【MOVIEブログ】22日/カンヌ
22日、水曜日。青空の広がる気持ちのいい朝。が、少し寝坊してしまい、ランニングをするつもりだったのが挫折してしまった…。
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本日はまず8時に宿を出て、コンペの上映へ。ニコラス・ウィンディング・レフン監督の新作『Only God Forgives』(原題)。前作『ドライブ』で一躍世界のトップランナーに躍り出たレフン監督の新作は、今回のカンヌで最も大きな期待を集めている作品のひとつと言っても過言ではなさそう。
僕も大いに楽しみにして臨んだところ、おおっ、こうきたか! とびっくり。余計な説明を排したミニマルな作りに、不穏な音楽のループと、ひたすらダークな画面、そして溢れる暴力。これはまるでギャスパー・ノエだ! レフン監督、思いっきり作家性全開で攻めてきましたな。
ちなみに、コンペ作品20本のうち、今日までに公式上映が終わったのが13本。業界誌に掲載される星取り表や、周りの噂などを参考にすると、現在のところ評価が高いのがコーエン兄弟、ファルハディ、コレエダ、ジャ・ジャンクー、あたりかな。僕はコーエン兄弟とジャ・ジャンクーは未見なので、どこかでキャッチアップせねば。
ただ、突出した大本命という作品はまだ現われていない印象で、賞に関して言えば多くの作品にまだチャンスがありそう。それにしても、スピルバーグ(と河瀬さん)はどこで観ているのだろう? というか、スピルバーグは本当に20本全部観ているのだろうか? いや、絶対観てはいるのだろうけれど。興味津々。
さて、本日あたりでめぼしい映画会社の人々は帰り始めてしまうので、最後のミーティングラッシュ。11時半から17時まで(中華ビュッフェを呑みこんだ15分間を除き)、連続して10件ミーティング。良さそうな話も、そうでもない話もできて、充実したのではないかな。これで、カンヌのミーティングはほぼ終了。
今年は例年以上にミーティングが多く、あまり作品を観られていないのが悲しいのだけれど、上映を観ているとミーティングが気になり、ミーティングしていると上映が観たくなる、という情けない性格は今年も変わらず。ともかく、明日から数日間は上映に集中です。
昼間は久しぶりに上着を脱ぐ陽気だったのが、最後のミーティングが終わったあたりで急激に雲行きが怪しくなり、あっという間に雨が降ってきた。気温も一気に下がり、また数日前に逆戻りだ…。うう、とぼやきながら、18時の上映へ。
「監督週間」のポルトガル映画(スイスと合作)で『Ate Ver A Luz』(原題)という作品。リスボンの危険地域でドラッグディーリング集団に属する青年が、もがきながら生きる様をリアルに描く物語で、新人監督なりの勢いは感じられるものの、やはりテーマにも描写にも既視感が拭えず、まずまずといったところ。でも主人公のキャラクター造形は悪くなかったな。
冷たい雨と風の中をいったん宿に戻り、2時間ほどパソコンに向かって仕事。21時半にまた外に出て、22時半から「ある視点」部門の上映へ。
ちなみに、カンヌ映画祭では「パレ」と呼ばれる建物がメイン会場で、その中にコンペの上映が行われる「リュミエール」(2,300席)と、「ある視点」部門が上映される「ドビュッシー」(約1,000席)のふたつのホールがあって、コンペ作品では作品ゲストの登壇は無いのだけれど(監督や俳優たちは客席から手を振って挨拶)、「ある視点」ではゲストがずらりと壇上に並ぶことがあります。で、写真がその様子で、これだけ人数が多いと、壮観ですね。
写真にあるように、見たのは『My Sweet Pepper Land』(原題)というクルディスタンの作品。フセイン政権崩壊後のクルディスタンの僻地の村を舞台にした、ユーモラスな現代版西部劇で、これがなかなか悪くない。クルド人の独立運動が背景にあり、女性の立場への言及も含めた政治的な映画ではあるのだけれど、表向きはあくまで見やすいアート系の勧善懲悪ドラマに作品に仕上げるセンスが上手い。
冒頭からいきなり首つり死刑のシーンが始まり、これはしんどい作品になるのかと思わせつつ、それをブラックジョークに転じさせ、クローズアップを多用するショットの積み重ねのリズムの良さもアピールしながら、観客の期待を煽る最初の30分は、傑作の予感。が、中盤から若干キャラクターの掘り下げがいささか甘いのと、西部劇的な勧善懲悪があまりにも型通りなので(もちろん、それは狙いだろうから慎重な判断が必要だけど)、少しだけ後半は残念。
それでも、ちょっと新鮮なものを見せてもらった感はあって、22時半の回でこういう作品に当たると嬉しい。22時台にハズレが来ると、なかなかにつらいので…。
というわけで、本日は快調に終了。0時半にホテルに戻り、これ書いてそろそろ1時半。いよいよカンヌも終盤戦。なんとあっという間に日々が過ぎることか! いやいや、焦らず、明日からじっくり上映に臨もう。
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