『ふたりの5つの分かれ路』レビュー
現在から過去へ遡っていくラブストーリー…というと先に公開された『エターナル・サンシャイン』を思い出しますが、前者の時間の流れが"円"であるとしたら、本作は一方通行の"線"です。つまり、破局は出会いにつながらず、一度巻き戻した時間は二度と再生されないのです。ヒロインのヴァレリア=ブルーニ・テデスキは日本ではあまり馴染みがありませんが、元スーパーモデルで現在はシンガーとしても活躍するカーラ・ブルーニの姉でもあります。主演の2人が別れる前のダンス・シーンはたまらなく悲しい予感に満ちていますが、初めて出会った日、夕陽に向かって海の中を歩んでいく2つの背中には確かに幸せな未来が見えるのです。「たとえ今が幸せでなくても、かつて幸せだったことが消えたわけではない」。そう考えるとこれは悲劇ではなく、喜劇なのかもしれません。
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