『父親たちの星条旗』『硫黄島からの手紙』クリント・イーストウッド監督来日記者会見
クリント・イーストウッドが監督する硫黄島2部作、『父親たちの星条旗』と『硫黄島からの手紙』。記者会見には日本で始めて会見に出席するイーストウッド監督をはじめ、渡辺謙、二宮和也、伊原剛志、加瀬亮、中村獅童が登壇し、2部作の全貌を明らかにした。
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『硫黄島からの手紙』はなんと前日にクランクアップしたばかり。イーストウッド監督とキャスト、それぞれ本作にかける思いを語った。
イーストウッド監督「数年前に『父親たちの星条旗』の本を読み、(プロデューサーの)スピールバーグに監督の話を持ちかけられました。監督することが決まってから、硫黄島の戦いについていろいる勉強しました。本を日本から取り寄せて、翻訳もさせました。その中で、島にいたのほかの人たちについて読みどんどん惹かれていき、アメリカと日本にとても似通っている所、“戦いに強いられた若者たち”に気づきました。そこで2つのプロジェクトの意識が芽生えました。ポール・ハギスとコンタクトをとり、同時に日系の女性に脚本を頼み、2本の映画をとることにしたんです。」
渡辺「最初この役をいただいた時、果たして出来るのだろうか?というくらい重い課題でした。こうして日本とアメリカにフィールドを広げている中で、60年前にもこういう感覚の人がいたんだた思うと、文化の違いを乗り越えて、面白い、不思議な体験をさせていただきました。日本とアメリカ、日本と世界の架け橋になればいいと思います。」
井原「とにかく最初役が決まったと聞いた時、車の中で天井に頭をぶつけるくらい喜びました(笑)。そしてすぐに乗馬の特訓を始めました。ハリウッドに行って、スケールの大きさ、そして中でも、アメリカ人が発音しづらいtsuyoshiという名前も、クリント、メイク、カメラマン、全員ちゃんと発音してくれたことに驚きました。僕だけではなく、みんなの顔と名前が一致していたんです。僕立ちを迎えてくれる、そういう環境だから仕事がしやすく、最初はクリントと話すのも緊張しましたが、最後は自分で意見も言えました。芝居をすることは日本もアメリカも変わらないんです。戻ってきて、ハリウッドに行ってたんだな、という不思議な気持ちです。」
二宮「兵隊はだんだん人間味がなくなっていくので、“人間”であり続けることをいちばんに考えていました。また、アメリカでの撮影ははじめて。素晴らしいスタッフに関われたことが嬉しいです。僕も映画の出来上がりを楽しみにしている観客の1人だと思っています。」
加瀬「最初に本を読んで、戦争のことは理解できなかったり、わからないことも多かったですが、個人に目をむけた時、今の自分より何倍も生きたいという気持ちが大きかったのではと思いました。そういう役を演じられたら、映画として残せたら何か実があるのではという気持ちで本作にのぞみました。最初はとまどうことも多かったですが、監督も現場では座らず暖かく見守ってくれました。僕はほとんど二宮さんとのからみばかりで、ほかは観ていないので楽しみです。」
中村「スタッフは暖かく迎えてくれました。完成が楽しみです。クリントは芝居は自由にやらせてくれる監督。日本にいるときと変わらずのびのびできました。食事はおいしくて、ケータリングのシェフが(ワールドカップで日本が対戦する)クロアチア人だったんですが、100ドルかけないか?といわれて断ったら、愛国心がないのか?と怒られました(笑)。それもいい思い出の、楽しい現場でした。」
最後に、監督は「今までの戦争映画は味方と敵がいますが、人生は“悪者とヒーロー”ではないということを伝えたい。硫黄島の戦いでは両方が犠牲を払って、戦ったことをとても悲しく思います」と会見を締めくくった。
『父親たちの星条旗』の公開は2006年10月、『硫黄島からの手紙』は2006年12月。
《シネマカフェ編集部》
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