人類の歴史的シーンの裏にある泥臭いドラマに考えさせられる『ザ・ムーン』
人類が月面に降り立って今年で40周年だということに気づいたのは最近のこと。あの歴史的シーンはあまりにもアイコン的になってしまったゆえに、現実の出来事ではなく、まるで名作のワンシーンかのように記憶されてしまったのかもしれない。しかし、実際にはその影で様々な泥臭い人間ドラマがあったこと、そして月面着陸はまさに“奇跡”であったことを『ザ・ムーン』は魅せてくれる。
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本作は、人類初の月面着陸を目指した「アポロ計画」の言わば“ビハインド・ザ・シーン”ドキュメンタリー。アポロ号に乗船した宇宙飛行士のインタビューや、40年間冷却保存されていたという貴重なNASAの蔵出し映像を交え、訓練プロセスから宇宙飛行まで、その舞台裏が明らかにされる。しかし、魅了されたのは美しい宇宙映像よりも、宇宙開発の裏にある人間ドラマ。そもそも宇宙開発が行われたのはアメリカとソビエトの冷戦さなか、どちらが先に月へ行けるかという国を挙げての戦いだったが、未知なる世界を目前にした人々の夢は、そんな政治的競争を遥かに超えたものだったのだろう。訓練中に死者が出るほど危険なミッションに挑む男たちの情熱。離陸を生中継した当時のTV映像からは、世界中の期待を感じ取ることが出来る。まさに一国のイベントではなく、人類にとっての歴史的瞬間だったのだ。
宇宙がテーマの映画として観ていたはずが、見終わった後深く心に残ったのは、意外にも宇宙の壮大さでも神秘でもなく、「人間って凄い」ということ。いまだ地球外に降り立った人間は12人。同じ人類が成した偉業を誇らしく感じながら、取り巻く様々な思いを想像して、感慨深い気持ちに浸った。
《シネマカフェ編集部》
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