ベルリンで最優秀新人作品賞獲得の『パーク アンド ラブホテル』凱旋記者会見
先日開催された第58回ベルリン国際映画祭で、最優秀新人作品賞に輝いた『パーク アンド ラブホテル』。屋上に小さな公園を持つラブホテルに集う人間たちの姿を描き、26候補作の中から日本映画としては初の快挙となる同賞を勝ちとった。2月20日(水)、受賞記念記者会見が行われ、ベルリンから帰国した熊坂出監督と荒木啓子プロデューサー、主演のりりィ、ちはる、神農幸が出席した。
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出席者それぞれに、受賞のニュースをどのように知ったかを聞いてみると、まずラブホテルのオーナー・艶子を演じたりりィさんは「実は、その日はちょうど私の誕生日だったんです。友達から次々と“おめでとう”というメールが送られてきまして、当然“誕生日おめでとう”だと思ってました(笑)。招待作品ということで、賞の対象になるとは思っていなかったのでびっくりしました」と語った。
ちはるさんと神農さんは自宅で聞いたということだが「日曜なのでゆっくり眠っていたら息子が知らせてくれたんです。でもうそだと思ってまた布団かぶって眠ってしまいました」(ちはる)、「私も家でゆっくり寝ていたんですが、事務所の社長からハートマークいっぱいのメールが来ました」(神農)。出演者にとって、今回の受賞がいかに予想外の出来事だったかがうかがえるが、現地を訪れていた肝心の監督はというと…「街を歩いて写真を撮ったりしてるところで、プロデューサーから電話を受けて知りました」とのこと。
知らせを聞いた瞬間の心境について監督は「知らせを聞いて、嬉しくはあったんですが、我を忘れるくらい喜びを爆発させるという感じではなかったです。と言うのは、もちろん世間の評価も大切ですが、自分の評価が一番大事だと思ってますから。電話で知らせを受けたときも周囲を見渡して“街や人々は何も変わってない。浮かれるんじゃないぞ”と自分に言い聞かせながら、また街の写真を撮りました」とふり返った。
作品の着想について監督は「ラブホテルの中では大人たちがセックスをして遊び、まだ生殖行為のできない子供たちや、それを失った老人たちが屋上の公園にいるというのが面白いと思いました」と語った。この点は映画祭でも興味深く受け取られたらしく、審査員の評価について監督は、授賞式のパーティでの会話に触れ「“伏線があちこちに張られていて、引き込まれた”といった評価や、恐れ多いのですが“黒澤明監督の『生きる』を思い出して泣いてしまった”という言葉をいただきました」と照れくさそうに明かしてくれた。
瞬く間に時の人となった監督だが、キャストの3人によると「全く撮影当時と変わっていない」とのこと。さらには、ちはるさんから「もう少し髪の毛とかちゃんとすればいいのに! 撮影の頃からいつもこんな感じだったんですよ」とダメ出しされ、監督は苦笑い。賞を獲り、注目を浴びようが全く気取るところのない監督の人柄を感じさせた。さて、凱旋を果たした日本での評価はいかに? 『パーク アンド ラブホテル』は4月26日(土)よりユーロスペース、第七藝術劇場、名古屋シネマテークほか全国にて順次公開。
《シネマカフェ編集部》
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