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【インタビュー】長澤まさみ×岡田将生 期待も批判も、全て受け止め映画に生きる

この2人のやりとり、いくえみ綾(りょう)の漫画に登場する“友達以上、恋人未満”の男女そのままである。

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長澤まさみ×岡田将生『潔く柔く きよくやわく』/Photo:Naoki Kurozu
長澤まさみ×岡田将生『潔く柔く きよくやわく』/Photo:Naoki Kurozu 全 11 枚
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この2人のやりとり、いくえみ綾(りょう)の漫画に登場する“友達以上、恋人未満”の男女そのままである。

長澤まさみによると、岡田将生は“愛されキャラ”で「みんな、岡田くんのことが大好き!!」らしい。撮影現場でも取材でも、揃って出演したバラエティ番組でも、とにかく誰もが「親戚の子に物申すかのような近い距離で(笑)」話しかけ、イジってくるのだという。

いや、それは仕事の中だけにとどまらない。熱烈な人気を誇る漫画や小説の映画化について話していたとき、岡田さんがふと思い出したエピソードを明かす。

「昨日、全然知らない人から飲み屋で急に話しかけられて、“『潔く柔く』は映画化して欲しくなかったです!”って言われたんですよ…」。それを聞いた長澤さんは、「私生活でもツッコまれやすいんだね。隙があり過ぎるんじゃないの?」とカラカラと楽しそうに笑い、岡田さんは口をとがらせる。


■ 原作と映画化――「受け止めなきゃいけない」ファンの声 ■

2人が初共演を果たした映画『潔く柔く きよくやわく』は、女性から熱狂的な支持を集めるいくえみ綾の少女漫画の初実写化作品。本作に限らず、人気原作を実写化する際には、期待する声と共に、この飲み屋での岡田さんのエピソードを聞くまでもなく、熱烈なファンの「映画化してほしくない」という声も常に付いて回る。

出演に際し、プレッシャーも生半可のものではなかったのでは? そんなこちらの問いに長澤さんは「でも私、デビュー以来、映画と言ったらほとんどが原作ものなんですよ」とサラリと返す。決して“慣れた”わけではない。プレッシャーは常につきまとう。だが、それは10代から向き合ってきた問題であり、彼女にとっては最初に受け止めるべき前提なのだ。

「『世界の中心で、愛をさけぶ』は周りで読んでない人がいないくらい、社会現象にもなった小説でしたし、『タッチ』も不動の人気を誇る漫画でしたからね。“誰が演じるんだ?”という声に対するプレッシャーがなかったわけじゃないけど、若かったから(笑)、それを感じる余裕もなかった。『慣れた』という言い方は変ですが、常にそういう状況でやって来たので、その点での変な気負いはないんです」。

むしろ本作が特別だったのは、長澤さん自身が以前から原作漫画、そしていくえみ作品の大ファンだったということ。

「最初は『私じゃない方がいいんじゃないか?』とも思ったんです。それでもこうしてお話をいただいて、そんなときに(ヒロインの)カンナの前向きな姿――つらいことがあっても生きるのをやめず前に向かって進む――そういう姿が原作を読んでいたときから好きだったことを思い出して、後押しされました」。

女優として、ほかの人には演じさせたくないという思いは? 彼女の“競争心”を量るような思いでそう尋ねると、あっけないほどあっさりと「それは全然ないです」と屈託のない笑みを浮かべて続ける。

「ほかの人が演じても面白い作品になると思うし、一度映画になっても、また(違うキャストで)映画化されたり、ドラマになったりする時代ですからね。『違う(俳優の)組み合わせがあってもいいのに』っていつも思うんですよ。それを楽しむかどうかは自分次第だなって思います」。

岡田さんもまた人気の少女漫画やベストセラー小説を原作とする数々の作品に出演してきた。大切にしているのは「常に台本を読み込むこと。最初に読んだときと、軽い気持ちで読んだとき、撮影の合間で読むときと日々、(印象や受け止め方が)変わっていくので、その変化を取り入れながら作り上げていく」と明かす。本作に関しては当初、岡田さんは原作の存在を詳しくは知らなかったという。

「知らないまま台本を読んで、プロデューサーにお会いしたんですけど、そこで『もの凄い人気の漫画原作なんです』ってプレッシャーを掛けられまして…そんな言葉わざわざいらないよ! って(苦笑)。知らないままの方が余計なものを感じないでできたのに…。でもプロデューサーの熱量が半端じゃなくて、それが良かったというか、応えたいという気持ちがすごくありました」。

時に製作前から「映画化してほしくない」と言われることもあり、どんなに高い評価を得て、どんなにヒットしようと認めない熱狂的な原作ファンは必ずいる。そんな声やプレッシャーと岡田さんはどのように向き合い、割り切ってきたのか? 岡田さんから出た言葉には10代の頃からこうした作品に出演してきた俳優の“覚悟”、プロとしての高い意識がにじむ。

「“割り切る”というよりも、そういう声も受け止めなきゃいけないと思ってます。作る以上は、監督もスタッフさんもプロデューサーもみんな必死で、僕だけが違う気持ちでいることはできませんから。そういう思いも踏まえてぜひ観てほしいと思うし、それで映画を好きと言ってくれる人もいると思うんです。こっち側の(映画化に懸ける)熱を伝えたいですね」。


■ 岡田将生は“いくえみ男子”――長澤まさみが太鼓判 ■

過去に大切な人を失ったカンナと禄。同じ傷を持つ2人が出会い、互いを支えながら再生していくさまを映画は優しく描き出していく。

「いくえみ先生の漫画は、カット割りやシーンが移り変わっていく過程がすごく良いんです。漫画をもう一度読み返して、教科書のようにしていました。それがファンだからこその私の誠意ですね」と長澤さん。特にファンとして、言うことができてよかったというのが、カンナが最後の最後で禄に掛ける大切なある言葉(=想い)だという。

「女の人ってやはり強いんだなって思いましたね。『男のために“女々しい”という言葉があり、女のために“男らしい”という言葉がある』というのはホントなんだなと(笑)。男と女って噛み合わない部分もたくさんあるし、考え方も違うけど、互いの違いを受け入れ合うことはできるはず。禄とカンナは相手が差し出した言葉や思いをきちんと受け止めて、こちらからも差し出す。そうやって噛み合っていく会話がすごく好きでした。

一方、岡田さんが印象的なセリフとして挙げるのは、大事な幼なじみの死を引きずるカンナが「罪悪感ってどうやったらなくなるの?」と似た心の傷を持つ禄に尋ねたときの「なくなんないよ、そんなもの。一生、抱えて生きていくんだよ」という答え。

「まさにその通りで、同じような思いは僕自身の中にもあります。どんな人にも(心に抱える傷や後悔は)あると思うけど、それを素直に言える禄はやっぱりいいなと思う。禄を演じながら『そうなれたらいいな…』と思う部分はいっぱいあったし、相手がカンナだから言えたこともあるんだろうとも思う。哀しみは残るものだし、消さなくてもいい――だから僕は結構、根に持つタイプです(笑)。でもそう言えるのも禄を演じたからかな…? 生きていく中でどうしてもひねくれていってしまう部分というのはあって、素直に思いを言えなくなってしまうところはあると思う。それをストレートに言える禄が羨ましいですね」。

長澤さんは、そんな岡田さんは確実に“いくえみ男子”であると断言する。“いくえみ男子”とは、文字通りいくえみ作品に登場し、女性読者をキュンキュンさせる男性キャラクターたちのこと。どういうタイプとは説明しづらいところだが、長澤さんは「王子様っぽくなくて、本当にいそう」「ちょっとダメなところがある」といった要素を挙げる。

「人間らしくて、それぞれがちゃんと自分を持ってるんですよね。普通の少女漫画の男子って“都合のいい”男子が多いんですよ、女子にとって。読みながら『いや、そうはならないから!』って言いたくなる(笑)。子どもの頃はそういう“王子様”でいいんです。『こんな風にしてくれる男の子がいてキュン!』って。でも、いくえみ男子はこっちの思い通りに動いてくれない。そこがいいんですよね」。

岡田さんに関しては、まず見た目からして「少女漫画に出てくる男の子の顔してる! ほかのいくえみ先生の作品にも出たらいいのにって思うよ」と長澤さん。さらに気になる“内面”についても…。

「岡田くんは実は結構、中身が見えないんですよ(笑)。でもきっと、素直な人なんだなと思います。だから、言わなくていいことまで言っちゃって、ドツボにハマっちゃうんだろうなって(笑)。そういう人間らしいところも“いくえみ男子”っぽいと思います!」。

《photo / text:Naoki Kurozu》

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