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【玄里BLOG】藤井道人監督『オー!ファーザー』

お兄ちゃんの娘がうちに遊びに来た…

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『オー!ファーザー』-(C) 2014吉本興業
『オー!ファーザー』-(C) 2014吉本興業 全 3 枚
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お兄ちゃんの娘がうちに遊びに来た。
ほかのおうちでは特別なんてことない普通のこと、なんでしょうけどうちではいわゆる、最近読んだ村上春樹さんの小説の言葉を借りれば――ハットトリック的な、確率。


ロシアの血が半分入っていて超可愛い、ソフィアちゃん。
いわゆる姪。わたし、叔母。いきなりやってきた、叔母初体験。
ぽわーんとした兄がちゃんとお父さんになってる。なるんですね。
「ソニー、ご飯食べるときはドラえもんやめなさい」とか言うんですよ。きっとお兄ちゃんだって、やってたのに。微笑ましかったです。


『オー!ファーザー』は父親4人と同居する高校生・由紀夫のお話。
なぜ、父親が4人もいるのか?
それは由紀夫の母が由紀夫を身ごもったとき四股をかけていたから。
誰が本当の父親なのか分からないまま、別れるくらいなら! と一緒に住みはじめた母含む、不思議な6人家族。

よっぽど魅力的な人なんでしょう。4人の父親は母にぞっこんの様子。
見てみたい、けど劇中に母は出てきません。
ワンシーン、出て来るんですけど、顔は映りません。

その母の出張中。父親たちに連れて行かれたカジノでたまたま見かけた怪しい、鞄のすり替え。
それを機に由紀夫の住む町では奇怪な事件が起こりはじめます。
誘拐されてしまった由紀夫を助けるべく立ち上がった父親4人。

子供の頃にした、遊び。携帯電話の代わりに使え、と教えた手旗信号。いつもと様子が違う、電話での受け答え。
家族だから分かる小さなヒントを手がかりに由紀夫が監禁されている場所に、辿り着く。

自分が家族ものの作品にめっきり弱い、ということを差し引いても(昨日観た『チョコレートドーナツ』も泣かされる、と分かっててこらえたのに随分泣いた。)家族の温もりにきっと愛、にじーんと来る場面が幾つもありました。


外側からはどんなに平凡に見える家庭にだって
その家庭にしか分からない、乗り越えて来た数々のドラマがあるんだということは大人になってから分かるようになりました。

本当に平和に良い思い出ばかりでやってきましたよーという家族だって、
あるんでしょうけど。それこそハットトリック的な確率で。
でもそれだってきっと、子どもからは見えない両親の壮絶な努力があるんじゃないかなって。


父親が4人いるって環境は、想像するにすごく
いや果てしなくめんどくさそうだけど
ああ。なんだかいいものなんだなあと思えた。血の繋がりだけじゃない、時間が育てた繋がりが感じられたから。
そういう、いてくれてありがとうだったり鬱陶しいなって部分だったりを含めて家族。


原作は伊坂幸太郎さんの小説。
監督は藤井道人くん。私と、同い年。
自分のルーツ、つまりこれまで、とこれから、をしっかり考えてる人。だから、正直前のめりになって映画観てました。どんなの作るんだろうと。
長編作品はこれが2本目だとか。すごい。面白かった。

個人的には、経験値のあるベテランキャストと若手キャストのバランスがとてもいいなと思いました。
家族を演じている俳優たちがみな楽しそうなのも良かったです。

家族ドラマ、サスペンス、コメディ…ふり返るとカテゴライズは難しいですがふっと劇場に立ち寄って、良い気持ちで家に帰れる作品です。
公開は5月24日(土)、ヒューマントラスト渋谷ほか全国順次公開。


玄里

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《text:Hyunri》

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