まず、放送300回を記念して、クラウドファンデングを募って製作され、今後、世界中の映画を観られない子どもたちに届ける取り組みも予定されている約8分のクレイアニメ「フィルとムー」がお披露目された。
斎藤さんも板谷さんもこのプレミア上映に「しみじみしちゃいました」と感慨深げ。このプロジェクトに参加している、カンボジアなどで移動映画館を開催しているNPO法人「World Theater Project」の代表理事・教来石織氏も「胸がいっぱいです」と感激。秦俊子監督は「斎藤さんの原案が素晴らしく。クレイアニメとして、ひとりだと絶対に挑戦しないことも意見をいただいてできたし、これまでにない素敵な作品に仕上げることできました」とうなずいた。
本作は映画の歴史をなぞり、名作へのオマージュを捧げるような構成になっており『タイタニック』や『雨に唄えば』、『鳥』など、多くの人が知る名作を思わせるシーンも登場。原案の斎藤さんは「自分にとって映画は、いろんな景色が広がる魔法の窓。それがこの作品に宿ったらいいなという希望を込めて、こうなりました」と説明する。
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本作は今後、完全に権利フリーというこれまでにない形で、上映を望む世界中の国々の団体などと協力しながら、子どもたちに届けられることになるという。
板谷さんは「“工房”というからには何か作りたいねと言ってきて、こうして形にできてしみじみ感慨深いです。映画を観たことのない子どもたちに届けようという、斎藤くんと教来石さんの気持ちがちゃんと一致して、すごいことが起きたなって思います。人の力、みんなの力ってすごいなって思います」と喜びを口にしていた。
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トーク第2部では、この後のオールナイトでの新海誠監督作品の一気上映を前に、新海組の美術を担当する渡邉承、「新海誠展」の総監修を務める落合千春氏を迎えて新海作品についてのトークが展開。
キャラクターの後ろの背景を制作するのが渡辺さんの仕事だが、新海作品に携わることになったのは大学時代。「講師から『アニメの背景を描くバイトやらない?』と言われて、それから14年、お世話になっています。最初に描いたのは『雲のむこう、約束の場所』の大宮駅でした」という告白に会場は驚きに包まれる。
斎藤さんは「『君の名は。』は世界でも評価されてますが、美術の評価が非常に高い。『秒速5センチメートル』を劇場で観て、美術面でここまで遠くの、細かい背景を美しく追及するのか! と思った。“場所”がすごく重要な作品だなと思いました」と語り、板谷さんも「空の美しさに引きこまれました」と渡邉さんの美術の美しさを称える。

渡邉さんは新海作品の美術の特徴として「(イメージする場所の)写真のレイアウトはあるけど、あくまでアニメが舞台なのでリアリティを追求し過ぎると新海監督から『そうではない』と言われます」と語り、落合さんも「ロケハンをして写真は撮るけどそのままは描かない。『秒速5センチメートル』のあの場所で桜の季節に写真を撮りたいという声がよく寄せられるんですが、実際にあの場所に桜はないんです。あの住宅街に桜を加えたら素敵になるとイメージして、加えられているんです」と明かした。
最後にこれからオールナイトで新海作品を観る観客に渡邉さんは「まだネットでも気づいていない人が多いようなので」と前置きし、『君の名は。』のある秘密に言及! 「瀧くんの部屋の机の上にあるものを注意深く観察すると、ある方が出演してるのが分かります。実在の人物です」とニヤリ。斎藤さんも板谷さんも知らないそうで「え? 誰だろう?」と興味津々だった。