恋か？仕事か？『攻殻機動隊ARISE』最新作は、悩める女子必見のラブサスペンス

束の間のデートを楽しむ一組のカップル。しかし、ヒロインの元に職場から緊急連絡が入り、2人の時間は突然終わりを告げる。「埋め合わせはするわ」――そんな言葉を残し、足早に部屋を立ち去る…

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2014.6.27 Fri 21:00

『攻殻機動隊ARISE border:3 Ghost Tears』 -(C) 士郎正宗・Production I.G／講談社・「攻殻機動隊ARISE」製作委員会全 14 枚

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束の間のデートを楽しむ一組のカップル。しかし、ヒロインの元に職場から緊急連絡が入り、2人の時間は突然終わりを告げる。「埋め合わせはするわ」――そんな言葉を残し、足早に部屋を立ち去ると、彼女はサイバーテロの“戦場”に身を投じる…。

近未来を舞台にした人気アニメシリーズの最新作『攻殻機動隊ARISE border:3 Ghost Tears』は、そんな甘く切ないワンシーンで幕を開ける。後ろ髪を引かれる思いで、恋人を置き去りにしながら、現場では持ち前のスキルをフル稼働し、ミッションを遂行する彼女の名は草薙素子（くさなぎもとこ）。サイバーテロ専門の情報機関「公安9課」の若きリーダーであり、脳と脊髄（せきずい）の一部を除き全身が義体化された未来型のヒロインだ。

屈強な男だらけの「公安9課」において紅一点、クールで完璧に仕事をこなす素子だが、本作では、恋人で義体技師・ホセとのラブストーリーが主軸になっており、その分、これまで表に出ることがなかったキュートな魅力と、男に隙を与える人間らしさを垣間見せている。

そんな彼女に突きつけられるのは、「恋か？　仕事か？」という悩ましい選択。多忙を極める素子にとっては、ホセとの時間をやりくりするだけでも一苦労。さらに彼女が追う“事件”にホセの関与が浮上し、悩みが葛藤に、不安が現実となり、素子の心を大いに揺さぶる…。

結論を言えば、『攻殻機動隊ARISE　border:3 Ghost Tears』は素子という戦う電脳ヒロインに、現代を生きる女性の姿を投影させた極上のラブサスペンスだ。その本筋にブレがないため、「SF的な設定が難しそう」「いままでシリーズを見たことないし…」と言う人でも、本作単独で存分に楽しめる仕上がりになっている。岡田准一(V6)・主演で映画化もされた「天地明察」などで知られる人気作家・冲方丁が、脚本を手がけており、上映時間59分に凝縮された高密度なストーリーテリングが堪能できる。

エンディングテーマ「Heart Grenade」は、ショーン・レノンとコーネリアスが「ショーンレノン　コーネリアス」名義でコラボレーションした書き下ろし楽曲。コーネリアスの曲に、レノンが詩を付けて歌っている。士郎正宗氏のSFコミックを原作に、過去には押井守監督、神山健治監督が映像化。そして、“新たな攻殻”として注目を集める『攻殻機動隊ARISE』は、第4弾となる次回作で完結するだけに、いまこそ加速するシリーズをフォローする絶好の機会だ。

『攻殻機動隊ARISE　border:3 Ghost Tears』は6月28日（土）から全国にて公開。

《text：Ryo Uchida》

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