シンプルな構図でより一層引き立つ男たちの戦い『アメリカン・ギャングスター』
デンゼル・ワシントン、ラッセル・クロウというアカデミー賞俳優の競演、しかも巨匠リドリー・スコットとくれば映画ファンにとってはたまらないメンツ。しかし、どんなに「素晴らしい!」、「アカデミー賞有力候補!」と言われる作品であっても2時間37分の尺には躊躇してしまうはず…だが、この『アメリカン・ギャングスター』に限っては、お世辞抜きで“時間を感じさせない作品”と言えてしまうのだ。
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理由はリドリー・スコット監督が、本作で打ち立てたあるヴィジョンにある。それは──運転手から麻薬王へと上り詰めたフランク・ルーカスをデンゼル・ワシントンが、麻薬組織と警察内部の不正を暴くことに執念を燃やすリッチー・ロバーツをラッセル・クロウが演じているのだが、追う者、追われる者それぞれの世界を交互に描きながら、相反する立場にいる2人の男たちを最終的に1つの世界へ誘い込んでいく描き方。実在の男たちがモデルになっていることも興味深い。
また、ギャングものは家系や組織といった相関図がややこしく、特に女性は、人間関係を追いかけることが精一杯で物語を存分に楽しめなかった…なんて人もいるのでは? というわけで、もう一つの魅力はわかりやすさ。麻薬密輸ルートというと難しいけれど、フランクが思いついたのは安くて良質な商品(麻薬)を生産者から直接仕入れる方法。現代では当たり前になっている家電量販店の販売ルートに置き換えれば簡単! わかりやすいからこそフランクとリッチーが繰り広げる信念とプライドのぶつかり合いがより引き立ち、面白いのだ。
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