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「現実はフィクションより多様で複雑」 衝撃の実話から生まれた映画の“力”

信じられないような実話から生まれる映画があるならば、映画から生まれるストーリーもまたある。奇しくも同日に劇場公開を迎える『トガニ 幼き瞳の告発』と『あの日 あの時 愛の記憶』。時代背景も国も異なる2作だが、その底辺に流れる“実話”の力に、心震わせずにはいられない。人が誰かを愛するとき、守ろうとするときに踏み出す一歩の力の大きさを、2作から読み解いていく。

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『トガニ 幼き瞳の告発』 -(C) 2011 CJ E&M CORPORATION, ALL RIGHTS RESERVED
『トガニ 幼き瞳の告発』 -(C) 2011 CJ E&M CORPORATION, ALL RIGHTS RESERVED 全 5 枚
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信じられないような実話から生まれる映画があるならば、映画から生まれるストーリーもまたある。奇しくも同日に劇場公開を迎える『トガニ 幼き瞳の告発』と『あの日 あの時 愛の記憶』。時代背景も国も異なる2作だが、その底辺に流れる“実話”の力に、心震わせずにはいられない。人が誰かを愛するとき、守ろうとするときに踏み出す一歩の力の大きさを、2作から読み解いていく。

ドイツで誕生した『あの日 あの時 愛の記憶』で描かれるのは、運命によって引き裂かれ、運命によって再び手繰り寄せられた一組の男女の時を超えたラブストーリー。1944年、ポーランドの強制収容所で出会い、情熱的な恋に落ちたユダヤ人のハンナと政治犯のトマシュは、決死の覚悟で収容所からの脱走を成功させる。だが、安息の地にたどり着いたのも束の間、彼は祖国のためハンナを置いて抵抗運動の任務に向かい、そのまま2人はお互いが命を落としたという致命的な誤解から生き別れとなってしまう。それから32年のときを経て、アメリカで家族と暮らしていたハンナはある日突然、テレビから聞こえてきた声に気づく。その声の人物こそが、亡くなったと知らされたトマシュだったのだ。

2つの時代を交互に行き来しながら、最愛の人と別れたハンナの喪失感、そして彼が生きていることを知った後の感情の揺れを繊細なタッチで描く本作。この奇跡的な別れと再会の物語が観る者の心を揺さぶるのは、これが実話から生まれたものだから。実在のモデルとなったシーラとイエジーは劇中同様、テレビでの出演がきっかけとなり、39年の月日を経て再会を果たし、その後生涯の友人であったという。そして彼らのこの実話は、映画が公開された後にも海を越え、たちまちメディアで報じられるまでとなった。

本作が衝撃のラブストーリーであるならば、この作品は目を覆いたくなるような衝撃の真実を映し出した一作。韓国のポータルサイトでの連載からの小説の出版化を経て、本国の世論を巻き込んで映画化に至った『トガニ 幼き瞳の告発』。とある田舎町の聴覚障害学校で日常的に行われていた教師による生徒への暴行、性的虐待という何とも残忍な問題を公にした事件が題材となっている。常軌を逸した事実に直面した新任教師のカン・イノ(コン・ユ)は、怒りを糧に真実を暴くことを決意するのだが…。

「現実はフィクションよりさらにフィクションのようなことが沢山起こっていると思う」と語るのは、本作でメガホンを握った韓国の気鋭、ファン・ドンヒョク監督。「実際に起きた(『トガニ』の)事件は本当に信じられないことで、悲しいし、まだ解決されていない問題の話だったのですが、実話を映画化することによって社会的に意味があると思いましたし、もしかすると映画を通じて現実に何かを影響を与えることができるかもしれない、と思っていました」と言う。

そして、それは実際に現実となった。本作は公開されるや460万人以上を動員し、国民の怒りは政府をも動かし、さらに新たな法律を生み問題の学校を廃校にまで追い込んだのである。「映画では観客が主人公や登場人物に同化、感情移入し、劇中の事件を感じることができる。感情の共感の深さ、追体験することで没頭させる力がほかの媒体よりも強かったのではないかと思います」。それまでにもこの事件を報じていたテレビ番組や小説以上の“人を動かす力”を映画が証明した。

ちなみに、約4か月間にも及ぶ撮影の中で監督が最も苦労したと明かすのは、コン・ユが校長室の前で鉢を手に、怒りに身を投じていくクライマックスのシーン。怒りが彼を突き動かす瞬間、そしてコン・ユの並々ならぬ熱を感じさせるこの瞬間にきっとあなたも心揺さぶられるはず。

映画を突き動かす原動力、そして映画が突き動かす力をこの2作からぜひ感じ取ってほしい。

『トガニ 幼き瞳の告発』は8月4日(土)よりシネマライズほか全国にて公開。『あの日 あの時 愛の記憶』は同日より銀座テアトルシネマほか全国にて公開。

《シネマカフェ編集部》

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