【MOVIEブログ】2018ベルリン映画祭 Day0 <予習編>

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【MOVIEブログ】2018ベルリン映画祭 Day0 <予習編>
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早いもので2月中旬、例年よりも少し遅めの日程ですが、今年もベルリン映画祭が15日(現地時間)から開幕します。昨年11月のオーストラリア出張以来、久々のブログ更新になってしまいますが、連日の日記を残していこうと思います。

僕は9日にパリに入り、シネコンや名画座やシネマテークに通う至福の日々を4日ほど過ごし、これを書いているのは14日の朝。本日午後の便でベルリンに入ります。今年のベルリンも注目作が非常に多いですが、コンペ作品だけでも自らの予習の意味も込めてざっと紹介してみます。どの作品も見る前なので、ひとこと紹介内容が誤っているかもしれないですが、そこは悪しからずということで!

<コンペティション部門>


『3 Days in Quiberon』
ドイツのドキュメンタリー。写真家のロバート・レベックが撮ったロミー・シュナイダーの写真を通じて、大女優の様々な姿に迫ろうという内容のよう。

『Season of the Devil』
出た! ラヴ・ディアスの新作、234分! まあ、もはや驚くことではないですけどね。前作の『立ち去った女』が2016年のベネチアで最高賞の金獅子賞、その前の『痛ましき謎への子守唄』が同年のベルリン映画祭の銀熊賞を受賞し、いまやラヴ・ディアス監督は活況を呈するフィリピン映画界を牽引するだけでなく、アジアを代表する監督と呼ぶにふさわしい存在でしょう。新作は70年代のフィリピンのジャングルを舞台にしたロックオペラとのことで、まったく予想が付きませんがひたすら楽しみです。

『Damsel』
アメリカのディビッド・ゼルナーとネイサン・ゼルナーの共同監督作で、ディビッド・ゼルナーは菊地凛子主演の『トレジャーハンター・クミコ』の監督ですね。ネイサンは(ディビットも)同作に出演もしている俳優で、ふたりは兄弟かな。西部劇タッチの愛の物語のようで、主演はロバート・パティンソンで共演にミア・ワシコウスカ。

『Don’t Worry, He Won’t Get Far on Foot』
ガス・ヴァン・サント監督新作。アルコール問題から体に障害を負った青年の魂の回復を描く内容のようで、主演はホアキン・フェニックス。昨年のカンヌで主演男優賞を受賞したホアキンが今回はどのような顔を見せてくれるのか、これは期待が高まります。

『Dovlatov』
ロシアのアレクセイ・ゲルマン・Jr監督の新作。ソ連時代に著書が発禁処分とされた作家のセルゲイ・ドヴラートフの抵抗の日々を描く内容とのこと。前作『Under Electric Clouds』(15)でも荒涼たる独自の美学を大スクリーンに広げていたゲルマン・Jr監督、今回は実話ものということでどう取り組んでくるか注目です。

『Eva』
もはやフランスの大御所的存在となったブノワ・ジャコ監督の新作。主演はイザベル・ユペールで共演にギャスパー・ウリエル、そして2016年の東京国際映画祭に『ネヴァー・エヴァー』でジャコ監督とともに来日してくれたジュリア・ロイ。ジェイムズ・ハドリー・チェイスの小説「悪女イヴ」の映画化で、これは1962年にジョゼフ・ロージーがジャンヌ・モロー主演で映画にしていますね。スリラーはブノワ・ジャコが得意とするジャンルだし、ジャンヌ・モローとユペールを比べる楽しみもあったりして、待ちきれません。

『Daughter of Mine』
イタリアのラウラ・ビスプリ監督の長編2作目。素晴らしい出来であった処女作『処女の誓い』(15)は同じくベルリンコンペで上映されて話題になり、日本では2016年のイタリア映画祭で上映されましたね。『処女の誓い』も現代社会から隔離されたような山間の村が舞台でしたが、今作もひっそりとしたサルディニア地方の村を舞台にした少女の物語のようで、前作の延長線上にあるようなタッチが期待されます。主演にヴァレリア・ゴリノとアルバ・ロルヴァケル。

『The Heiresses』
パラグアイの作品で、監督のMarcelo Martinessiは本作が長編1本目。女性のカップルを主人公にした人間ドラマのようで、パラグアイ映画が久しぶりということもあって個人的にはとても楽しみな一本。

『In The Aisles』
今作が長編3作目となるドイツのThomas Stuber監督の新作で、81年生まれの監督は短編やテレビで着々と実力を蓄えていった存在のよう。スーパーマーケットの従業員の恋を描く内容とのことで、フィールグッドなセンスが期待できるのかどうか、未見の監督なのでこちらも楽しみ。

『Isle of Dogs』
ウェス・アンダーソン監督新作『犬ヶ島』。日本でも5月に公開が予定されていますね。ベルリン映画祭のオープニング作品ですが、賞を競うコンペの1本でもあります。特別上映やアウト・オブ・コンペ扱いにしないで、通常のコンペ扱いとなっていることが少し嬉しいです(でも微妙過ぎてこの嬉しさを共有してくれる人はほとんどいないでしょうけれど)。それにしてもベルリンで見られるのかどうか…。

『Pig』
イランのマニ・ハギギ監督の新作。商業作品規模のアート映画を撮る監督で、前作の『A Dragon Arrives!』(15)もベルリンのコンペでした。今作の主人公は映画監督で、エキセントリックな気性からか何年も映画を撮ることが出来ないでストレスを抱える中、映画監督を狙った連続殺人事件が発生するが、何故か自分は狙われない。自分は映画監督ではないのか? と苦悩する…、というあらすじ。なんだこれ、めちゃくちゃ面白そうだ!

『My Brother's Name is Robert and He is an Idiot』
『大いなる沈黙へ グランド・シャルトルーズ修道院』が14年に日本でも公開されたドイツのフィリップ・グレーニング監督の新作。ドキュメンタリーではなくフィクションで、青年期を迎える男女の双子の複雑な関係を描くドラマとのこと。スチール写真には夏の光の中で寄り添う男女の姿があり、繊細なタッチの良品が期待できそう。

『Museum』
メキシコのAlonso Ruizpalacios監督の2作目の長編。処女作『Gueros』(14)はベルリンやサンセバスチャン、そしてトロントなどの重要映画祭で上映されて話題になった作品で、愛する母の元を離れて暮らすことになる少年の心情をビビッドに描いた秀作でした。本作はメキシコシティーの博物館に盗みに入ったカップルの物語で、奇想天外な展開が期待できるらしい。しかも実話ベース。これはちょっと必見です。

『The Prayer』
フランスの実力派、セドリック・カーン監督の新作。『倦怠』(98)や『ロベルト・ズッコ』(01)などが日本でも公開されており、2011年には『よりよき人生』で東京国際映画祭にも来日してくれました。新作は、キリスト教神父の指導の下にドラッグ中毒から脱しようとする青年たちが苦闘する物語とのことで、常に力強いヒューマニズムを根底に据えるカーン監督のストーリーテリングが堪能できるに違いありません。

『The Real Estate』
スウェーデンのMans ManssonとAxel Petersenの共同監督による作品で、Mans Mansson監督の前作『The Yard』(16)はシュールでドライな魅力を備えたセンスのよいドラマでした。今回は気ままに暮らす住人たちによってカオティックな状況にあるアパートを相続してしまった68歳の女性の物語で、北欧的(?)ブラックユーモアが期待できそう。僕は本作を数年前から追っていて、昨年の東京国際映画祭に招待したかったのだけど完成が間に合わず、個人的にも思い入れが深い作品です。どのような出来栄えになっているか、今回最大に楽しみな1本です。

『Touch Me Not』
ルーマニアの作品で、監督のAdina Pintilieは本作が長編デビュー作。映画監督と役者たちがキャラクター造形を追求する中で、お互いの親密さを確認する試みがなされる…。とちょっとこう書いても分かりにくいですね。フィクションとドキュの融合が見られるのか、実験的な作品なのか、これは見てみないと分からないです。そそられます。

『Transit』
ドイツのクリスチャン・ペツォルト監督の新作。ゼロ年代中頃から「ベルリン派」のひとりという形で日本に紹介され、以来『東ベルリンから来た女』(12)、『あの日のように抱きしめて』(14)など、コンスタントに作品が上映されている監督です。今作はフランスで撮られ、現在と第二次大戦時の二つの時代のマルセイユを行き来する文学的なドラマのよう。『東ベルリンから来た女』でベルリンの監督賞を受賞したペツォルト監督だけに、最高賞が狙える作品であるはず。

『Mug』
15年のベルリン映画祭で『君はひとりじゃない』が監督賞を受賞し、その特異な脚本と演出力で一躍現代ポーランド映画界を代表する存在のひとりとなったマウゴジャタ・シュモフスカ監督の待望の新作。今作はヘビメタと犬を愛するマッチョな男が災難に合う物語であるようで、とても驚かされた『君はひとりじゃない』に引き続き大胆で繊細な世界を期待したいところです。これまた、今年のベルリンでもっとも楽しみな1本。

『U-July 22』
ノルウェーのエリック・ポッペ監督新作。前作『ヒトラーに屈しなかった国王』(16)が日本でも公開されています。新作は2011年の7月22日に起きたノルウェーのウトヤ島の銃乱射事件を映画化したもので、これは数百名の若者がサマーキャンプをしていた島にテロリストが上陸し、数十名が命を落とした惨劇としてノルウェーの人々の心に影を落とし続けている事件です。かなりヘヴィーな内容になりそうですが、ノルウェーだけでなく欧州、いや依然としてテロリズムの脅威の中で暮らす世界にとって、非常に重要な作品になりそうです。心して臨みます。

以上19本が今年のコンペです。いつにも増して強力なラインアップですね。今年の審査員長はトム・ティクヴァ監督。そして審査員には坂本龍一氏も名を連ねています。彼らがどのような判断を下すのか、楽しみ過ぎます。

そして以下、コンペ部門だけれども賞の対象にならないアウト・オブ・コンペ作品もざっと見てみます。

<コンペティション部門(Out of Competition)>


『7 Days in Entebbe』
ブラジル出身のジョゼ・パジーリャ監督新作。『エリート・スクワッド』(07)でベルリン金熊賞を受賞していて、リメイク版の『ロボコップ』(14)などを作っている監督ですね。新作は、76年に起きたテルアビブ発パリ行きの飛行機がハイジャックされた事件の映画化で、主演はロザムンド・パイクとダニエル・ブリュール。

『Aga』
ブルガリアのミルコ・ラザロフ監督の2本目の長編作品。前作『Alienation』(13)ブルガリアからギリシャに赤子を買いに行く男の話だったけど、いささか難解であった記憶がある…。今作は辺境の地で暮らすトナカイ・ハンターの家族の物語とのことで、内容が予想できないだけにとても気になります。

『Black 47』
アイルランドのLance Daly監督の作品で、19世紀半ばを時代背景に、荒涼たる農地の中でサバイブしようとする男とその家族の物語、でいいのかな。映像に力がありそう。

『Eldorado』
スイスのベテラン、マルクス・インホフ監督の新作ドキュメンタリー。41年生まれの監督が現在のヨーロッパの移民政策をテーマとして取り上げた作品で、重要作であることは間違いないでしょう。

『Unsane』
スティーヴン・ソダーバーグ監督新作です。全編iPhoneで撮影されたということで日本でも話題になりかけているようですね。不本意にも精神病院に入れられた女性が恐怖と戦うスリラーであるらしく、とても見たい!

以上5本が「アウト・オブ・コンペ」で、コンペ部門だけれども審査の対象とならない作品です。

ベルリンはこのほかにも「パノラマ部門」(行定勲監督『リバーズ・エッジ』がオープニング作品)や、「フォーラム部門」(相田和弘監督『港町』をはじめ日本映画も複数出品)も見逃せないのですが、なんせ作品が無数にあるのでここでは紹介しきれないのが無念です。なるべく広範に見るようにして(ミーティングもたくさんあるのでなかなか本数がこなせませんが)、このブログ日記で報告していくつもりです。

では、良き出会いがありますように! これからベルリン向かいます。

《矢田部吉彦》

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