【インタビュー】異例の大ヒットを続ける『この世界の片隅に』 片渕須直監督が明かす“この映画が目指したもの”
「全国の劇場へこんなにたくさんのお客さんが詰めかけていただいて、本当にありがたいですね」と映画のヒットを支える観客への感謝を口にしたのは…
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「スタジオの中には常に広島弁がわかる人に複数いてもらって、僕たちも広島弁に慣れるようにしました。作業をずいぶん繰り返す中で段々ニュアンスが掴めて来て、あっ今の広島弁は違うな、と自分たちでもわかるようになっていきました。そうした試行錯誤の結果として、映画を見てくれた広島のお客さんから“登場人物がみんな自分たちのおばあちゃんの時代の言葉を喋っていた”という感想をもらいました。“いまの広島弁ではない”ということなんですよね。映画を通じて“うちのおばあちゃんには、あんな可愛らしい娘時代があったんだなぁ…”と感じてもらえる広島弁が作り出せていたということですよね」。
映画の舞台となった広島の観客が監督に投げかけた嬉しい言葉。監督は早速、のんさんにその感想を伝えたところ、彼女から「“広島弁”と“昔の雰囲気”という二つの課題がクリアできていたんですね! 良かった!」というメッセージが帰って来たとのこと。
「彼女はやっぱり演じることが好きなんだなと思いましたね。闇雲に台本の上の台詞を感情的にぶつけていくのではなくて、きちんとすずさんという人格を彼女の中でイメージしようとしていました。彼女自身が不自然さを感じないすずさんのキャラクターを掴んでいった。そうした上で、すずさんがしゃべる台詞回しに、ちゃんとお客さんに対してエンターテインメントとなる面白さを持たせようという、何重にも意識を持って収録に挑んでいました」。
終戦から70年以上がたった。戦争体験世代が減少する中、ディテールにこだわり抜いた描写と妥協のないキャストの熱演で彩られた本作が、戦後世代に“戦時下のリアリティ”を伝えてくれる。
「戦争がある日突然に終わっても、そこで全てが終わるのではなく、そこで生活をしている人にとっては、その日の晩ごはんもあり、翌日の朝ごはんもあるのであって…。そうやってずっと生活を続いていくわけですよね。そうしてそれが僕たちの“今”に至ってる。そこに思いいたるというか、そうした当時の当り前な感覚に浸りたい。“歴史の1ページ”というその瞬間しか思い浮かべられないようなことではなく、時の流れをちょっと俯瞰して上から見ながらも、その時の流れに没入できるような作品を目指しました。それが『この世界の片隅に』なんです」。
ロードショーから年をまたいで2017年になっても、しばらくは日本全国の映画館で『この世界の片隅に』をめぐる活況が続きそうだ。
《text/photo:Hiroshi Suzuki》
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