「私もライラも好奇心が強いの」新星ダコタ&監督が語る『ライラの冒険』の魅力
ブリティッシュ・ファンタジーの金字塔「指輪物語」に匹敵すると言われる「ライラの冒険」シリーズ。「黄金の羅針盤」、「神秘の短剣」、「琥珀の望遠鏡」の3部から成り、2007年にはカーネギー・オブ・カーネギー賞(過去70年間の中で最も優れた作品に贈られる)を受賞した本作が映画化。メガホンを取ったのはクリス・ワイツ監督。主演のライラには、15,000人のオーディションを勝ち抜いた新星、ダコタ・ブルー・リチャーズ。先日プロモーションで来日した2人に話を聞いた。
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12歳で本作で華麗な映画デビューを飾ったダコタ。初めての映画出演を終えて「いま、すごく圧倒されています。と同時に、とってもとっても嬉しいです」とニッコリ笑う。
「だって、会った人はみんな、この映画を『すごく良かったよ、とても楽しんだ』と言ってくれるんです。私自身も、本作へ出演できたことに、とても満足しているけど、友達から誉めてもらえたことで、何か本当に特別なものを作ったなという実感が持てるんです」。
そんなダコタをライラ役に起用した理由を監督はこう話す。
「理由はいくつもあるんだけど、最初に彼女を見たときに“ライラっぽいな”と思ったんだ。知的な雰囲気で、もちろん顔も美しかった。美しいだけじゃなくて、何かを持っている女の子だと思ったんだ。彼女の目の奥には、何かいろいろ考えているんだろうなと思わせるような表情があったしね。オーディションを重ねていく間、ダコタにいくつかの試練を与えていったよ。例えば、僕の指示にすぐ反応できるか、演技を変えられるかどうか、みたいな感じでね。何といっても(撮影に使う)35mmのカメラはとても大きい。そのカメラの前で、ライトを当てられて、50〜60人ものスタッフが周りにいるという状況の中で、自然な演技を臆せずに出来るかどうかを見たかったんだ。ダコタはそうした僕の試練を全部パスしました。すごいプレッシャーだったんじゃないかな(笑)」。そう意地悪そうに笑う監督の隣にいるダコタは監督のこのコメントを聞いて、恥ずかしそうにうつむいてしまっていた。
そんなダコタに、ライラとの共通点を聞いてみると…
「状況にもよるんだけど、私も彼女と同じくらいおしゃべりだわ。それから私も彼女と同じくらい、たくさん質問します。私たちは2人とも好奇心が強いの。ただ、私は彼女ほど反抗心は強くない…と思う。そう思っているのは私だけかもしれないけど(笑)。それに、彼女ほど勇敢ではないわ。私もライラのように、友達に対して忠誠心を持てればいいなと思います」。
ダコタのこのコメントに対して監督は?
「ライラはダコタほど一生懸命働かないよ! 『もうイヤ!』って言って、プイってどこか行ってしまうんじゃないかな。今回の撮影は大変だったけど、ダコタは本当に忍耐強くがんばってくれたよ」。
ところで、クリス・ワイツ監督といえば、前作の『アバウト・ア・ボーイ』や『天国からきたチャンピオン 2002』など、ハートフルな作品を多く手がけている。『ライラの冒険 黄金の羅針盤』のような、CG満載のファンタジーとは少々イメージが異なる気がする。
「まさに、それが本作の監督を引き受けた理由だよ! 常に同じような作品を撮るような監督にはなりたくはないんだ。『アバウト・ア・ボーイ』を撮ったときも、“『アメリカン・パイ』(製作を担当)はすごく楽しいセックス・コメディだったのに、なんでイギリスでこんな映画を撮るの?”って、みんなに聞かれたよ。僕は単なる仕事として映画を撮るのは好きじゃない。個人的に思い出があったり、作りたいと思った作品を撮りたいと思っているんだ」。
三部作の原作を受けて、映画も三部作になる予定だ。次回作についてダコタは「2作目、3作目と出来たら嬉しいです」と目をキラキラ輝かせる。
「もうとにかく、いまから楽しみでエキサイティング、ワクワクしています。2作目には『死人の世界』(Land of the dead)というのが出てくるんですが、そのシーンが特に楽しみです。まだ脚本も出来ていないので、どういうシーンになるか分からないんですけど、本で描かれていたり、舞台でも観ました。なぜだか分からないけど、私はとても悲しいシーンや、(自分が演じる)キャラクターがすごく腹を立てているシーンを演じる方が好きなんです」。
一方で監督は「次の作品では、ダコタが全てのシーンに出ないですむこと、つまり、映画の全部を彼女に背負わせなくてすむことにホッとしてるよ。次はもう一人すごく重要なキャラクターが登場するからね。それに、舞台がファンタジーの世界だけではなくて、僕らの世界に移る。そうすると、何が起こるか? ダイモンがいなくてもいいんだ。それが僕は本当に楽しみだよ(笑)。どんな監督にとってもそうだと思うけど、僕にとってこの映画は、とてつもなく素晴らしいおもちゃのようなもの。どんなことも、ビジュアルエフェクトである程度できちゃうからね。だから逆にそれだけの映画にならないよう、その罠にはまらないよう、人間ドラマを前面に出してビジュアルエフェクトはあくまでも補足なんだ、と自制心を働かせたよ」。
《シネマカフェ編集部》
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