『マッチポイント』レビュー
アイルランド人のクリスは、イギリスの上流階級のヒューイット家に気に入られ、お嬢様と結婚。富と名声を手に入れて“ウハウハ”な状態だった。そんなクリスが吸い寄せられたのが、これまたアッパーな生活には縁のなかったコロラド出身の女優のタマゴ、ノラ。このような場合、多くの男は「優雅な生活も大切にしたいし、単に性的な欲求だけで愛人との蜜月も続けたい」というのがホンネかもしれない。そんなクリスは様々な場面で運を味方につけて生き延びていく。運も実力のうちと言うが、“ウソをついたとしてもバレなければok!”、そんな考えにあっさり納得してしまうほどの強運ぶりを発揮していて、これまたうらやましい限りなのだ。
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本作で初めてロンドンという異国の地での製作に挑戦したウディ・アレン監督が、不安をあおるよりもとにかく強気で攻めようとする自分の姿を、このクリスの快進撃に投影しているかのように思えた。クリスとノラの関係は予想外の結末を迎えるが、運によって人生は大きく左右されることを改めて認識させられる。そして見終わったあとで、自分にも何かしらの幸運が転がり込むように期待せずにはいられなくなるだろう。
『マッチポイント』
劇場情報:8月中旬より恵比寿ガーデンシネマ、シネスイッチ銀座ほか全国にて公開
配給:アスミック・エース
(C)JADA PRODUCTIONS 2005
《text:Shin Kumagai》
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