『誰も守ってくれない』志田未来 そのまっすぐな瞳の先に見るものとは?
誰かに守られ、誰かを守っていくこと——。大ヒット刑事ドラマ「踊る大捜査線」の生みの親、君塚良一が、“容疑者家族の保護”をテーマに、現代社会に一石を投じた社会派エンターテイメント『誰も守ってくれない』。昨年のモントリオール世界映画祭で最優秀脚本賞を獲得するなど、国内外で大きな反響を呼んだ。本作で、ある日突然“容疑者の妹”として社会の渦に巻き込まれるヒロイン・沙織を演じたのが、弱冠16歳にして大人顔負けの表現者として、名実共に若手女優のトップをひた走る志田未来。DVDの発売を前に話を聞いた。
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現場で感じたままを表現することへの戸惑い
「最初はやっぱり、いままでと違うことに戸惑いはありました」。そう語るのも無理はない。本作では、リアルな人間ドラマを追究すべく、リハーサルからカメラを回しっぱなしという“セミドキュメンタリー撮影”という手法がとられた。
「最初に君塚さんにお会いしたときに、『役作りをしないで、現場に来たときに感じたことをそのまま表現してくれればいいから』と言ってくださったので、役作りはしなかったです。現場でも『好きに動いていいよ』って言われました。でも、正直どう動いていいのか分からなかったですね。何回も本番を撮るんですが、『もう1回』と言われてもどこがダメだったかとか、気になってちょっと落ち着かなかったりもしました。特にここが大変ということはなかったですけど、慣れるまで大変でした」。
兄の犯した殺人事件により社会から追われる状況に陥る中学生の沙織。そんな彼女の目に宿るのは、大人に対する並々ならぬ不信感だ。彼女の保護にあたる刑事・勝浦(佐藤浩市)に対しても同様。壁に阻まれた2人の関係が変化していくさまこそが、本作の見どころとなる。
「(撮影現場で)浩市さんは敢えて、私に話しかけなかったと後で聞きました。いま思うと、全然話してなかったですね。一人でいることが多かったので、正直ちょっと寂しかったです(笑)。でも監督からも、撮影の本番で、台詞を間違えても突然変な動きをしても浩市さんがフォローしてくれるからと言われていたので、安心してお芝居はできました」。
「家族が大好きなところは似ている」という等身大の中学生を演じた志田さんだが、本作も「やっぱり同世代の方に一番、家族と一緒に観てもらいたい」と話す。
「沙織みたいな普通に過ごしていた女の子が、突然いろんな人から中傷されたり、映像を流されたりというのはやっぱり怖いし、ひどいなと思いました。そういうインターネットの怖さも含めて、『守る』ということを考えさせてくれる映画なので、そこを観てもらいたいです」。
志田さんが言うように、本作の重要なテーマとして横たわるのが、利便性の裏返しにあるネット社会の恐怖だ。そのシンボルとして、印象的なのが、劇中で沙織が片時も離さず握りしめている、携帯電話。沙織と同世代の志田さんも「電話はよくします。今回もメールで『すごく目が綺麗だった』と言ってくれた友達がいて、すごくうれしかったです。(携帯は)無くなったら困ります(笑)」と語る。
16歳を迎えていま、挑戦してみたいもの
本作を撮影したのは中学2年のとき、今年高校にあがったばかりの志田さん。劇中よりも一回り大人びた様子で語る彼女だが、プライベートについて尋ねると、ふとした瞬間にあどけない笑顔がこぼれる。
「高校に入って、電車通学も初めてだし、中学の頃の友達もいないので、(生活が)ガラッと変わりました。部活はヒップホップ同好会に入りました。仲の良い友達と集まって好きにやってる感じなんですけど。(プライベートでは)買い物に行ったりカラオケに行ったりして遊んでます。この前は『余命1ヶ月の花嫁』を友達と一緒に観に行きました。瑛太さんが演じていた太郎さんがすごく優しくて、ああいう男性がいいなと思いました(照)」。
本作を通して、「お芝居の面でも成長したというか、新しい引き出しが増えた」。そうふり返る志田さん。本作に続き、10月からは不朽の名作のドラマ化「小公女セイラ」のヒロインという大役が控えている。最後に今後の目標について聞いた。
「自分の個性を出してやっていけたらいいなと思っているので、こういう人になりたいという目標は特にないんです。(やってみたい役は)ギャルとか、すごくひねくれた役をやってみたいですね。やっぱり、いままでやったことのない役をやってみたいですし、いろんなことに挑戦してみたいです」。
曇りのないたくましさをたたえる、まっすぐな瞳。その中に見据える未来を、これからも楽しみに待ちたい。
『誰も守ってくれない プレミアム・エディション<初回限定生産>』
価格:5,985円(税込)
『誰も守ってくれない スタンダード・エディション』
価格:3,990円(税込)
発売元:フジテレビジョン/販売元:ポニーキャニオン
発売日:9月2日(水)
※同日レンタル開始
© 2009 フジテレビジョン/日本映画衛星放送/東宝
《シネマカフェ編集部》
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