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カンヌの話題作も、いち早く上映! 映画祭のプロに聞く、フランス映画祭の愉しみ方

映画館にはちょこちょこ足を運ぶけど、映画祭には行ったことがないんだけど…。邦画、ハリウッド映画は観るけど、フランス映画はあまり観たことがなくて…。

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ジェレミー・スゲ氏、矢田部吉彦氏
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映画館にはちょこちょこ足を運ぶけど、映画祭には行ったことがないんだけど…。邦画、ハリウッド映画は観るけど、フランス映画はあまり観たことがなくて…。

6月21日(木)より横浜で開催される「フランス映画祭 2018」は、そんなあなたにフランス映画の魅力、普段の映画鑑賞とは異なる映画祭ならではの楽しさを提供してくれます。でも、数ある映画の中からどうやって作品を選べばいいの? おススメの映画祭の愉しみ方は?

そこでご登場いただいたのが、フランス映画祭を主催するユニフランスの日本・韓国・東南アジアマーケット担当のJeremy Segay(ジェレミー・スゲ)さんと東京国際映画祭でプログラミング・ディレクターを務める矢田部吉彦さん。映画祭、そしてフランス映画に精通するお二人に、今年の映画祭の見どころ、ポイントを教えてもらいました!

Jeremy Segay(ジェレミー・スゲ)さん、矢田部吉彦さん
――1993年に誕生し、毎年、多くの映画ファンから支持されているフランス映画祭ですが、上映作品はどのように選定されるのですか?

ジェレミー:基本的に、日本の配給会社から(既に日本での公開が決まっている作品を)応募してもらうのと、まだ日本公開が決まっていない作品に関して、ユニフランスが推薦するものにわかれます。映画祭の目的は主に2つあって、これから配給されるフランス映画の紹介と、まだ配給が決まっていない、もしかしたら今後、日本では観られないかもしれない作品の紹介です。後者に関しては、今年で言うと『とてもいじわるなキツネと仲間たち』が相当しますね。

■日本で公開未定! 仏アニメの傑作『とてもいじわるなキツネと仲間たち』



『とてもいじわるなキツネと仲間たち』(C) FOLIVARI/PANIQUE/STUDIOCANAL/RTBF/OUFtivi/VOO/Be tv『とてもいじわるなキツネと仲間たち』(C) FOLIVARI/PANIQUE/STUDIOCANAL/RTBF/OUFtivi/VOO/Be tv
――オスカー候補にもなった『くまのアーネストおじさんとセレスティーヌ』のクリエイターによる、ユーモアあふれるアニメーション映画ですね。

ジェレミー:日本もフランスも、アニメのマーケットは大きいですが、特に日本は国内に素晴らしい作品が多く、マーケットが充溢していて、海外から作品を持ってくるのが難しいところがあります。だからこそ今回、あえてこの作品をプログラムに入れて、日本のみなさんに観ていただきたいんです。実は、この作品は既にほとんどのアジア諸国で買い手がついてるけど、日本ではまだ配給が決まっていません。映画祭での上映を通じて、日本の観客の反応や特徴を戦略的にフランスに伝えることも私たちのひとつの重要な役目です。

――それ以外で、今年のラインナップの特色はどういった部分でしょうか?

ジェレミー:大きく分けて2つの特徴があります。まず、女性監督、女優にフォーカスを当てているということ。そして、これから花開くであろう若き有望な才能の紹介という部分ですね。

■昨年の『エル ELLE』を超える強烈さ? 『REVENGE リベンジ』



『REVENGE リベンジ』(C) 2017 M.E.S. PRODUCTIONS - MONKEY PACK FILMS - CHARADES - LOGICAL PICTURES - NEXUS FACTORY - UMEDIA『REVENGE リベンジ』(C) 2017 M.E.S. PRODUCTIONS - MONKEY PACK FILMS - CHARADES - LOGICAL PICTURES - NEXUS FACTORY - UMEDIA
矢田部:今年のラインナップは幅広いジャンルを網羅していて、多様性に溢れていますよね。コメディからアートフィルム、それから『REVENGE リベンジ』のようなバイオレンス・ホラーまで…いや『REVENGE リベンジ』は正確にはホラーじゃないんですけど(笑)、なんて言っていいか難しい作品で。とにかくすごいです。

――タイトルそのまま、美しきヒロインの復讐劇を描いた話題作ですね。昨年の映画祭ではイザベル・ユペール主演の『エル ELLE』が、サスペンスであると同時に、かなりぶっ飛んだ内容で大きな話題を呼びましたが、それに近いような…?

矢田部:『エル ELLE』以上に『REVENGE リベンジ』は“怖いものなし”ですね(笑)。

ジェレミー:それから、今年の団長を務めるナタリー・バイの活躍も見逃せません。彼女は今回の映画祭で上映される作品では、『モカ色の車』という長編に加えて、彼女の娘であるローラ・スメットが初めて監督を務める短編映画『トマ』にも主演しています。


――矢田部さんから見て、フランス映画祭の魅力、成功の秘密はどんなところにあると思いますか?

矢田部:僕自身も、もう15年以上前になりますが、フランス映画祭のスタッフをしていたことがあって、間近でこの映画祭を見ていました。やはり、世界的なスターと言える、フランスの有名監督や俳優、女優たちがゲストとして来日するというのは、他の映画祭にはない大きな特徴ですね。昨年は、カトリーヌ・ドヌーヴにイザベル・ユペール。今年はナタリー・バイ。ちょっとほかの映画祭ではありえないですから。

――矢田部さんも東京国際映画祭で作品選定を担当していますが、フランス映画祭のプログラムに関してはどのように見ていらっしゃいますか?

矢田部:ひとつの国にフォーカスされた映画祭って、僕から見たらうらやましい部分もありますね。その国の映画、文化、歴史を深くいろんな面から知ることができるプログラミングですよね。僕が関わっている東京国際映画祭のような映画祭では、どうしても作品選定が(地域やジャンルに配慮した)ジェネラルなものになってしまうところがありますが、フランス映画祭は、やや尖った作品や、新たな若い才能を紹介したり、冒険されているなと思います。

■矢田部さんイチオシ! 「昨年のカンヌのベスト」…『顔たち、ところどころ』



『顔たち、ところどころ』 (C) Agnès Varda - JR - Ciné-Tamaris - Social Animals 2016.
――特に今年のプログラムで、矢田部さんおすすめの作品は?

矢田部:いやぁ、今年は本当にどれも面白いです。まず、アート作品の素晴らしさを教えてくれるのが、アニエス・ヴァルダ監督の『顔たち、ところどころ』。この作品は、昨年のカンヌで上映された作品の中でも、私の中で“ベスト”と言える作品です。

――“ヌーヴェルヴァーグの祖母”と呼ばれる女性監督の先駆者アニエス・ヴァルダとストリートアーティストのJRがフランスの田舎を旅するドキュメンタリーですね。

矢田部:アート映画の在り方として非常にユニークで、2人の疑似親子的な関係もあって、笑えるし、感動的で、最後には大きなサプライズもあり…ちょっとなかなかない映画だと思います。一方で、『セラヴィ!』はエンターテインメントとしての王道をゆく、よきフランスの商業映画だと思います。

――日本でも大ヒットした『最強のふたり』の監督コンビによる、ある結婚式を舞台にした作品ですね。

矢田部:それから、(アカデミー賞作品賞『アーティスト』の)ミシェル・アザナヴィシウス監督の『グッバイ・ゴダール!』。

『グッバイ・ゴダール!』(C)LES COMPAGNONS DU CINÉMA - LA CLASSE AMÉRICAINE - STUDIOCANAL - FRANCE 3.『グッバイ・ゴダール!』(C)LES COMPAGNONS DU CINÉMA - LA CLASSE AMÉRICAINE - STUDIOCANAL - FRANCE 3.
――ゴダールとその妻で女優のアンヌ・ヴィアゼムスキーの1968年のパリでの生活を描いたドラマですね。

矢田部:1960年代後半のゴダール映画のカラーやヴィジュアルを見事に再現していて、ゴダールを演じたルイ・ガレル、アンヌを演じたステイシー・マーティンも素晴らしいです。あとは、つい先日のカンヌ国際映画祭で、監督週間のオープニングで上映され、高い評価を受けていたギョーム・ニクルー監督の『To the Ends of the World (英題)』もいいですね。

■ジェラール・ドパルデュー×ギャスパー・ウリエル共演『To the Ends of the World (英題)』



『To the Ends of the World (英題)』(C) 2017 Les films du Worso - Les Armateurs - Orange Studio - Scope Pictures - Rectangle Productions - Arena Films - Arches Films - Cinéfeel 1 - Same Player - Pan Européenne - Move Movie - Ce Qui Me Meut『To the Ends of the World (英題)』(C) 2017 Les films du Worso - Les Armateurs - Orange Studio - Scope Pictures - Rectangle Productions - Arena Films - Arches Films - Cinéfeel 1 - Same Player - Pan Européenne - Move Movie - Ce Qui Me Meut
――ジェラール・ドパルデュー、ギャスパー・ウリエルが共演し、1945年のインドシナの戦場を舞台にした作品ですね。

矢田部:カンヌで大きな話題になった作品を、こうしてその直後のタイミングで日本で観られるってなかなかないことですからね。ユニフランスさんの英断のおかげだと思います。

■横浜がヨーロッパになる? 映画祭ならではの非日常体験!




――映画祭自体に足を運んだことのない、初心者に向けての映画祭のおすすめの愉しみ方のポイントを教えていただけますか?

ジェレミー:今年は横浜での開催ですので、フラッと気軽に横浜まで足を運んでいただければと思いますね。ほぼ全ての作品で、上映後に作品ゲストによるQ&Aを行ないます。作り手の話を聞けるというのは大きな楽しみだと思います。矢田部さんにもほぼ毎日、Q&Aのモデレーターとして来場していただきますので。

矢田部:初めてフランス映画祭に足を運ぶ人には、驚きがあると思いますね。というのは、普通に映画館に映画を観に行くのと、映画祭で映画を観るという体験は全く違うものなんですよ。あの空気感はどこから来るのか…? ゲストが来日するというのもあるんでしょうが、なぜか会場がヨーロッパのような雰囲気なんです。これは、普段の映画体験では味わえない非日常だと思います。

■フランス映画初心者にイチオシ…『セラヴィ!』



『セラヴィ!』(C) 2017 QUAD+TEN / GAUMONT / TF1 FILMS PRODUCTION / PANACHE PRODUCTIONS / LA COMPAGNIE CINEMATOGRAPHIQUE『セラヴィ!』(C) 2017 QUAD+TEN / GAUMONT / TF1 FILMS PRODUCTION / PANACHE PRODUCTIONS / LA COMPAGNIE CINEMATOGRAPHIQUE
――普段、あまりフランス映画を観ないという人におすすめの作品はありますか?

ジェレミー:先ほど、矢田部さんにも紹介いただいた『セラヴィ!』は、フランス映画のよきイントロダクション(入門編)になるでしょうね。商業的な作品ですが、その中で描かれるウェディングの1日を通して、様々なフランスのカルチャーが描かれ、フランスがみえてきやすい作品になっていると思います。それ以外では…『CUSTODY/カストディ(英題)』は人間ドラマでありつつ、ジャンルのはざまにあると言える作品です。

矢田部:両親が離婚し、母親のほうは息子と父親を会わせたくないと思っていて、でも夫のほうは会いたくて…それがだんだん、極端な思いになっていくという心理ドラマなんですけど、これもすごく怖いです!

ジェレミー:どの作品を観ても、フランスの一面を感じていただけると思います。今年はどれを選んでも間違いない作品が揃っています!

矢田部:フランス映画ってちょっと上品で…と思ってる人なら『セラヴィ!』か『REVENGE リベンジ』ですかね? 全くタイプの違う2作ですけど(笑)。

『子どもが教えてくれたこと』(C) Incognita Films - TF1 Droits Audiovisuels『子どもが教えてくれたこと』(C) Incognita Films - TF1 Droits Audiovisuels
ジェレミー:土日の朝は、特に家族で観やすい作品をラインナップしています。フランスで23万人が観た『子どもが教えてくれたこと』や『とてもいじわるなキツネと仲間たち』がそうですが、『子どもが教えてくれたこと』は日本語吹替で、『とてもいじわるなキツネと仲間たち』はなんと日本語の同時通訳つきで上映されますから、お子さんも一緒に楽しめると思います。

■サインのチャンスも? 明日のフランス映画界を担う若手イケメン俳優が来日!




――先ほど、これからの活躍が期待される若き才能も今年の見どころとおっしゃっていましたが、特におすすめは?

ジェレミー:俳優で言えば、『マルヴィン、あるいは素晴らしい教育』のフィネガン・オールドフィールドと『ブラッディ・ミルク』のスワン・アルロー。2人とも来日します。まだまだ世界的に知られているとは言えないかもしれないけど、どちらも明日のフランス映画を担う才能です。

矢田部:サインももらえるかもしれないので、ぜひ!

「フランス映画祭 2018」は6月21日(木)から24日(日)まで横浜みなとみらいホール、イオンシネマみなとみらいほかにて開催。

公式サイト:http://unifrance.jp/festival/2018/

〈提供:フランス映画祭事務局〉

《シネマカフェ編集部》

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