『ヒストリー・オブ・バイオレンス』レビュー
『ヴィデオドローム』『ザ・フライ』など、人間生理を逆なでする性や暴力を描かせたら右に出る者のいないD・クローネンバーグ監督ですが、今回は彼らしい過剰さやグロテスクさはなりを潜め、バイオレンス・シーンにありがちな派手なアクションや劇的な効果はほとんどありません。強盗に襲われたヴィゴ・モーテンセンは、あたかもご飯を目の前にして箸を持つように、人間を前にして銃を撃ちます。しかし、正当防衛だろうが犯行だろうが暴力は暴力です。クローネンバーグの乾いた描写は暴力の本質を淡々と見せつけます。ラストの問いかけるようなヴィゴの目、それを受けるマリア・ベロの顔…。責めることはできない、でも許すこともできない。その正直さこそが愛なのではないでしょうか。
最新ニュース
コラム
-
「ばけばけ」第51回あらすじ・場面写真 新年会で挨拶をふられたヘブンの言葉に、お祝いの空気が一変する…12月8日放送
-
偽装夫婦の“嘘”のゆくえは? ラブコメ×サスペンスの後味が心地よい「私と結婚してくれますか?」
《》
この記事の写真
/