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秘密と涙がたっぷり詰まった『ボルベール<帰郷>』は女性のための愛の物語

“VOLVER(ボルベール)”という言葉には様々な“帰郷”の意味が含まれているとペドロ・アルモドバル監督は語っている。彼の故郷、スペインのラ・マンチャを舞台にしていること、『神経衰弱ぎりぎりの女たち』('87)以来、実に19年ぶりにカルメン・マウラとタッグを組んだこと、ヒロインに『オール・アバウト・マイ・マザー』('98)に続きペネロペ・クルスを起用していること、そして何よりも母の胸に“戻る”という、母娘の愛を描いていることが最も重要な帰郷であるというのだ。

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『ボルベール<帰郷>』
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“VOLVER(ボルベール)”という言葉には様々な“帰郷”の意味が含まれているとペドロ・アルモドバル監督は語っている。彼の故郷、スペインのラ・マンチャを舞台にしていること、『神経衰弱ぎりぎりの女たち』('87)以来、実に19年ぶりにカルメン・マウラとタッグを組んだこと、ヒロインに『オール・アバウト・マイ・マザー』('98)に続きペネロペ・クルスを起用していること、そして何よりも母の胸に“戻る”という、母娘の愛を描いていることが最も重要な帰郷であるというのだ。

物語は一組の母娘と彼女たちを取り巻く叔母、隣人によって綴られていく。ある理由から母を拒むようになってしまったライムンダは、死んだはずの母・イレネを見たといううわさを耳にする。そんな折、ライムンダの娘・パウラが事件を起こしてしまい…。殺人、幽霊、再会というストーリー展開とともに徐々に明らかになっていく秘密とは一体何なのか。

母、娘、孫娘それぞれの女たちが紡ぎ出す愛は逞しくも温かく、特にライムンダ役のペネロペの演技がこれまでにないほど輝いている。娘の前では気丈に、しかし母の前では子供のように愛を求める女性──そんな二面性を見事に演じ、昨年度のカンヌ国際映画祭最優秀女優賞を手にした(ほか最優秀脚本賞を受賞している)。また、ラ・マンチャの女を演じるにはペネロペは細すぎるという監督の意向で、付け尻をつけて演技をしている点も注目してほしい(かなりキュート!)。『ボルベール<帰郷>』は、女性が惚れるヒロインを演じてみせたペネロペの一皮剥けた演技、そして秘密と涙がたっぷりと詰まった女性のための愛の物語なのである。

《text:Rie Shintani》

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