偉大なる盲目の挑戦者に大きな拍手! 紀子さまもご出席の『ブラインドサイト』試写会
「盲目は前世の祟りが原因で、悪魔がとり憑いている」という古くからの言い伝えが残るチベット。社会的差別を受け、親からも拒絶されてきた盲目の子供たちを援助すべく、立ち上がったのが自身も盲目のドイツ人教育学者、サブリエ・テンバーケン。この地に初の盲人学校を設立した彼女が、盲目の登山家・エリック・ヴァイエンマイヤーとの出会いをきっかけに、子供たちと始めた次なる挑戦。それはエベレストの北にそびえる標高7,000メートルのラクパリ登頂——。この前代未聞の挑戦を追ったドキュメンタリー『ブラインドサイト〜小さな登山者たち〜』の公開を直前に控え、サブリエとパートナーのポール、そして本作のプロデューサーであるシビル・ロブソン・オアーが来日。7月15日(日)、秋篠宮妃紀子殿下もご出席されて行われた、本作の試写会の舞台挨拶に登壇した。
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チベット初の盲学校と活動団体である「国境なき点字」を立ち上げた功績が全世界で称賛され、現在はさらに、インドでの新しい学校の設立を進めているというサブリエさん。自身12回目となる本作の鑑賞を終えて「観るたびにどんどん良くなる作品です。決して簡単でない課題について、みなさんが興味を抱いてくれてとても嬉しいです」と語った。本作で撮影された、サブリエさんと6人の子供たちの登山は3年前のこと。その後、6人の子供たちはそれぞれの夢に向かって進み、中には自分で商売を始め、家族を支えている者もいる。「映画に出てくるひとりひとりが、この映画の後もすごく成長しました。何よりも6人全員がそれぞれ夢を叶えたことが素晴らしいことだと思います」と、その喜びを伝えた。
サブリエさんらとともに登頂に参加し、彼女と一緒に子供たちを見守ってきたポールさんは「まずはみんなが無事に下山できたことに、何より安心しました」と当時をふり返った。「できるかどうかよりも、自分がやりたいことに向かうことが大切だと思います。発展途上国では盲目の子供の9割が学校に行けないという現実があります。その状況を少しでも改善するために僕たちは『国境なき点字』活動をさらに広げていこうと思います」と、多くの人が知らないところで、未だ盲目の子供たちに立ちはだかる無数の困難について語り、援助の輪の拡大を呼びかけた。
「チベットの子供たちや盲目というテーマに光を当ててくれたことをすごく嬉しく思っています。サブリエとポールと子供たちが、山を登るということはとてもすごいこと。それを撮影し、このような素晴らしい映像を収めることができたことに、本当に満足しています」とプロデューサーを務めたシビルさんは本作に携わった喜びを口にした。
試写会には紀子さまもご出席されたが、サブリエさんは「とても心の広く、オープンな方で、この映画に対しても大変興味を持っていただきました。映画の伝えたいメッセージと、『国境なき点字』が伝えたいメッセージの両方ともを大変深く理解してくださったんです。とてもお優しくて、心の温かい方でいらっしゃいます」と紀子さまに直接お会いしての印象を語り、自身の活動に対する理解の深さに感激した様子。台風のさなかにもかかわらず会場につめかけた観客からは、映画への感動、そしてサブリエさんらの功績に対して惜しみない拍手が贈られた。
『ブラインドサイト〜小さな登山者たち〜』は7月21日(土)よりシネマライズ、品川プリンスシネマほか全国にて公開。
《シネマカフェ編集部》
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