【TIFFレポート39】松ケン、トータスも登場! 妻夫木聡主演『ブタのいた教室』
1990年、小学校のあるクラスで“ブタを飼って、育てた後、自分たちで食べる”という実践教育が行われ、日本の教育界に波紋を投げかけた。このエピソードを追ったドキュメンタリーが1993年に放映され、動物愛護映画コンクール内閣総理大臣賞などを受賞し、大きな波紋を呼んでから15年、今度は映画となって“いのち”や“教育”のあり方に一石を投じる『ブタがいた教室』。11月1日(土)より全国にて公開される本作がコンペティション部門で公式上映され、10月25日(土)に主演の妻夫木聡と前田哲監督がティーチインに登場した。
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1990年、小学校のあるクラスで“ブタを飼って、育てた後、自分たちで食べる”という実践教育が行われ、日本の教育界に波紋を投げかけた。このエピソードを追ったドキュメンタリーが1993年に放映され、動物愛護映画コンクール内閣総理大臣賞などを受賞し、大きな波紋を呼んでから15年、今度は映画となって“いのち”や“教育”のあり方に一石を投じる『ブタがいた教室』。11月1日(土)より全国にて公開される本作がコンペティション部門で公式上映され、10月25日(土)に主演の妻夫木聡と前田哲監督がティーチインに登場した。
妻夫木さんが演じたのは、クラスにブタを連れてくる星先生。今回の役については「星先生を演じることではなく、星先生その人として子供たちにどう伝えていけるかが大事だと思った」と話した。「特に後半の(ブタのPちゃんを食べるか食べないかの)子供たちのディベートシーンは大事でした。実は決められたセリフはなかったんです。セリフがあると子供たちは気負ってしまうし、自分が“先生”として何ができるかを考え、監督にもお願いして、セリフではなく自分の心からの言葉を子供たちに話させてもらいました。食べるとは、生きるとは、命とは何かということを話したんですが、自分が心でぶつかれば、子供たちも心でぶつかってきてくれるんだと実感した貴重な体験でした」と、充実した表情で語った。
実話を基にしている作品ということは、当時を体験した人たちがいるということ。監督に、「当時の子供たちが登場していない理由は?」という質問が出た。監督は、「彼らはいま28歳で、妻夫木くんと同い年だね。『とくダネ!』とか『NEWS ZERO』で後日放映されるので見てください(笑)」と笑いを取りつつも、「あらゆる作り方を考えたんです。僕がドキュメンタリーを観てから13年経っていますから、例えば、いま26歳くらいの女性が当時をふり返るというバージョンも考え、脚本も書きました。2時間丸々ディベートするというパターンも考えました。本当にあらゆるシミュレーションをしたんです。そして、エンターテイメントでありつつ、ディベートのシーンをしっかり観客に届けるために、いまみなさんに観ていただいた形がベストだという判断をしました」と真摯に答えた。
また「妻夫木さんがいま小学生だったら、Pちゃんを食べますか?」という質問も。妻夫木さんの「食べます。いまの28歳の僕の気持ちでしか分からないんですが、『いただきます』という言葉通り、僕たち人間は命あるものをいただいて生きています。肉だけじゃなくて、水だって生きていると思うし、そこにありがたみを感じるべきだと思うんです」という答えの後、壇上から観客に逆質問。「この映画を観たみなさんは、Pちゃんを食べますか?」と問いかけ、会場の3分の2は「食べる」、3分の1は「食べない」という結果。こうしたやり取りもティーチインならではだ。
最後の質問、ということで監督が指名したのはなんと、松山ケンイチさん! 妻夫木さんとは同じ事務所の先輩・後輩同士、そして前田監督の『ドルフィンブルー フジ、もう一度宙へ』で主演をしたという間柄。松山さんの「職員室と教室での演技が違うような気がしたんですが、なにか理由があるんですか?」という質問に妻夫木さんは「後輩にダメ出しされるとは思いませんでした」と苦笑しつつも、「確かに、職員室ではほかの俳優のみなさんがいらっしゃいましたし、これまでのように演技をしていましたが、教室では、演技というより、自分の言葉が星先生の言葉でないといけなかったので、その時々で気持ちが違いました。実はディベートシーンのときも、始まる前に10分から15分くらい、いろいろ話したんですよ。ほとんどカットされましたけど(笑)」と説明した。
その後、エンディングテーマ「花のように星のように」を歌うトータス松本さん、原案を担当した黒田恭史さんが登壇。トータスさんは「まだ完成していないラフな状態の本編が、監督の直筆の手紙と共に届いたんです。それを観たら本当に感動してしまって、そのときの気持ちを歌にしました」、黒田さんは「本当に素晴らしい作品に仕上げていただいて感謝しております。映画を観ていて、当時のことを思い出しウルッときました」とコメントした。
さらにこの日はスペシャル・サプライズ! トータス松本さんによるスペシャル・ライヴが行われ、「花のように星のように」をギター1本で披露。満席の会場は、力強く心に染み入るようなトータスさんの歌声を聴き入った。
最後に妻夫木さんから「こうやってコンペで選ばれたこと自体が幸せです。世界の方にも少しでも触れていただけたことがすごく嬉しいです。命についてどうあるべきか、人間がどうあるべきかを僕らが真摯に向き合って作った映画です。うそがないように、ということを念頭に置いて生徒たちと接してきました。心と心のキャッチボールをいろんな人たちに観てもらいたいです」とメッセージを贈り、舞台挨拶は幕を閉じた。
『ブタがいた教室』は11月1日(土)よりシネリーブル池袋、新宿武蔵野館ほか全国にて公開。
第21回東京国際映画祭特集
http://www.cinemacafe.net/fes/tiff2008/
妻夫木さんが演じたのは、クラスにブタを連れてくる星先生。今回の役については「星先生を演じることではなく、星先生その人として子供たちにどう伝えていけるかが大事だと思った」と話した。「特に後半の(ブタのPちゃんを食べるか食べないかの)子供たちのディベートシーンは大事でした。実は決められたセリフはなかったんです。セリフがあると子供たちは気負ってしまうし、自分が“先生”として何ができるかを考え、監督にもお願いして、セリフではなく自分の心からの言葉を子供たちに話させてもらいました。食べるとは、生きるとは、命とは何かということを話したんですが、自分が心でぶつかれば、子供たちも心でぶつかってきてくれるんだと実感した貴重な体験でした」と、充実した表情で語った。
実話を基にしている作品ということは、当時を体験した人たちがいるということ。監督に、「当時の子供たちが登場していない理由は?」という質問が出た。監督は、「彼らはいま28歳で、妻夫木くんと同い年だね。『とくダネ!』とか『NEWS ZERO』で後日放映されるので見てください(笑)」と笑いを取りつつも、「あらゆる作り方を考えたんです。僕がドキュメンタリーを観てから13年経っていますから、例えば、いま26歳くらいの女性が当時をふり返るというバージョンも考え、脚本も書きました。2時間丸々ディベートするというパターンも考えました。本当にあらゆるシミュレーションをしたんです。そして、エンターテイメントでありつつ、ディベートのシーンをしっかり観客に届けるために、いまみなさんに観ていただいた形がベストだという判断をしました」と真摯に答えた。
また「妻夫木さんがいま小学生だったら、Pちゃんを食べますか?」という質問も。妻夫木さんの「食べます。いまの28歳の僕の気持ちでしか分からないんですが、『いただきます』という言葉通り、僕たち人間は命あるものをいただいて生きています。肉だけじゃなくて、水だって生きていると思うし、そこにありがたみを感じるべきだと思うんです」という答えの後、壇上から観客に逆質問。「この映画を観たみなさんは、Pちゃんを食べますか?」と問いかけ、会場の3分の2は「食べる」、3分の1は「食べない」という結果。こうしたやり取りもティーチインならではだ。
最後の質問、ということで監督が指名したのはなんと、松山ケンイチさん! 妻夫木さんとは同じ事務所の先輩・後輩同士、そして前田監督の『ドルフィンブルー フジ、もう一度宙へ』で主演をしたという間柄。松山さんの「職員室と教室での演技が違うような気がしたんですが、なにか理由があるんですか?」という質問に妻夫木さんは「後輩にダメ出しされるとは思いませんでした」と苦笑しつつも、「確かに、職員室ではほかの俳優のみなさんがいらっしゃいましたし、これまでのように演技をしていましたが、教室では、演技というより、自分の言葉が星先生の言葉でないといけなかったので、その時々で気持ちが違いました。実はディベートシーンのときも、始まる前に10分から15分くらい、いろいろ話したんですよ。ほとんどカットされましたけど(笑)」と説明した。
その後、エンディングテーマ「花のように星のように」を歌うトータス松本さん、原案を担当した黒田恭史さんが登壇。トータスさんは「まだ完成していないラフな状態の本編が、監督の直筆の手紙と共に届いたんです。それを観たら本当に感動してしまって、そのときの気持ちを歌にしました」、黒田さんは「本当に素晴らしい作品に仕上げていただいて感謝しております。映画を観ていて、当時のことを思い出しウルッときました」とコメントした。
さらにこの日はスペシャル・サプライズ! トータス松本さんによるスペシャル・ライヴが行われ、「花のように星のように」をギター1本で披露。満席の会場は、力強く心に染み入るようなトータスさんの歌声を聴き入った。
最後に妻夫木さんから「こうやってコンペで選ばれたこと自体が幸せです。世界の方にも少しでも触れていただけたことがすごく嬉しいです。命についてどうあるべきか、人間がどうあるべきかを僕らが真摯に向き合って作った映画です。うそがないように、ということを念頭に置いて生徒たちと接してきました。心と心のキャッチボールをいろんな人たちに観てもらいたいです」とメッセージを贈り、舞台挨拶は幕を閉じた。
『ブタがいた教室』は11月1日(土)よりシネリーブル池袋、新宿武蔵野館ほか全国にて公開。
第21回東京国際映画祭特集
http://www.cinemacafe.net/fes/tiff2008/
《シネマカフェ編集部》
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