【シネマVOYAGE】『ペタル ダンス』と行く、 心でつながる、女子旅
人にはそれぞれ日々の生活があって、その日々のなかには、仕事、恋愛、悩み、生きがい、楽しみ…いろいろな出来事が詰まっています。「そう言えば、あの人ともうずいぶん会っていないなぁ」と、ふと思い出す友だちの存在もあったり…。
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
ジンコ(宮崎あおい)、素子(安藤サクラ)、ミキ(吹石一恵)は大学生時代の親友。ミキが自分から海に飛びこんだという話を聞いて、ジンコは6年ぶりにミキに会いに行こうと素子を誘います。そして、ふとした偶然と勘違いで知り合った原木(忽那汐里)も加わり、ジンコたち3人はミキに会うために北の町を目指します。
ロードムービーと言うと、普通はその途中で何か特別なことが起きたり、事件が起きたり、ドキドキする出来事が描かれたりするものですが、この映画は、ただ友だちに会いに行くだけ、ただそれだけの数日が描かれます。車から見える何気ない景色や車中での何気ない会話、3人の間に流れる何気ない空気感が何とも心地よくて、ときに切なくて…。まるで自分もその旅に参加している気分になるんです。友だちに会いに行くというそれだけのことが、大人になると旅のひとつになる、その気づきはちょっと新しい発見だったりもします。
ジンコたちにとってこの旅は、海に飛びこんだミキを心配してたずねていく旅であり、そこにドキドキやウキウキといった楽しさはありませんが、その代わりに、あったかさがあるんです。北の冬の海岸は、風が強く、砂浜には雪が残り、かなり寒そう! ちなみに、実際のロケは、日本海に面した深浦町や弘前市など、青森県を中心に行われたそうです。でも、寒いからこそ、その間に存在する彼女たちの心のつながりを感じることができる。そのあたたかさは目に見えるようで、その空気感にただただ感動します。ジンコたちは、途中で色鉛筆と画用紙を買い、海岸でそれぞれ絵を描くんですが、そのスケッチもスケッチする時間もまたあったかくて。そして、思うんです。自分も友だちに会いに行きたいなと。友だちと一緒に車で旅をしたいなと。
北の町、海岸、風、色鉛筆、友だち…。『ペタル ダンス』に登場するキーワードをもって、映画をなぞるように旅する。そんな日本の旅もたまにはいいものです。
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