アン・リー監督、アカデミー賞関連の質問に「不安は受賞スピーチ」と余裕のジョーク
一昨日より来日中の映画『ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日』のアン・リー監督が、昨日のジャパン・プレミアに続いて1月17日(木)に行なわれた記者会見に出席した。
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船の難破で家族と離れ離れになり、トラと共に小型ボートで海を彷徨うことになった少年・パイの227日におよぶサバイバル生活を美しい映像と共に描き出す。
報道陣からの質問は、やはり11部門でのノミネートを果たしたアカデミー賞への展望について集中。監督は「世界で最も大きな映画賞で世界中の目が向けられる」とその権威を認めつつも、「芸術的に最も優れている作品が選ばれるかというと、そうではない」とも。自身は『ブロークバック・マウンテン』で監督賞を手にしているが、「一度手に入れると、そのタイトルは一生ついて回ります。以前、ニューヨーク・メッツの試合の始球式を務めたんですが、ほかにも賞はいただいているのに『アカデミー賞監督のアン・リーです』と紹介されました(笑)」と語った。
受賞に向けてのライバルは『リンカーン』では? と、さらに深く切り込んだ質問には「『リンカーン』なんて恐れてはいませんよ(笑)」、「心配なのは受賞したときのスピーチですね」と冗談交じりに語りつつも、少年・パイを演じたスラージ・シャルマと成人したパイ役のイルファン・カーンという2人のインド人俳優がノミネートから漏れたことについては残念に思っているようで「本来は11部門ではなく13部門のノミネートだったと思っています」と2人への惜しみない称賛を口にした。
特に演技初経験のスラージについては「インドには(パイ役に合う)16歳のムービー・スターはいないので、新人を発掘しなくてはならなかったのです」と語り、3,000人もの中からオーディションで彼を見出したことを明かした。「ムンバイで初めて会ったときに『パイだ!』と思いましたし、深い目を持っていて絶対にカメラに愛される人間だと確信しました。(演技の)状況を与えると、驚いたことにそこから抜け出せなくなるほど、そのシチュエーションを信じ込んで入り込んでしまうんです。彼の様子を収めた映像をスタジオに送ったらすぐに予算が下りました(笑)。私が彼に教えるというよりも、彼から私が多くを学ばせてもらったと思います」と嬉しそうに語った。
昨日は日本語吹替え版のキャストを務めた本木雅弘と共にジャパン・プレミアに出席したが、改めて本木さんについて「繊細さを表現できるアーティスト。『シコふんじゃった。』から観てますし、『おくりびと』は私は2回、妻は8回も観ているほどファンです。機会があれば友情を育み、一緒に仕事がしたいと思っています」と語った。
『ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日』は1月25日(金)より全国にて公開。
《シネマカフェ編集部》
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