『蛇にピアス』完全映画化! 蜷川幸雄「72歳のジジイと若い作家のコラボ(笑)」
刺青にSM、ボディピアス…という若者のアンダーグラウンドの世界を鋭く、そして繊細に描写し、2003年に20歳という若さで芥川賞を手にした、金原ひとみのデビュー小説「蛇にピアス」。この衝撃作を、演劇界の巨匠・蜷川幸雄を監督に迎え、映画化した『蛇にピアス』が遂に完成した。7月15日(火)、本作の完成報告会見が行われ、蜷川監督ならびに主演の吉高由里子、高良健吾、ARATA、そして金原さんが出席した。
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アマとシバ、2人の男性との出会いをきっかけに“身体改造”の世界にのめり込んでいく19歳の少女・ルイを演じ、ヌードも披露している吉高さん。本作へ出演した経緯を「蜷川監督に興味があって、オーディションに行きました。受かってから、事の重大さに気づいたという感じです」と語った。初主演作にして巨匠、蜷川監督と組むのはさぞかし緊張したはずだが、「監督は怖い人だと聞いていたけれど、全然そんなことはなくて、とても愛情の強い方だと思います。原作の言葉一つ一つを大事にして、自分で描いた世界で生きている方だと思います。監督の瞳はキラキラしていて、吸い込まれそうで、見透かされそうで怖い。でも、優しい方です」と尊敬の眼差しを向けた。
赤毛のモヒカン、眉と唇にピアス、背中には龍の刺青という強烈な出で立ちで登場する、アマ役の高良さんは「いままでやった中で、一番違和感のある役でした。『得意な芝居や、好きな芝居をするんじゃない』、『恥知らず』と監督に言われて、確かにそうだなあと。恥をかかないように安全な部分で芝居をしていたので、その円から出てみようと思いました。難しかったシーンは、全部。壁にぶち当たっていました」と自身の役をふり返った。
「若者(の話)と断定する前に、人間なら誰しも感じる痛みに対して、少しセンシティブに感じる3人の話だと思う」と本作について説明したのは、サディストの彫り師・シバを演じたARATAさん。「監督とは、毎日ケンカしてみたいと思って撮影に臨んだけれど、全然そんなことはありませんでした(笑)」とやや物足りない(?)様子を見せた。
体当たりで各々の役を演じてみせたこの3人について、蜷川さんは「それぞれ少し窮屈な思いをさせると、自在に動き始めるので、それが夢のように面白かった。顕微鏡で3人が動くのを覗いているようでした」と絶賛。金原さん直々のオファーにより実現した今回の映画化について、「72歳のジジイと若い作家のコラボです(笑)。でも、俺は自分のことを若いと思ってるので、何の違和感もありませんでした。原作を損なわないように、言葉を生かしながら作りました」と語った。これを受け、金原さんは「自分の頭の中で描いていたことが映画になって、色々な人に届いていくということに感動しました。原作に忠実でありながら、新たに蜷川監督の鋭い視点が加わっていました。それは自分でも気づかなかった登場人物の一面であったりして、驚きました」と満足した表情で出来上がった作品を評した。
世代を超えた才能が集結した『蛇にピアス』。公開は9月、渋谷シネマGAGA!、シネスイッチ銀座、新宿バルト9、シネ・リーブル池袋ほか全国にて。
《シネマカフェ編集部》
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