アジア最大の短編映画祭が閉幕 グランプリはドイツ・スイス合作
先日6月16日(木)より開催されてきたショートフィルムの祭典「ショート ショート フィルムフェスティバル & アジア 2011」が6月26日(日)に閉幕。東京・代々木の明治神宮会館にて授賞式が開催された。映画監督の犬童一心に女優の菊川怜、俳優の小澤征悦ら審査員に、同映画祭で上映された作品に出演する南沢奈央、濱田龍臣、櫻井淳子、さらに大黒摩季ら各界からのゲストが来場。グランプリにはドイツ・スイス合作によるニコラス・シュタイナー監督による『ヘルムートの誕生日』(原題『It's me. Helmut』)が輝いた。
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観光庁とのコラボレーションによる「旅シヨーット!プロジェクト」は『TOURISM HOKKAIDO 『街』』(山口洋介監督)が優秀作品に輝いた。菊川さんにセイン・カミュ、CMディレクターの中島信也が審査員を務めたが、菊川さんは審査を通じて「どこにも行かなくても旅はできるんだと感じた」と語り、山口監督は「素人のキャストと数少ないスタッフで作り上げた作品がこういう賞をいただいて嬉しいです。ぜひ北海道にお越しください」と喜びを語った。
この日は、「ミュージックShort」部門の特別製作作品で、Supeflyの「Ah」にインスパイアされた『皆既日食の午後に』が上映されたが、司会の冨永愛が感動で言葉をつまらせる一幕も。キャストの濱田くんは、ギプスをつけた役柄の苦労を吐露。南沢さんは、少し荒れ気味の女の子を演じたが「家で(セリフの荒っぽい言葉を)ブツブツ言ってたら、21歳で反抗期が始まったのかと家族に心配されました」と明かし会場は笑いに包まれた。
「ストップ!温暖化」部門では、片岡翔監督の『シロクマ』がJ-WAVEアワードと優秀賞(環境大臣賞)をW受賞の快挙。審査員を務めた石原良純は「温暖化が映画祭のテーマになるということは憂うべきことでもあり、考えさせられた」と語り、受賞作については「夏は暑いもの、という簡単なメッセージを思い出させてくれた」と称賛を贈った。
「3D」部門では、コロンビア人のサンチアゴ・カイセド監督による『ウユユイ』が優秀賞を受賞した。審査員の押井守からはCG作品の現状について「国内と海外の間には落差があり、残念ながらまだ日本の作品は海外におよばない。2〜3歩差があると感じた」と厳しい総評が加えられた。
そしていよいよ「コンペティション」部門の発表。最終的に審査をくぐり抜けた68作品を審査員が鑑賞し、各賞が決定したが、小澤さんは「才能ある作品をたくさん見せていただいた」と語り、審査員のメンバーでジャーナリストの鳥越俊太郎は「68作品をひとつずつ観て、評価するのはきつかった…」と率直な思いを語る。犬童一心監督は“技術”、“ショートフィルムならではのアイディア”、“人間を見る視点のユニークさ”、“好き嫌い”の4つの要素を審査の基準にあげ「それぞれで点数をつけて、上位の者に関して話し合って決めていきました」と審査の過程を明かした。
「アジアインターナショナル」部門で優秀賞に輝いたのは、4人の監督により製作された韓国映画『パープルマン』。鳥越さんは「世界中のだれもが知っている問題をアニメで見事に描き出し、人類共通の物語にまで高めた」と絶賛。北朝鮮からの脱北者をテーマにした作品で、代表して壇上に上がったキム・タクフン監督は「実際に北朝鮮を脱出した方を探して、この映画を作りましたが、彼が引き受けてくれたのは、脱出のときに離ればなれになったお兄さんを探すためなんです」と悲痛な表情で語った。
「ジャパン」部門優秀賞は、人気作家・小川洋子の短編小説を映画化した『中国野菜』が受賞。菊川さんは「日常の中のファンタジーが描かれている」と作品を称えた。
そして、今年のグランプリの栄誉を授かったのは「ちょっと生意気で面白く楽しく、訴えるものがあった」(ジョージナ・ポープ審査員)と高い評価を集めた『ヘルムートの誕生日』。見事インターナショナル部門とのW受賞となったが、シュタイナー監督は壇上で喜びを爆発させ、「言葉にならない」と何度もガッツポーズ。関係者および審査員への感謝を口にした。
映画祭代表の別所哲也は、東日本大震災の影響で開催さえ危ぶまれた映画祭が無事、全日程を終え、関係者並びにこの大変な状況の中で来日した監督、俳優陣、そして全ての出品者に感謝の弁。「これからも世界に向けて発信していきたい」と今後のさらなる飛躍を誓い、映画祭は幕を閉じた。
特集「ショート ショート フィルムフェスティバル & アジア 2011」
http://www.cinemacafe.net/special/ssff2011
《シネマカフェ編集部》
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