俳優としての分岐点に山田さんが挙げるのが、福士蒼汰・有村架純と共演した映画『ストロボ・エッジ』(2015)。原作は人気コミック。ゆえにキャスティングを巡ってネットは荒れた。「僕の役は蒼汰と架純ちゃんを奪い合う役柄でした。僕は当時、2人と比べて役者として世間の皆さんの認知度も低く、自分で自分の名前を検索すると『誰こいつ』と僕の出演に対して賛否の否しかありませんでした。日本中の女子高生が敵になった気分で、もう悔しくて、悔しくて…。でも、それが自分の役者魂に火をつけたんです」と奮起する契機に。

だが現場で再び打ちのめされる。「目にしたのは、蒼汰と架純ちゃんのスター性でした。普段はフラットな感覚でいるけれど、一歩外に出るとスイッチが入って切り替わる。そのプロとしての姿に感激すると同時に、自分に欠けているものを見せつけられたような気がしました」とふり返る。
それまでの山田さんは、鎖国時代だったという。表面的には明るく振る舞っているが、心根は誰にも見せないようにしていた。そこに有村さんや福士さんという名の黒船来航。「このままではマズイ。しかし2人と同じようなものを目指しても意味がない。ONとOFFをなくして自分自身を解放しなければならない」と決意。いまでは「どんな場面でも素直に自分を出す。どんな相手であっても、腹を割ってきちんとコミュニケーションをとる。プライベートでも感情の赴くまま、行きたいと思った場所にはその日のうちに行き、精一杯楽しむ」に変えた。