2つの時代をつなぐ謎… スパイク・リーが仕掛ける新たな感動『セントアンナの奇跡』
約20年にわたってアメリカ黒人社会を描き続けてきたスパイク・リー監督。黒人男性と白人女性の恋愛を描いた『ジャングル・フィーバー』、黒人解放指導者の伝記『マルコムX』、犯罪ヒューマン・ドラマ『クロッカーズ』など、様々な切り口で数多くの作品を手がけてきた彼が、新作の『セントアンナの奇跡』で初の試みに出た。それは戦場を舞台にしていることだ。
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
物語は1983年、ニューヨークで起きた射殺事件から始まる。真面目に仕事をこなしてきた郵便局員が切手を買いにきたある男をいきなり銃で撃ち殺した。何故──? 事件の謎を解き明かすべく、1944年のイタリアへと時代はさかのぼり、第二次世界大戦時に実在した黒人だけの部隊“バッファロー・ソルジャー”たちが送り込まれた最前線、トスカーナでの残酷な史実“セントアンナの大虐殺”の詳細が明らかになっていく。
1983年のニューヨークの郵便局員殺人事件と1944年のトスカーナで起きた悲劇。この2つの時代をつなぐ作品の核となっているのは、ドイツ軍とアメリカ軍の戦いではなく、黒人と白人の対立でもなく、4人のバッファロー・ソルジャーとトスカーナの人々の交流。多くの命が失われた戦場の中で、たった1人の少年の命を守りたいと願う人々の愛と絆に心打たれる。そして、タイトルの奇跡とは神がかった奇跡ではなく、人の力、人の愛が生んだ奇跡であることを理解する。また、2時間43分は正直「長い…」と感じてしまう尺ではあるが、実際は時間を感じる余裕などない。新作を発表するたびに物議を醸すスパイク・リー監督作なのだから、それは当然なのかもしれないが…。
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