【MOVIEブログ】25日/カンヌ
25日、土曜日。カンヌの公式上映は本日で最後。マーケットの上映もほとんど終了しており、選択肢はもはや少ない。検討の結果、朝は少しゆっくり過ごすことにして、今日のスタートは11時から。
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まずは「ある視点」部門の、『Manuscript don’t burn』というイランの作品。現在のイランにおける、反政府的な表現活動に対する摘発と処罰の過酷さを告発するドラマ。おそらく、製作者は決死の覚悟の上で作っている作品であるはず。パナヒ監督の逮捕拘束を通じて、現イラン政府の芸術家に対する厳しい姿勢を知っている者としては、身を正して観ずにはいられない。
続いて14時から、「監督週間」部門の作品で『The Selfish Giant』というイギリス映画。映画祭の序盤からかなりの高評判が伝わってきていた作品で、なるほどなかなか悪くない。イングランド北部(おそらく)の低所得者層に属する少年が、鉄くずや電線ケーブルを拾ったり盗んだりして業者に売って小銭を稼いでいるうちに、悲劇に見舞われてしまう物語(まあ悲劇といっても、ほとんど本人に非があるのだけど)。
映画の舞台も主題も画面のルックも、まさにケン・ローチの正統な後継者といった印象で、イギリス労働者階級を描く映画の伝統はこうやって受け継がれていくのか、と興味深い。完成度はなかなかだし、日本での配給も期待できるかも?
というのも、今年のカンヌも日本の配給会社の動きは積極的のようで、コンペ部門ではめぼしい作品はほとんど買い手がついている模様。3年前に底を打った感がある洋画買付の低迷は、昨年から一気に活気を呈し始め、今年もその勢いが持続している感じ。
ただ、ごく一握りの作品を除いて、日本でアート系外国映画が好調であるという状況があるわけではなく(むしろ苦戦するケースの方が多いのではないか)、この買付の勢いがどこに向かっているのかが今ひとつ分からない。もちろん、外国映画ファンとしては、めぼしい作品が買われていく傾向が続いてほしいのだけれど、悪い形で反動が来ないでほしいと願うばかり。
17時から、同じく「監督週間」部門で、『Tiptop』というフランス映画。イザベル・ユペールとサンドリーヌ・キベルランが主演の、いびつなコメディー・ドラマで、これが目も当てられない失敗作。かなりの時間ガマンをしたのだけれど、耐え切れず、今年のカンヌで初めて途中退場。
ホテルにいったん戻り、体が冷えてしまっていたので熱いシャワーを浴び直して、着替えて蝶ネクタイ締めて、外へ。
今年のカンヌ映画祭、最後のコンペ作品はジム・ジャームッシュ監督新作『Only Lovers Left Alive』へ。22時の回なのだけれど、少しでも良い席を確保したいと思い、20時半には会場へ。並んでいると、今年のクラシック部門で『太陽がいっぱい』の修復版が上映されることを記念して来場したアラン・ドロンが登場!(写真は、野外スクリーンに映し出されたドロン)。
半ば引退状態が伝えられているアラン・ドロンだけれど、今回は功労賞的なものを受賞したのかな。ホテルの親父さんによれば、「ドロンは素晴らしいけれど、いい歳の取り方をしなかったね。美しい自分を捨てきれず、老人俳優としてのキャリアを築くことができなかったんだよ」とのこと。これが一般的なフランス人が共有するイメージなのかな。
さて、ジャームッシュ新作は、ティルダ・スウィントン主演のバンパイヤ・ストーリー。もちろんジャームッシュなので、ありきたりな吸血鬼ものにはなっておらず、程よいユーモアとカッコいい音楽に、オフビートな香りと詩的な要素が加味され、とても甘美な出来栄え。
いよいよ明日はクロージング授賞式。見逃したコンペ作があるので(好評作としてはコーエン兄弟とジャ・ジャンクーを見ていない)安易に断言はできないのだけれど、それでも今年はケシシュしかないと断言する! 昨年のカンヌが「『ホーリー・モーターズ』に賞をあげなかったカンヌ」として記憶されてしまったことの二の舞は、断じて避けなければならない!
とはいえ、日本の記者の方々と立ち話をしたら、それほどみなさんケシシュに興奮しているわけではなさそう。あれ? そんなはずはないのだけれど。そういえば、上映後に会った「監督週間」部門の選定スタッフも、あまり気に入らなかったと言っていたし。それでも、僕はもう譲れない。明日の最後に題名が呼ばれるのは『La vie d’Adele』であるとの確信を抱きつつ、本日も2時にダウン。
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