外見の美から得られるものって…? 真の「美しさ」を問う究極の3本!
女性にとって、永遠のテーマである「美」。何をもって「美」と呼ぶのか? もちろんそれは各々の価値観によって異なるものであり、様々な手段を用いて女性たちはその理想型を日々追求している。そんな女性の「美」に対する欲望と執着、切っても切り離せない「美」と「個」の関係をとことん追究した映画がまもなく公開となる。あなたはここで描かれる「究極の美」から何を感じるのか? 注目の3本をご紹介。
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まずご紹介するのは、スペインの鬼才ペドロ・アルモドバルが満を持して贈る問題作『私が、生きる肌』。問題作と称するに値するのが、主人公の天才外科医・ロベルが長年の研究を経て生み出す「美」である。彼は亡き妻の幻影を追いかけ、ある人物を囚われの身にして、彼女の身体に究極の美を与えていく。美しい体と顔を手に入れたならば、女性は鏡を見て喜びそうなところだが、この囚われの女性・ベラは浮かない、というより困惑と嫌悪の表情を浮かべる。それもそのはず、彼女の美は彼女自身が望んでいるものではなく、感情も理性も失ったマッドサイエンティスト・ロベルが復讐という名の下に創り出したものだから。彼女にとっては屈辱と苦しみ以外の何物でもない、この美しい肌と身体と顔。それを知らずしてか、自らの手で芸術的な美女を完成させたロベルは「ベラ(Bella=美しさ)」と名づけ、彼女を愛するようになるのだが…。
果たして、彼が注ぐものは愛情なのか? それとも理想の美を手にした自己満足なのか…? この真価は観る者に委ねられる。
ベラが囚われの美女だとするならば、こちらは美しさに囚われた女性のお話。映画『ヘルタースケルター』では、「キレイになって幸せになりたい」という女性ならば誰もが抱く欲望のもと、体にメスを入れて「美」を手に入れた女性の欲望と崩壊が描かれる。ここ最近では、全身整形のトップスター・りりこを演じた沢尻エリカの突然の休業の話題で持ちきりとなっている本作だが、彼女を通して問われるのは「消費されていく美しさ」の価値と代償。完璧なプロポーションと美しい顔を手にし、羨望の眼差しで女性から注目されることで自分の居場所、存在を確認するりりこだが、そこには“落とし穴”があるのだ…。「キレイになれば強くなれる」。そう断言する彼女に対して妹は言う。「強いからお姉ちゃんはキレイになれた」のだと。
いつの時代にも、見た目の美しさで多少なりとも判断され、翻弄される女性たち。本来の自分を捨ててまでも美しさに執着する彼女たちの姿に、あなたは何を感じるだろうか?
そして最後にご紹介するのは美のカリスマ、ヴィダル・サスーンが提唱した新たな「美しさ」のルーツに迫るドキュメンタリー映画『ヴィダル・サスーン』。シャンプーや髪のトリートメントなどのブランドの創始者としても広く知られるが、ハサミ一本で女性のヘアスタイルに新しい風穴を開けた人物であるヴィダル。それまでパーマをあて髪型を作り込んでいた女性が多かった中で、彼は頭と顔のバランス、そして髪本来の自然な流れを生かした“ファイブ・ポイント・カット”という全く新しいヘアスタイルを考案、「美しい髪」をより解放的で身近なものにした。その人が本来持ち合わせているものを最良の素材として美しさを引き出し、喜びをもたらす。数々の斬新なヘアデザインを編み出してきたヴィダルに対して、あるレポーターが彼の仕事の悦びについて聞いたところ、彼は言う。「安全性は保証されないけど、それだけ得るものは大きい」と。かの有名な「あなたの美しさは私たちの喜びです」というフレーズは、そんな彼の「美」への精神を表している。彼のこの飽くなき精神がどこから来ているのか? 本作ではじっくりと知ることができる。
時代によって変わりゆく「美」の価値観と手段、そして変わらない「美」への欲求。あなたにとっての「美しさ」とは?
『私が、生きる肌』は5月26日(土)よりTOHOシネマズ シャンテほか全国にて公開。『ヴィダル・サスーン』は5月26日(土)より渋谷アップリンクほかにて公開。『ヘルター・スケルター』は7月14日(土)より丸の内ピカデリーほか全国にて公開。
特集「追求!究極の愛と美。」
http://www.cinemacafe.net/ad/hada/
《シネマカフェ編集部》
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