エミリー・ブラント インタビュー 運命と意思——彼女が切り拓く人生は?
もしも、あなたの人生で起こるあらゆる出来事が、第三者の意図で操られていたら? 自らの意志で切り拓くべき“運命”が実はコントロールされているとしたら? 映画『アジャストメント』は、20世紀最高のSF作家フィリップ・K・ディックの短編作品を原作に、“運命調整局”によって自らの人生が操られていると知った男の孤独な戦いを描いたサスペンス・アクション。マット・デイモン演じる主人公・デヴィッドが、「運命の書」の記述に逆らう形で手に入れようとするヒロイン・エリーズを演じるのは、エミリー・ブラント。公開中の『ガリバー旅行記』では王女様役を演じ、ジャック・ブラックと共にユーモアたっぷりのやり取りを繰り広げた彼女が、本作ではバレエに全てを懸けてきた美しきヒロインに。女優として輝かしいキャリアを築いてきたエミリーだが、彼女は自らの“運命”をどのように捉えているのか——?
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バレエ団でのレッスンの中でヒロインの人物像をつかむ
エリーズを演じる上で、最初に彼女の前に立ちはだかったのがバレエ。そもそも監督はこの役のためにプロのバレリーナの起用を考えていたそうだが、オーディションとマットとのテストの末にエミリーの起用を決断。バレエに関して「ズブの素人もいいとこだった」という彼女はバレエ団でトレーニングを受けたのだが…。
「“セダー・レイク”っていう革新的なモダン・ダンスのバレエ団があって、ほんとに素晴らしい人たちなんだけど『自分たちのやってることを、たかが女優がごときに汚されたくない』っていうちゃんとしたバレエ団だから、踊りに対する愛情がハンパじゃないワケね。そういう人たちに鍛えられたんで、すごく助かったわ。そんなこととは露知らず、私たちは全部のシーンを撮ろうとしてたんですもんね。最初はホント、ひどかったけど、一日ごとに徐々に身についていく毎日というのは、すごくいい経験になったわ」。
この「寝ても覚めても、それこそ息を吸うのもバレエ」という生活を送る人々に囲まれての生活は、エリーズという女性の人物像をつかむのにも大きく役立ったという。そんな彼女が、デヴィッドと出会い、恋に落ちたことで生き方を激変させることに。
「2人の出会いがある前は、彼女にはバレエが全てで、そこが彼女の居場所だったのね。エリーズは、あんなに人を近づける人間じゃなかったと思うの。ところが、デヴィッドという存在が現れて、そこまで魅かれていく自分に驚くのね。デヴィッドはそれまでの彼女の生活になかったものを満たしてくれたんだわ」。
ちなみに、エミリー自身は“ひと目ぼれ”を信じる?
「信じるわ。何がなんでもその人のそばから離れたくない、そういう人と出会ったときって、言わずもがなに、通じ合うものがあると思うの。それを“ひと目ぼれ”と言うのかどうかは分からないけど、実生活でそれと似たようなつながりを感じることは、ホントあると思うな」。
運命と自由意思——「どちらも経験してきた」
実体験に基づいての意見なのか、それとも「あると思う」というようにあくまで想像なのか、気になるところだが…。フィリップ・K・ディック作品というと、『ブレード・ランナー』や『マイノリティ・レポート』に代表されるような最新の技術を駆使したSF色の強さが印象的だが、エミリーは映画の軸になっているのはラブストーリーだと言う。
「斬新な視点からのラブストーリーだわ。最初に脚本を読んだとき、真っ先に感じたのはそこね。とてもユニークだと思ったの。会う前はお互いに生活に満たされないものを感じていた2人が、何度かの出会いで恋に落ちて…」。
この2人の“運命の恋”の背後にこそ、運命調整局の真の目的が隠されているのだが、こちらは観てのお楽しみ! 自分の人生…出会いや恋、選択が実は、他人のコントロールの産物だったら? と考えるとゾッとするが、映画で描かれる“運命vs自由意思”のせめぎ合いについて、彼女はどのように考えているのだろうか?
「どちらの面も、私は経験してきてると思うわ。人生は自分の意思決定で決まることは多いけれど、その反面、人間はどうしても運や不思議な縁に助けてもらうときがあるでしょ?」。
自らの意思で女優としての成功を手にしてきた彼女がこれから切り拓く運命は——? 運命調整局も真っ青の誰にも予測できないキャリアを期待したい。
『アジャストメント』
2011年5月27日よりTOHOシネマズ日劇ほか全国にて公開。
© Startraks/AFLO
《シネマカフェ編集部》
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