【シネマ羅針盤】園子温監督、止まらぬ快進撃…その原点を描く『ラブ&ピース』
大ヒットを記録した『新宿スワン』を皮切りに、現在ほぼ月一ペースで新作が公開されている鬼才・園子温監督…
最新ニュース
コラム
-
テレビ東京で4月4日から始まる『コッソンビ』はどんなドラマなのか
-
長谷川博己、やり過ぎ演技を後悔? 「殻を破り過ぎ」と園子温監督は大絶賛!
-
『アマチュア』公開&来日記念! ラミ・マレックを好きになる7つのこと

そんな園ワールド未体験者にこそ、最新作『ラブ&ピース』は“入門編”として触れてほしい作品だ。園監督が25年前に書き上げたオリジナル脚本を、いまや売れっ子となった自身のメガホンで映画化した本作。主人公のサエない会社員・鈴木良一はある日、デパートの屋上で偶然出会った不思議なミドリガメに導かれ、一度はあきらめたロックスターになる夢を現実のものにする。ときを同じくして、ナゾの巨大怪獣が東京を襲い始める…。
周囲から「無価値」と蔑まされた主人公に巻き起こる奇跡と、ミドリガメの関係は? そして、スターの階段を駆けあがる男の顛末や淡い恋模様、怪獣が夜の新宿で暴れまわる特撮アクションが渾然一体となった『ラブ&ピース』には、25年前、あふれる創作意欲を形にしたいともがきながら、世間からチャンスを与えられずにいた青年・園子温の苦悩と葛藤がスパークしている。止まらぬ快進撃を見せる園監督の“原点”がここにあるのだ。
さらに全編を通して、捨てられ、忘れられたモノへの温かなまなざしが注がれたファンタジーになっており、誤解を恐れずに言えば「とても見やすい」「誰もが楽しめる」作品に仕上がった。オタク気質全開だった80年代のティム・バートンの世界観に、『ベルベット・ゴールドマイン』や『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』といった「夢の残酷さ」を描く傑作ロック映画のテイストが加味されており、洋画ファンも受け入れやすいはずだ。
最近、印象的だったのは園監督が綾野剛、沢尻エリカらを引き連れて、新宿・歌舞伎町のレッドカーペットを闊歩した瞬間だ。それだけでも、園監督がつかんだ成功の大きさがわかるが、その様子を完成したばかりの新宿東宝ビル8階のゴジラが見下ろしていて…まるで『ラブ&ピース』のワンシーンのようだった! 25年前に思い描いたイメージが、こうして現実になると誰が想像できただろうか? 園監督には“見えていた”かもしれないが。
『ラブ&ピース』は6月27日(土)から全国にて公開。
《text:Ryo Uchida》
特集
関連記事
この記事の写真
/