、ビン底眼鏡でおしゃべりが過ぎるリッチー、常にぜんそく薬を持ち歩く神経過敏のエディ、本の虫で太っちょボーイのベン、ユダヤ系で心配症のスタンリー、祖父の精肉業を手伝い家庭学習をしている黒人のマイク、そして、父親から虐待されている大人びた少女ベバリー。原作の舞台である1950年代はもちろん、映画の舞台の1989年でも(ましてや2017年現在でも…)、彼らは周囲からのけ者にされている存在で、少し年上の不良少年たちからはイジメの標的にされている。

しかし、子どもたちとはいっても、みな中学生で、サンタクロースなどいないとすでに心得ている世代だ。とはいえ、「あの絵が動き出したらどうしよう…」とつい考えてしまう想像力はまだまだあり、口ではどうこう言っても迷信や都市伝説の類いを信じていて、また性の目覚めも感じるお年頃でもある。

『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』(C)2017 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC. ALL RIGHTS RESERVED.
本作を観客層をみても、R15+指定の本作をぎりぎり観ることのできる高校生の大人数グループが多いのはうなずける。主人公の子どもたちに最も近い世代であり、表面上は何てことのないふりをしていても、彼らと同じような感情体験が心の奥底で、まだ熱々でくすぶっている。だからこそ、ビルたちがそれぞれのトラウマや恐怖を克服し、大切な存在を失った悲しみを受け入れて成長していく姿、友情を育み、お互いを受け入れていく姿は大いに響くものがあるはず。さらに、彼らはSNSで感想をすぐさま発信する。このクチコミ力も絶大だ。

もちろん大人世代も、毎日ちょっとだけ傷つきながら生きづらさを抱えているところは少しも変わらない。恐怖の克服や喪失体験をすでに何度も経験しているだけに、子どもたち以上にキュンとしたりも…。そんな成長の物語が、キングの原作に親しんできたファンのみならず、90年代のTVシリーズを知るファンや、劇中に登場する当時の人気バンドに「オッ」となる世代など、幅広い層を魅了しているのだろう。


■“ピエロ恐怖症”を蔓延させた!? “最恐”のペニー・ワイズが最強



『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』(C)2017 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC. ALL RIGHTS RESERVED.
発刊以来30年にわたって読者に強烈なトラウマを植え付けてきた原作を映画化したのは、ギレルモ・デル・トロ製作総指揮のホラー映画『MAMA』で注目を集めたアンディ・ムスキエティ監督。本作でホラーと子どもたちの成長物語を絶妙なバランスで織り交ぜたムスキエティ監督の手腕と、彼のもとに集まったキャストたちもまた最強だ。

ルーザーズ・クラブのリーダー、吃音のビルを演じるのは、『ドリーム』セオドア・メルフィ監督の前作『ヴィンセントが教えてくれたこと』でデビューし絶賛されたジェイデン・リーバハー。特別な力を持つ少年を演じた『ミッドナイト・スペシャル』や、人気TVシリーズ「マスター・オブ・セックス」などで、その実力は折り紙付き。

『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』(C)2017 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC. ALL RIGHTS RESERVED.ペニー・ワイズが姿を現す…
また、リッチー役を演じるのは、本作とも相通じる世界観のNetflix「ストレンジャー・シングス 未知の世界」のマイク役で知られるフィン・ウォルフハード。スタンリー役のワイヤット・オレフは『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』でピーター・クイルの子ども時代を演じており、ベンを演じるジェレミー・レイ・テイラーは今冬の話題作の1つ『ジオストーム』にも出演、年上のいじめっ子ヘンリー役を務めたニコラス・ハミルトンは『はじまりへの旅』でヴィゴ・モーテンセンの子役の1人を演じ、キング原作の映画化『ダークタワー』にも出演する。

そして、若くして実力派ばかりの子どもたちが本気で怖がり、監督や原作のキングまでもが口を揃えて絶賛するのが、“最恐”ピエロ、ペニー・ワイズ役を務めたビル・スカルスガルドだ。素顔は、「世界一ハンサムな顔」常連のアレキサンダー・スカルスガルドを兄に、スウェーデンの名優ステラン・スカルスガルドを父に持つ芸能一家のイケメン男子ながら、彼が特殊メイクで演じたペニー・ワイズは激コワ。

『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』(C)2017 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC. ALL RIGHTS RESERVED.イケメンが演じるペニー・ワイズはトラウマ級
あの甲高い笑い方、あのメイクが干からびた額、あの不気味すぎる視線は、大人でも夢に出てきそうなほど!? この絶対的な彼の存在があるからこそ、子どもたちが恐怖に打ち勝っていく姿が余計に胸に迫る。

そのペニー・ワイズ、2019年公開予定の続編では大人になった主人公たちの前に帰ってくるという…。こ、怖い。

《text:cinemacafe.net》

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