ギャレット・ヘドランド インタビュー “トロン・スーツ”を着ての撮影で成長?
“映像革命”という言葉でもって、これまでにない映像の美しさが謳われる一方で、物語やその詳細についてはいまだ謎多きディズニーのSF大作『トロン:レガシー』。20年前に失踪した父親からのメッセージを受け取ったことをきっかけに、父が創り上げた“理想の”世界へと足を踏み入れることになる主人公・サムを演じたのはギャレット・ヘドランド。今後のハリウッドを担う26歳の新鋭は本作で何を感じ、何を掴み、どのような成長を遂げたのか——?
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「自分が見捨てられたら何を感じるのか? 考えることから始めた」
物語のほとんどがグリーンバックで撮影されており、映像に関する話題が先行しがちだが、ギャレット自身がこのサムという役を演じる上で大切にしたのは彼の心情やバックボーンの部分だった。
「実際に自分が(父親に)に見捨てられてしまったらどういう感情になるのか? 自分で考えることから始めました。つまり、人として、自分がそれをどういう風に感じるかというところですね。例えば、お父さんがいなくなっちゃって非常に悲しいと思うのか、寂しいと思うのか? それとも、怒りを感じるのか? そういったところが決まってから、それではそれをどう表現していけばいいのか、その感情をどう表せばいいのかと考えました」。
父親が創造した世界に足を踏み入れたサムにとっては全てが想像を絶する光景。映画を観ている観客と同じ目線——何が起こるのか全く分からず、戸惑う彼の様子がありありと見て取れるが、ギャレットはそんな感情をかなりロジカルに突き詰め、表現していったようだ。
本作の基となっている『レガシー』が世界で初めてCGを駆使して製作され、劇場公開されたのは1982年。つまりギャレットが生まれる前のこと。そのとき、主演を務めたジェフ・ブリッジスが、そのときと同じ役柄でサムの父親・ケヴィンを演じている。オスカー俳優との共演はやはり刺激的だったよう。
「やっぱり、彼と共演したい気持ちが強かったので、毎日がとても楽しみでした。今回、父と息子という役だったわけですが、彼自身も80年代初頭に公開された映画の同じ役をもう一回演じることができるという意味で、非常にいい時間を過ごすことができたと思います。そういう状態の彼と共演できたことで、僕にとっても一生に一度の経験になったなと思います。彼から学んだことは、いつまでも若さを失うなということだと思います。カリスマ性があって常に人生を本当に楽しんで生きてる——そういったところに、影響を受けた」。
「どんな映画にも新しい冒険、旅路がある」
では、作品を通じて今回、学んだこと、得たものは?
「どんな映画でも新しい冒険なり、新しい旅路と言えるものがあると思うんですが、今回も新たな自己発見の旅に出た、という気持ちです。個人的には今回の映画の中で色々なことが初めての経験でした。例えばそのひとつがスーツ(※サムが劇中で着る“トロン・スーツ”)です。今回のスーツは、実は専用のチームがいるくらいメンテナンスの部分に心を配っているんです。3〜4人ほどのチームが常に私の側にやってきて、そこで色々なところを直していってくれました。通常、例えばTシャツとジーンズで演技をするのであれば、自分自身が本当にやりたいと思っていることに全神経を集中できるわけですけど、今回、やはりどうしてもスーツに気を取られるということころがあって、そこはこれまでとは少し違ったと思います。その意味で、今回の映画に出ることによって、自分で忍耐強く、どのように演技を作り上げていくかという部分が新たな経験としてありました。それがメンタルの強さということにも繋がったと思います。スーツにかなりガッチリ固められているので、本当にうまく自分で集中しなくてはいけないときに、集中しづらいという状況があったんです。色んな人が常に自分の周りにやってきて、気持ちがすごく削がれるということもありました。その中で自分がいま演技で何を求められているかということに集中することができたということで、多分、この先はちょっとやそっとのことでは気は削がれないという風に思いますよ」。
本作に続いて、アメリカが生んだ偉大なる作家でいまなお多くの人々に影響を与え続けるジャック・ケルアックの代表作で自伝的な小説「路上(On the Road)」の映画化作品への参加も発表されたギャレット。全く毛色の違う作品で本作とはまた違った一面を見せてくれそうだ。こちらも完成が楽しみだが、まずは最新の技術を駆使して作り上げられた『トロン:レガシー』で、理想の世界で揺れ動き、もがき、そして戦う彼の雄姿をしっかりと目に焼き付けてほしい。
特集『トロン:レガシー』公開記念「トロン・ボーイ コンテスト」開催
http://www.cinemacafe.net/ad/tron
《シネマカフェ編集部》
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