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『ファミリー・ツリー』ジョージ・クルーニー 等身大の“ダディ”役への挑戦、そして発見

ダンディズムとスマートさを感じさせる大人の男の色気、そして少年のような熱いハートとやんちゃさ。この全てを兼ね備えた俳優はそうそういない。俳優、監督として、人をリードし惹きつけてやまない、ジョージ・クルーニー。言わずと知れたハリウッドの頼れる“兄貴”であり“ミスター・パーフェクト”のイメージが定着した彼がその脚本に惚れ込んだ『ファミリー・ツリー』では見事な愛され“ダメ親父”っぷりを見せている。「良い脚本を手にしたら、自分は何も…ね?」。そう断言する彼はこの役のどこに惚れこみ、役を通して何を発見したのか? ジョージに語ってもらった。

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『ファミリー・ツリー』 -(C) 2011 Twentieth Century Fox
『ファミリー・ツリー』 -(C) 2011 Twentieth Century Fox 全 4 枚
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ダンディズムとスマートさを感じさせる大人の男の色気、そして少年のような熱いハートとやんちゃさ。この全てを兼ね備えた俳優はそうそういない。俳優、監督として、人をリードし惹きつけてやまない、ジョージ・クルーニー。言わずと知れたハリウッドの頼れる“兄貴”であり“ミスター・パーフェクト”のイメージが定着した彼がその脚本に惚れ込んだ『ファミリー・ツリー』では見事な愛され“ダメ親父”っぷりを見せている。「良い脚本を手にしたら、自分は何も…ね?」。そう断言する彼はこの役のどこに惚れこみ、役を通して何を発見したのか? ジョージに語ってもらった。

ジョージ=クレバーな独身貴族というイメージを抱く人も少なくないだろうが、これまでにも『素晴らしき日』('96)での父親役を始め、『オー・ブラザー!』('00)、『シリアナ』('05)、『ファンタスティックMr.FOX』('09)と、父親役や夫役を演じた作品も少なくない。だが、本作で見せる父親役が新鮮な印象を放つのは、これまでにない“等身大”の不器用さが備わっているためだろう。
「『ファミリー・ツリー』は今までの役とは違うんだ。もっとずっと感情が絡んでいるし、家族との繋がりが強い作品だからね。クセのある作品だし、とにかく良く出来た脚本だった。僕が唯一苦労したのは、素材をうまく活かしたいということなんだ。これは、いわば、人が“一人前になる”成長のストーリーみたいなものだけど、何と、その一人前になるのが50歳の男なんだよ(笑)。それから、これまで何回か父親を演じた経験があるけど、『ファミリー・ツリー』は子供たちが素敵だったんだ(笑)。(次女役の)アマラ(・ミラー)は初めての映画だったから、いくつものカットを撮ることを知らなくて、与えられたアイスクリームをずっと食べ続けていたんだ。7カット撮り終わったときには、7個のアイスを食べちゃっていたんだよ!」

ジョージが演じる父親・マットは、妻に浮気され、多感な娘に反抗され、おまけに事故で昏睡状態に陥った妻に浮気相手がいたことを知らなかったのは自分だけ…という面目丸つぶれ状態に。でも、そんな彼のことをジョージは全てをひっくるめて「ナイス・ガイ」と呼ぶ。
「この映画の僕の役は簡単に入りこめる。彼はナイス・ガイで、仕事熱心だし、彼なりには家族によく尽くしていると思っている。彼は何もかも適切にやっていると思っているんだ。(ロバート・)レッドフォードが『普通の人々』('80)について話していたことで覚えてるんだけど、彼は『あの作品の登場人物たち、あの家族は何事もなくうまくいっていた』と言うんだ。夫婦の関係は冷え切っているとはいえ(表面上は)何もかも順調だったはずが、途中で悲惨な出来事が起こる。こういう考えが好きなんだ。(本作では)人生の過程で、子供たちは失敗し、妻が煙草を吸って酒を飲み浮気をしていたとしても、彼はそんなことになっているとは全く気づいていない。でも、ある事件が起きて、この男は自分がいままで主張してきたものを全部失ったことを認めざるを得なくなる。彼には人を“見抜く”力がないんだ。僕がいつも演じるキャラクターはしっかりした人物で、徐々に心を失っていることに気づくけど、今回の役は心を失ってはいないが、優しい男。ただ認識が甘い。監督ともずいぶん話し合ったんだけど、(必要なのは)許すこと、受け入れること。妻を許すとか彼女がやったことを許すというだけではなくてね。人としての失敗を許すということ。こういう考えがあるから、この役は面白いと思ったんだよ」。

役に対する冷静かつ愛情深い分析を見せるジョージだが、同時に「この作品は“エモーショナルなこと”だけじゃなくて、“家族”という要素と深く結びついているから難しかった。『自分をそのまま見せているだけだから簡単だよ』と言う役者がいるけれど、本当に自分自身を演じることは役者にとっては一番大変なことだよ」とパーソナル部分に関わる今回の役がいかにチャレンジングだったかを明かす。また、そこをカバーしてくれる人こそが「理解し合える監督」であり、本作で初めて組んだアレクサンダー・ペイン監督(『サイドウェイ』)もその一人だったことを認める。

「僕が(作品への出演の)判断を下すときのポイントは2つだけなんだ。監督と脚本、この2つさ。僕はペイン監督と仕事がしたいとかなり前から思っていたんだ。機会があって監督とトロントで夕食を一緒にしたとき、彼が僕に脚本を送ってくれると言ったんだ。実は、僕はどんな脚本だろうと関係なく出演しようと思っていたんだけど。脚本を読んで自分はとてもラッキーだと思ったよ。彼のような才能を持っている人はなかなかいないよ。彼は物語の“面白い”から“悲しい”への切り替えを見事に捉えることができるんだ。例えばラストの方のシーンでは、(自分の妻の不倫相手の妻を演じた)ジュリー(ジュディ・グリア)が面白いところを見せている。ひどく悲しいのに、おかしいんだ。ジュリーはまさに渾身の演技を見せた。あれは監督の演出力の賜物だよ。彼はとても賢くて、才能があって…もっと働くべきだね」。

長年の下積み時代を経てTVドラマシリーズ「ER/緊急救命室」で花開かせて以来、スクリーンで彼の顔を見ない年はないほど、あらゆる役を生きてきたジョージ。その輝かしいキャリアの中で、本作は間違いなく彼の代表作と呼べる1本となるだろう。もちろんそれはジョージ自身にとっても同じはず。

「僕にとって『バットマン&ロビン/Mr.フリーズの逆襲』('97)や『ピースメーカー』('97)は一種の助走のようなものだった。役者として仕事を手にし始めた時期というのは、とにかく、『ノー』と言わずに仕事を受けるものなんだ。かなりの数のTVシリーズに出演し、2、3本の映画に出るようになったときだったから、とても嬉しかった。あちこちに電話をかけて『「バットマン」が決まったぞ、ワオー!』、『僕はイシュタール役だ、ウワァー』って(笑)。(どんな役でも演じる)可能性はあるからね。それから、僕もだんだん分かってきたんだよ。自分の責任範囲が単に演じる役だけではなく、これから作る映画全体に及ぶってことがね。おかげで、次に取り組んだ『アウト・オブ・サイト』('98)、『スリー・キングス』('99)、『オー・ブラザー!』('00)はとても良く出来た脚本だった。あの3本にたどり着けてラッキーだったよ。その後は、できるだけ良く出来た脚本に焦点を絞るようにしているんだ。もう一つ大事なのは、一緒に組む監督と互いに理解しあうこと、同じタイプの映画を作りたいと考えているかどうかってことだ。それに、素晴らしい人たちと協力することは役者にとっては自分の身を守ることに繋がる。つまり、自分の多くの欠点を隠せるからね。(小声で)ペイン監督も僕の悪いところを隠してくれているよ」。

特集:Livin' Lovin' Hawaii
http://www.cinemacafe.net/ad/familytree/

《シネマカフェ編集部》

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