「公開を迎えることができて本当に嬉しい」宮崎あおい『ハブと拳骨』初日舞台挨拶
1960年代後半、ベトナム戦争時の沖縄本島を舞台に血の繋がらない家族を取り巻く過酷な運命を描いた『ハブと拳骨』。2007年の東京国際映画祭コンペティションに参加し、好評を博した本作が6月21日(土)にいよいよ公開初日を迎え、主演の尚玄、宮崎あおい、虎牙光揮、辰巳蒼生、サイ・ホージン、大口広司のほか、中井庸友監督、クリエイティブ・ディレクターであり、原案、音楽も担当した田中雄一郎、プロデューサーの山下貴裕が舞台挨拶を行った。
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
夜の世界を遊び生きる男・良を演じた尚玄さん。「実は3年前の6月21日がちょうどクランクインだったんです。それから時間が大分経ってるんですけど、僕にとっては最初の長編映画でした」と本作について語った。撮影は全てタイで行われたが、「今日はいらしてないんですけど、石田えりさんが演じるお母さん、それから血の繋がらない兄弟。その家族のシーンは、すごく良い絆みたいなものを感じながら演技したので、それを観てもらえたらいいなと思います」と、映画の中の“家族”の描写が印象に残っているそう。
良の兄・銀を演じた虎牙さんも「(尚玄とは)結構古い仲なので、そういう意味ではやりやすかったです。逆に(石田)えりさんが初めてだったので、どういう感じになるのかと思っていたんですけど、もうしっかり、この3人(尚玄、虎牙、宮崎)をがっつり受け止めてくれて、初日から普通にお母さんでした。えりさんじゃなかったら…って考えますね」と撮影をふり返った。これに尚玄さんも「僕も最初から厚かましく、母ちゃん、母ちゃんって。でもえりさんは、それを受け止めてくださって。ひょうきんな方なので、すごく楽しかったです」と語った。
この銀と良の兄弟に暗雲をもたらす地元ヤクザを演じた辰巳さんは「最近、私たちの国は殺伐としていて、目を覆うような事件も多いんですけど、映画を観て、“無形なもの”を信じていく強さみたいなものを感じていただければと思います」。良の友人である和孝役のサイさんも「映画の温かさを感じて、泣いて笑って、充分に楽しんでいただければ」と本作の見どころをアピールした。そして、この兄弟の支えとなる、歓楽街のボスを演じた大口さんはと言うと…「見どころはいっぱいあると思いますけど、俺が見どころかな(笑)」とのこと。
良と銀の妹・杏役の宮崎さん。「撮影したのがずいぶん前なので、こうやって公開を迎えることができて本当に嬉しく思っています」と挨拶。妹を演じながらも尚玄さんと虎牙さんのやり取りをまるで姉のように微笑みながら見て、「お芝居なんですけど、本物の家族みたいな感じがしました」と本作について語った。「この話に出てくる人たちは家族ではあるんですけど、血が繋がっていないという、ちょっと複雑な家族です。でも、血の繋がり以上に強いものを感じてもらえるんじゃないかと思います」。
原案・音楽を担当し、クリエイティブ・ディレクターでもある田中さんは、「最近の邦画にはないような、映像ですけど温度感とか人間の薫りみたいなものを大切にしました。何となく懐かしいような優しい雰囲気を楽しんでいただければと思います」と、本作へのこだわりを語れば、山下プロデューサーも「僕らが3年前に魂込めて作ったエネルギーみたいなものを感じてもらえたら。それで元気になってもらえたらと思います」と熱く語った。
それに負けじと中井監督も「本当に世知辛い、ささくれだった世の中ですけど、みんなの心に一滴でも優しい水をかけられればなと思います。少々ハードなところもありますけど、最後は何か優しくなれるような、そういうことが伝われば幸いだと思います」と、本作に込めた“魂”をアピールして舞台挨拶は幕を閉じた。
『ハブと拳骨』はユーロスペース、新宿K's cinemaにて公開中。
《シネマカフェ編集部》
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