1941年、前年にソ連との“冬戦争”に破れ、領土の一部を失ったフィンランドは、ソ連から領土を取り戻すためにソ連に進攻、“継続戦争”が勃発する。この戦争でフィンランドは400万の人口に対して50万の軍隊を組織、強大なソ連軍に歩兵中心の戦いを挑む。そんな中、それぞれ異なった背景を持つ4人の兵士たちは、最前線で苛烈な戦闘に身を投じる。たとえ戦場で息絶えたとしても、戦士たちの生きた証はそれぞれの家族に、そして大地に確実に刻まれていく…。
日本とフィンランドの国交樹立100周年を迎える今年、「ムーミンバレーパーク」がオープンし、一昨年からはサウナブームが続き、3月20日の国連の「世界幸福デー」では2年連続幸福度世界一となったフィンランド。そんないま話題のフィンランドと旧ソ連の間では、1941年から1944年まで「継続戦争」が繰り広げられた。本映画では、両国の国境線に位置するカレリア地方の領有をめぐったこの戦いを、迫真の映像で兵士たちの目線から良質かつ精巧に描いている。
フィンランドでは2017年10月に公開され、7週連続興行成績第1位、フィンランド映画史上最高の興行収入を記録。フィンランドの約5人に1人が映画館に足を運ぶ異例の大ヒットとなり、ヨーロッパで最も歴史のある映画賞の一つであるジュシ・アワードでは主演男優賞、観客賞など5部門を獲得した。
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2016年の6月から80日間フィンランド各地で行われた撮影では、フィンランド国防軍が全面協力し、戦闘を限りなくリアルに再現。また爆発地から100メートル離れた地点でも家屋倒壊の危険がある爆風圧を生じさせる火薬量となる、70.54KgのTNT火薬がワンテイクのためだけに使用され、「ワンシーンに用いられた最大の火薬量」がギネス記録に認定。今回到着した予告編からも、そのリアルさが伝わってくるようだ。
激しい戦闘シーンの一方で、戦争の犠牲となるのは兵士だけではないこともこの映画は謳い上げており、映像では、身重の妻と家族を残して最前線に駆り出されるベテラン兵士や、結婚式を挙げてすぐに戦場に旅立つ若き兵士の姿が紹介されている。
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101年前に念願の独立を果たしたフィンランドは、僅かその20年後に旧ソ連に対してカレリア地方の奪還のために戦端を開く。第二次ソ連・フィンランド戦争である「継続戦争」は、当時400万人の総人口の内50万人が従軍した、現在世界各国で起こっている様々な戦争や紛争のルーツともいえる戦争なのだ。
『アンノウン・ソルジャー 英雄なき戦場』は6月22日(土)より新宿武蔵野館ほか全国にて順次公開。