やはり北野は凄かった! 何とも不思議でおかしな笑撃バラエティ『監督・ばんざい!』
『その男、凶暴につき』('89)に始まり『HANA-BI』('98)、『座頭市』('03)ではそれぞれヴェネチア国際映画祭の金獅子賞と監督賞を受賞した北野武監督。“世界のキタノの最新作!”というだけで日本人、いや世界中の人々が興味を抱くということはもう説明無用だろう。新作ごとに注目を浴び、衝撃を与え続けてきた彼が、監督13作目となる本作『監督・ばんざい!』で見せたものは──衝撃というよりも笑撃のバラエティ・ムービーだった。
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
「暴力映画は二度と撮らない!」と宣言をしてしまった映画監督キタノ・タケシがギャング映画以外の作品に挑戦するという物語で幕を開け、ホラー、ラブストーリー、時代劇、SF…次々とエピソードが展開。いつの間にかキタノ・ワールドに迷い込んでしまう…。
今回は映画人・北野武と芸人・ビートたけしが混ざり合うことで、これまでにない毛色の映画に仕上がっている。また、VFX嫌いの監督が本作で初めてVFXに挑戦したというのも、ファンにとっては新しい体験となるはずだ。
岸本加世子、大杉漣、寺島進という北野組の常連たちの熟練された演技に加え、江守徹が胡散臭い政財界の大物を、鈴木杏が詐欺師の娘役を演じている点も大注目(ほかにも吉行和子、内田有紀、木村佳乃など多彩なキャストが登場)。特にこれまで優等生役のイメージの強かった鈴木杏はかなりのハジケ役で、意味不明のアヒルのガー君を片手に監督直伝のズッコケを披露し、いい意味でかなりショッキング! …という感じで、一言で“どんな映画”と言うのが難しい、何とも不思議でおかしな映画なのである。ただ言えるのは「やはり、北野武は凄い!」ということのみ。
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